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CHIYO-P

良いスタートを切るために

――そして、表題曲の“負けんなBABY”です。

プー「もともとメジャー・デビューに向けていろんな曲があったなかで、私が〈どうしてもこの曲がいい〉って選びました。もう1つの道として、SNS映えしそうな新しい感じの曲でいく案もあって、確かにそこに合わせたほうがチャンスは増えるかもしれないんですけど、私はいくら時間がかかっても、どうしても自分たちのやってきたものとかプー・ルイのやってきた歴史を曲げたくなくて。この曲が自分の伝えたいメッセージにもピッタリ合ったので選びました」

――今回はRyanさんとメンバーの皆さんの作詞を合体させた感じなんですね。

プー「はい。選んだ時点ではRyanの書いたワンコーラス分しかなくて、それで平山さん(担当A&R)とも〈ぶーちゃんズはたぶんここでメンバーの言葉が聴きたいんじゃない?〉っていう話になって。いつもRyanがソングライターとして歌詞も完璧に書いてくれるので、PIGGSはあんまり作詞してこなかったんですけど、合わさることで起きる化学変化もあると思って、このタイミングでメンバーも作詞してみました」

BAN「私は2サビの〈泣けよ 泣けよ 泣いたっていいじゃん〉とかを書きました。〈負けんな〉〈がんばれ〉って強い言葉だから、落ち込んでる人からしたら逆に苦しくなっちゃうこともあると思うんですけど、それでもやりたいことがあるなら、涙を流してでも自分の気持ちにまっすぐになってほしいと思って書きました。そのぶん自分もまっすぐに歌っていきたいです」

KIN「私は1Aの〈周りの目ばかり気にして 比べることに疲れ切ってもう嫌かい?〉とか、2サビの〈大丈夫 大丈夫 私だけは 君を笑いやしない〉とかを書きました。特に2サビは自分でも好きな歌詞で、一生懸命やってる人はカッコ悪くてもカッコイイって思うし、歌割も自分なので、〈泥臭いことをいっぱいやってきたPIGGSが味方だぜ〉という思いを込めて、5人の気持ちを勝手に乗せて歌ってます」

KINCHAN

プー「よりたくさんの人に響く言葉で伝えたくて、作詞するうえでは〈わかりやすく〉をキーワードにしてました。逆に言葉が簡単になると薄っぺらく聴こえる可能性もあるので、メッセージがシンプルだからこそ届け方が難しいなって思いますね」

CHIYO「最初聴いた時には言葉のパワーがド直球すぎて、〈おおっ!〉ってなっちゃって。でも、ぶつかるのが嫌だから逃げたり、自分の気持ちを出さなくなったりとか、私もそうだし、たぶん現代人ってそういう人が多いと思うんですけど、この曲は〈ちゃんと自分があるのに、それを押し殺しちゃってない?〉って自分の素直な気持ちに気付ける曲になってる気がして。いろんなことを溜め込んでる人に聴いてほしいと思って歌ってます」

――台詞のようなパートも印象的です。

SHELL「はい。私は曲をいただいた時期に遊び狂ってまして、メンバーにも合わせる顔がないみたいな状況の時だったんで、〈あきらめんな、わずかな望みを捨てるな〉とか自分の台詞も自分に刺さりすぎてしまって。〈めっちゃ良い曲だ。レコーディングがんばるぞ!〉って思ったんですけど、たぶんそんな状態の私には似合わないから歌割もあんまり任せてもらえなかったと思うんですよ。だから、大事な曲なのに、がんばれなかった自分がよく出た曲で……」

プー「自分で言ってるの、おもろ(笑)」

SHELL「自分のせいなんですけど、この曲を歌うたびに悔しさを思い出すから、いまは〈その気持ちを忘れるなよ〉という曲です。いつか誰かのために言えるようになりたいって思ってます」

プー「それを乗り越えたSHELLMEが〈あきらめんな〉って歌うのってエモいし、説得力しかないじゃないですか。気付けた経験をどう自分のものにしてくかだと思うし、音楽ってそういうことだと思うんだよ」

SHELLME

――最後のKINCHANの台詞というかシャウトもめちゃくちゃ熱いです。

プーはい。Ryanはホント音楽に全振りしてる人間なので、これを本気で書いてるから強いし、私たちもそれを本気で歌うからPIGGSらしいのかなって。Ryanはいつも以上に気合い入ってて、振付けもいつもは基本サキちゃんにお任せなんですけど、〈心情のモヤモヤを前面に出せるような振りがいい〉ってオーダーをしてました。アレンジもRyanがお願いしたい人を探して村山☆潤さんにやっていただいたので、それも初の試みですね」

BAN「あと、レコーディングの最後にみんなでブース入って、マイク囲んでコーラスを一緒に録ったのも初めてなので、それも印象に残ってます」

――まさにクイーンのような感じで。

プー「Ryanも平山さんも一緒に歌って、正真正銘みんなで作ったって感じ。レコーディングの時に涙が出そうになって、やっぱり私はこういう曲が好きだなって再認識しました。他の曲ももちろん楽しいし好きなんですけど、心の底からやりたいことや伝えたいことは“負けんなBABY”に詰まってるなって凄く思いましたね」

――そんなシングルを経て、1月29日の〈肉の日〉には日比谷野音でのファイナル〈焼豚大解放〉が控えています。

CHIYO「この間、自分の好きなマカロニえんぴつさんの野音の映像をちょっと観て、ライヴに来た人みんなが凄い楽しんでるハッピーな空間だったから、PIGGSの野音も全身全霊で楽しんでもらいたいし、みんなが〈次に繋がってくのが楽しみだね〉って笑顔で終われるライヴを一緒に作りたいです」

KIN「野音はファイナルだけど、また1個の始まりのようにも思ってて。揉めたり悩んだりを経て、逃げずに立ち向かって積み上げたものを野音で出せたら、きっとみんなで良いメジャー・デビューのスタートが切れると思っています。野音でドカンッて〈大解放〉したい」

プー「ぶっちゃけ会場を押さえた時点ではキャパ半分の制限があったのが、〈もうフルで入れるよ〉ってなって、悩みどころなんですけど(笑)。2022年のPIGGSが昇り調子だったかって言ったらそんなことはなくて、いろんな悩みにぶつかってきたし、ぶーちゃんズをモヤモヤさせたこともあると思うんですけど、それを経た野音は5人でちゃんと考えて過ごしていけば絶対素晴らしい日になるし、PIGGSとぶーちゃんズにとって野音が凄い楽しかったら、そこから先が続いていくと思うんですよ。野音はみんなで〈いろいろあったけど今日を迎えられて良かったね〉って言える日にしたいですね」

PIGGSの近作。
左から、2021年のアルバム『JUICYY』、2022年のシングル“小さな叫び”『BURNING PRIDE/豚反骨精神論』『豚反骨精神論/BURNING PRIDE』(すべてプープーランド)

Ryan.BことBRIAN SHINSEKAIが在籍するLafuzinの2022年作『ラブエナジーモチベーション』(DOBEATU)