されど、夜は明ける……のか? 自分たちの信念を貫いてインディーズに回帰した6人の新たな境地。待望の新作『1ミリでも』はその決意と覚悟を熱く物語る!

 2014年7月8日の解散から10年の節目を祝って、去る7月8日のフリーライヴ〈You’ve been cheated〉で結集し、大きな話題を呼んだ初代BiSの最終メンバーたち。ただ、そのリーダーだったプー・ルイがまた別の6人組で進行形の物語を紡いでいるのも忘れるな! そのPIGGSは昨年メジャー・デビューを果たし、今年2月のシングル“街underworld”まで着実に作品を重ねてきましたが、4月の結成4周年記念ワンマンにて再度インディーズで活動していくことを発表。デザイン全般も手掛けるMETTY、サウンド・プロデューサーのRyan.Bことブライアン新世界、振付け担当のカミヤサキというチームで意識を固め、改めて活動のギアを入れ直していくことになります。そんな心機一転のEP『1ミリでも』について、ピグスハウスで話を訊きました(取材は6月後半に行いました)。

PIGGS 『1ミリでも』 プープーランド(2024)

 

なんだか楽しそうだ!

――ドキュメンタリーの動画などでメジャーを離れた経緯は話されていますけれども、そもそもいつ頃からそういう考え方に舵を切ったんでしょう。

プー・ルイ「年始ぐらいですね。でも、それより前から自分の中でたまにモヤモヤすることは正直ありました」

――2月に“街underworld”の取材でお話した時点ではもう決めていた?

プー「決めてないです。辞めるつもりはなかったのでライヴ定番曲の再録も入れてます(笑)」

――皆さんはどう感じましたか?

KINCHAN「最初はキャンプに行く車の中で聞いたんですけど、その時のプーちゃんが活き活きしてたように感じて。考えも話してもらったので、疑問も不安も特になかったです。それに、私たちがメンバーの仕事に専念できるように、メジャーに行く前からMETTYさんやプーちゃんが配慮してくれていたから、メンバー的に大きな変化って実はあまりなくて。それよりプーちゃんが楽しそうに話してたから、〈ついていきます!〉って(笑)」

プー「最初からメジャーで始まっていたら怖かったと思うんですけど、結成から2年は自分たちだけでやっていたんで。いまはそこに戻ったほうが自由度は増すかなっていう感じでした」

BIBI「そもそもプーちゃんが考えてる過程で、会話の流れで言ってくれてたから、別に〈何で?〉とかも思わないし、みんなで話してる様子を見てたら、わからないなりに〈良さそう!〉っていうのはわかりました(笑)。ただ、お世話になったメジャーのスタッフさんに会えなくなるのが寂しいなっていうくらいで」

SU-RING「メジャーにいる状態しか知らないからこそ、インディーズだと何がなくなって何がプラスになるのか、不安とかじゃなくて、ハテナがいっぱいになったんですけど、みんなが話してくれる顔を見て〈なんだか楽しそうだ!〉って思いました。PIGGSはPIGGSだから大丈夫だ!って(笑)」

プー「大丈夫かな(笑)」

プー・ルイ
SHELLME

――まあ、現時点の大きな変化は、この取材の時のテーブルの大きさぐらいで。

SHELLME「マジで家ですから(笑)」

――で、そんななかで新しいEP『1ミリでも』が完成しましたね。

SHELL「インディーズに戻っての一発目に相応しい作品です。プーちゃんやRyanさん、METTYさんが、メジャーを離れることをネガティヴに感じるぶーちゃんズ(PIGGSファンの総称)もいるかもしれないから、〈これからのことを考えた明るい決断だよ〉と伝えたくて最初に“ラフレシア”を発表したって聞きました。その次にメジャー/インディー関係なくやり続けることを歌った“八日目の朝”を出して。ここからやっていく私たちのいろんな気持ちをそれぞれ反映してもらった5曲になっています」

――作品全体のテーマはありましたか。

プー「EPだと以前『5 KILL STARS』があったじゃないですか。メンバーが決まる前に曲の揃っていた『HALLO PIGGS』がまずあって、その反応やメンバーの個性を知ってから作ったEPだったんですけど。今回は、メジャーでたくさん学んで、いろんな意味で成長した自分たちが作る『5 KILL STARS』みたいなイメージですね。内容は全然違うんですけど、そこを意識して曲も選びました」

BAN-BAN「どの曲も等身大の自分で歌える曲です。例えば“街underworld”とかは曲の世界にどう入り込めばいいのか最初は悩んだりもしたんですけど、今回の5曲はどれも歌う時にもっと素直に自分の心が出てくる曲です」

プー「Ryanとサシで話した日があって、〈『RAWPIG』も“街underworld”もカッコイイものが出来たし、今後もこういう曲はやりたいけど、これが軸になるのってPIGGSにとって正解なのかな?〉っていう話をしていました。Ryanも〈いまの6人って、演じるよりぶつけるほうが似合うくね?〉みたいに話してくれて。それはサウンドじゃなく、伝えたいことや意味的な部分の話で。〈次はメンバーが自分として自分のことを歌える曲をメインでやろう〉〈PIGGSの軸ってもともとそうだったよね〉って話したのは覚えていて、今回はそこを意識したEPになっています」

――その意味で『5 KILL STARS』に近いということですね。

プー「はい。だから、BAN-BANが感じた〈ありのままで歌える〉というのは、作った側としても共通の意識がありましたね」