〈MPB=ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ〉を変換して〈MPJ=ムジカ・ポプラール・ジャポネーザ〉へ。そのタイトルが示すように、5年ぶりのフル・アルバムはブラジル産の多様なポップ・ミュージックにアプローチした作品となった。スキャットとストリングスが舞う導入からホーンが心地良いグルーヴを描く“LADY”、ブラジリアン・フュージョンの愉楽をまとった“不思議な関係”や“あいつのLIFE”、ビザールなシンセ使いのインスト“Salão de eventos”……彼の地で育まれた豊かなリズムやハーモニーを血肉にした、流麗で時にプログレッシヴな楽曲が並ぶ。ブラジルとの邂逅を触媒にして非凡なソングライティングがより深い奥行きを獲得した印象で、一時のモードに留まらない成熟をものにした傑作だ。