全身全霊の6人は不安も困難もひっくり返しながら着実に前へと進んでいく。熱い信念を貫いたエモーション炸裂のニュー・シングルがリリース!

 ふたたび自給自足のインディー活動に回帰して心機一転、渾身のEP『1ミリでも』を7月に発表し、同作のリリースと並行した全国ツアー〈されど、夜は明けるTOUR〉も盛況のうちに終えたPIGGS。そこから早くも届いたニュー・シングル“SUPERBAD”は現状の勢いを前向きに倍加するパッション全開の熱い内容に仕上がっています。改めて上昇への機運を窺う6人に話を訊きました!

PIGGS 『SUPERBAD』 プープーランド(2024)

 

今度はみんなと走るよ

――EP『1ミリでも』リリースとツアーを経た手応えはいかがでしたか?

プー・ルイ「EPは〈メンバーがありのままやれる曲を詰め込んだ〉みたいな話をしたと思うんですけど、同時にツアーでもメンバーが自分の考えてることをMCで伝えることをずっとやってて、その相乗効果で、ぶーちゃんズ(PIGGSファンの総称)とのコミュニケーションを大事に回ってきたのが良かったなって感じますね。ファイナルがソールドアウトして次のツアー初日も数字的にいい状況なので、ここで浮き足立たないようにやっていこうって話してます。嬉しいけど(笑)」

――そんな良い状況下で届いたニュー・シングル“SUPERBAD”ですが、表題曲はギター・リフが強いラウドな仕上がりです。サウンド・プロデュースのRyan.B(ブライアン新世界)さんやMETTYさんとはどういうイメージで進めたんでしょう?

プー「EPがJ-Pop寄りの感じだったから、ロックな曲を出したいというのはざっくりあって、候補のなかでいちばん熱い曲を選びました。作りながら途中で〈今度はみんなと走るよ〉ってぶーちゃんズに向けた歌詞に変えたり、ラストのサビのメロディーもレコーディングしながら変えたりして、Ryanも本当に締切ギリギリまでこだわりながら、より良いものにしていく意識で一緒に作れたと思います。あと、7月にBiSの再結成があったので、そこで気になってくれた人たちも親しみやすい曲をちょっとだけ意識したところもあります(笑)」

KINCHAN「“SUPERBAD”ってスラングで〈イケてる〉みたいな意味があって、〈悪いこともグッドにひっくり返していこうよ〉っていう意味のタイトルだってRyanさんが教えてくださって、それが凄くいいなって思います。2サビで〈掴め 描け 奇跡は起こすもの〉って私が歌うんですけど、前にプーちゃんが〈努力とか運とかいろんなことが重なって奇跡が起きないと売れないし、売れるってホントに大変なことだよ〉って話してくれたことがあって」

プー「覚えてないな(笑)」

KIN「え〜? それを覚えてたので、〈奇跡は起こすもの〉は特に大事に歌わなきゃなっていう責任を感じてます。ライヴに来てくれる人も増えてきていて本当に嬉しいけど、手放しで嬉しい!ってよりは、〈嬉しいけどしっかりやらなきゃ〉って心臓はバクバクしてるというか、ここで絶対に足を踏み外せないし、そういう覚悟を持って歌いたいです」

SU-RING「どの曲も本気で歌ってるんですけど、この“SUPERBAD”は特に生半可な気持ちでは歌えない曲です。プーちゃんが〈誰だっていつかは忘れ去られるけど いつでも〉と歌った後に私が〈何かを遺すために〉って歌うんですけど、確かに人ってどんなことがあってもいつかは忘れちゃうよなって。私も実家で超かわいがってた鳥が死んじゃって、記憶について考えることが最近多くて。それで、〈自分はPIGGSで何を遺せるんだろう〉〈いま自分はPIGGSとして何をできてるのか〉って思ったら奮い立つというか、〈自分も何かを遺すぞ〉っていう気持ちで歌ってます」

BAN-BAN「この曲はダメな自分を受け入れてひっくり返していく、そういうパワーをくれる曲だと思ってて。あと、2番のサビの〈ほらね I’m not Okay 見つかったよクローバー〉っていう歌詞が、そこだけは純粋に希望みたいなものを歌っているので好きなところです。みんなにもクローバーは見つかるって信じてほしいし、この曲の中でも心を照らす部分になるといいなと思って大事に歌いたいです」

BIBI「最初に歌詞を見て、〈前向き、いや、後ろ向き、だけど前向き?〉みたいに思って、明るいことばっか言ってるわけじゃないのに明るい曲です。前回のツアーのゲネリハで私が気分的に落ち込んでた時にサキさん(振付け担当のカミヤサキ)が〈人だから良い時も悪い時もあるし、元気がない時の自分にしか伝えられないこともあるから、それを悪いと思わないで本気でやりなさい〉って言ってくださったんですけど、そのサキさんの言葉とRyanさんの話してくださった曲の意図がリンクして。どんな状態でもその時の自分にしか伝えられないものがあるっていう心でやりたいし、落ち込んでる人にも〈一緒に私が良くします!〉みたいな熱い気持ちで前向きに歌いたいです」

――歌詞は深いですけど、カップリングも含めて曲調は明るい印象ですね。

SHELLME「はい。確かにそういう歌詞だけど、疾走感のある感じとか、プーちゃんが歌い出す時の光が射してるような私たちの振付けとか、私はもっとシンプルに〈やべえ! 最強!〉みたいな気分になる曲だなって捉えていて。そうやって日々ポジティヴとネガティヴを繰り返していって、でも〈結局うちらイケてるよね〉っていうところに向かっていこうぜって。ライヴで初披露した時は初めてと思えないぐらいのお客さんの熱量に助けてもらったけど、この曲を通してうちらが良いほうに向かってるところを見せたいし、ぶーちゃんズとのグルーヴ感ももっともっと良くなっていける曲じゃないかなって」

プー「そうだね。歌詞に意味はあるし、私たちはもちろん思いを込めて歌うけど、ライヴではアゲ曲として育っていってほしいです。2曲ともライヴで強い曲にしたいなって思ってます」

 

私たちならば

――その2曲目となるカップリングの“デジャブー”ですが、これはBiSの“nerve”を思わせる雰囲気ですね。

プー「〈絶対そう言われるだろうね〉って話しながら作ってました(笑)。もともとライヴの終盤に“LINK EMOTION”とか“とらえる”みたいなサウンドとは違う曲調で盛り上がれる、ライヴの変化球が欲しいと思ってて」

――作ったのは最近?

プー「前から曲はありましたね。CHIYO-Pもいた頃だよね?」

KIN「うん、けっこう前に聴かせてもらった。歌詞も全然違うよね」

プー「最初の感じから変わって、アレンジも明るくなったかな」

BIBI「前にKINCHANとBAN-BANから〈まだ出してないこういう曲があって、それがめっちゃ好きなんだよね〉みたいに聞いてたので、曲をいただいた時に〈えっ、これじゃん!〉と思って歌う前からワクワクしてました。私のパートは、レコーディングで〈もう極限までぶりっ子して歌って〉ってRyanさんに言われて、もともと一応ぶりっ子なんですけど、言われると逆に難しいというか、またひとつ自分を超えなくては!みたいなのもありました(笑)。で、偶然かもしれないけど、ボイトレの先生に〈この歌詞を歌う時はテンテンコさんを憑依させてみて〉って言われていたので、いま〈そういうこと?〉って思ったんですけど」

プー「そういうことではないかな(笑)」

BIBI「“SUPERBAD”とはまた別の明るさがあって、もっと〈ワ~!〉みたいなハッピーな気持ちになる曲です」

BAN「前に何曲か仮で歌ったなかにあって、〈いつもデジャブ 今日もデジャブ〉って耳に残るし、口ずさんじゃうような曲だったから凄く覚えてました。サビはもともと〈うまくいかないね〉って普通の歌詞だったのが〈うまくいかないウェーン〉に変わって、そこがかわいくて好きです。レコーディングの時に〈涙じゃなくて、イェーイぐらいのテンションで歌って〉みたいにRyanさんが言ってくださって、〈イェーイ〉のつもりで〈ウェーン〉って明るく歌ってるので、うまくいかない瞬間があったら、この曲を口ずさんでほしいです」

KIN「PIGGSの曲で私が1サビ歌うのってたぶん初めてだから、そこもがんばりたいです。Aメロは聴き心地が良くて、SHELLさんとSUの掛け合うところは喉がはち切れるぐらい激しくて、サビ前から聴きどころが凄く多いし、とにかくみんなで盛り上がって超アガる曲にしていきたいです」

SU「そこ、SHELLさんとの掛け合いは自分も〈わかる!〉っていう歌詞です。〈大事な本番前の朝お腹ピーピー 既視感〉とか、学生の頃は修学旅行とか運動会の前にだいたい体調崩したり、そういうことの繰り返しで。それを明るく歌って、つらい時に力になる言葉がいっぱいあります。いちばん鳥肌が立ったのは、大サビの後にみんなで〈私なら勝てる〉〈私なら受かる〉〈私なら立てる〉とか掛け合いで歌って、それが最後に〈私たちならば〉っていう言葉になるところが好きで」

――ここはグッとくるところですよね。

SU「実際の自分だと〈受かるかな?〉〈立てるかな?〉みたいな感じになっちゃうけど、それを自分に言ってて。〈私なら〉〈私たちならば〉って思える自分でありたいなって思います」

SHELL「私にとってのデジャブってマジで二日酔いしかなくて、何回〈またこの朝?〉みたいに繰り返しても友達とか楽しい時間を求めて飲みに行っちゃうんですよ(笑)。でも、最初はそうやって〈二日酔いの曲だわ〉って解釈してたけど、夢を追っかけてる間にどんだけ痛い目を見ても、追いかける楽しさとかステージに立つ楽しさがあるから気持ちを切らさず続けていけるし、PIGGSもいろんなことがあったけど、ずっと強気に〈私なら〉〈私たちなら〉って思ってたからいまがあると思うんで。楽しい曲だけど、凄く大事なメッセージが詰まってるなって思ってます」

 

地に足を着けて

――この後の〈BOO BOO ZOO TOUR〉は、動物のネーミング繋がりで豆柴の大群都内某所 a.k.a. MONSTERIDOL、あっこゴリラ、カメレオン・ライム・ウーピーパイ、SHAKALABBITSという皆さんを迎えた対バンのツアーですね。

プー「対バンでのツアーは前に〈FAMILY BUTCHERS TOUR〉をやったので、今回は何かコンセプトを持たせたくて。PIGGSはブタがロゴなので、もともと始動する時に〈いつか動物の名前の人を集めて何かやりたいね〉って話してたんですよ。今回はSHAKALABBITSさんが対バンを受けてくださったので、そこからツアーにしようっていう順序で決めました」

――SHAKALABBITSはプー・ルイさんが昔から好きだと仰っていましたね。

プー「はい。シャカラビさんに憧れてバンドを始めて、プロになりたいって思ったんで。Uquiさんの歌、シャカラビさんの曲を聴いたら、私がめっちゃ影響受けてるのもわかるんじゃないかな。それぐらい聴いてたし、歌ってました。PIGGSで大きい場所に立つっていう目標や夢はあるけど、それ以外の夢も叶えていけたらいいなって思ってたら自分の夢が叶っちゃったんですけど(笑)。せっかく自主でやってるグループだし、個々でそういうのを重ねていくことがPIGGSの中身が詰まっていくことなのかなって。豆柴さんもSUがいるからお誘いしたので」

――SU-RINGさんがオーディションを受けていた縁ですね。

SU「最終審査まで残った唯一のオーディションで、そこで本当の悔しさを知って〈絶対同じステージに立ちたい!〉って思ったし、あの経験がなかったら、もうそこで諦めてPIGGSも受けてなかったから、自分にとって凄く大きなアイドルさんです。同じステージに立たせていただけるのは凄く嬉しいし、だからこそ絶対に負けたくないっていう気持ちです」

プー「あっこゴリラさんはMETTYがもともと仲良くて最初から呼びたいって言ってたのと、カメレオン・ライム・ウーピーパイさんはMETTYとRyanに教えてもらって、曲やアートワークの世界観が好きだったのでお誘いしました。図らずも女性ヴォーカルのチームが集まったので、前の〈FAMILY BUTCHERS〉との違いもできて良かったですね」

――ツアーが終わったら年末になりますが、この先の展望はいかがでしょう?

プー「歌もダンスもスキルアップが重要だし、それは当たり前にやっていくことですけど。あとは、まだ正式に決まってないけど、初めての挑戦もしようと思ってます。それはキャパの話じゃなくて、たぶんみんなが見たいと思っていて、私もやりたいと思ってたことがあるので、それをやろうかなって。そうやって新しいこともやりつつ地に足を着けてやっていきたいですね」

PIGGSの近作。
左から、2023年のアルバム『RAWPIG』、2024年のシングル“街underworld”(共にARIOLA JAPAN)、2024年のEP『1ミリでも』(プープーランド)