盆踊りの戦後史」「ニッポンのマツリズム」などの著者・大石始氏の6冊目となる単著「南洋のソングライン」。3年におよぶフィールドワークを通じて、琉球文化圏ではない屋久島で歌われていた“まつばんだ”という民謡に、なぜ琉球音階が取り入れられているかという謎に迫る。旅の記録を覗かせてもらっているような、ゆるやかな気持ちになれる語り口がとても好き。発行元は屋久島にある唯一の出版社・キルティブックス。電子書籍版も便利だが、〈仮フランス装〉という製本に別刷の絵を手貼りした紙書籍(特殊加工は初版のみ)も永久保存版の美しさです。