Page 4 / 4 1ページ目から読む

大切なのは多様な音楽に接して独自のスタイルを確立させること

――普段はどんな音楽を聴いているんですか?

ホン・ユー「私たちはオタクなので、〈色々聴いている〉としか言いようがないのですが(笑)。最近はトニー・アレンが好きですね。2018年にリリースされた、ジェフ・ミルズとのコラボレーションアルバム(『Tomorrow Comes The Harvest』)がお気に入りです。ニコラス・ジャーのユニット、ダークサイドや、サン・アロウといったアーティストたちからは大きな影響を受けてます」

――お2人はメタルのバックグランドがありますし、ロックバンドも聴いていますか?

ホン・ユークルアンビンやキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードはかっこいいですね。

ただ、最近はロックにはあまり魅力を感じていません。定型化されているというか、全部同じに聞こえることがあるんです」

――それらのバンドが〈ロックか否か〉にも議論の余地がありそうです。そもそもロックの定義も曖昧かもしれませんね。

ホン・ユー「まず、音楽の目的が〈創造〉なのか、アーティストは本質を問う必要があります。それに〈ロックスターになって注目を集めたい〉と思う人がいたとして、その作品が独創性ゼロで注目に値しなかったら、本末転倒ですよね。大切なのは、これだけ音楽が溢れた時代の中で、ありとあらゆる音楽に接して自分独自のスタイルを確立させることだと思います」

――来年に向けてニュースはありますか?

ホン・ユー「新しいアルバムがリリースされるのと、ワールドツアーも実現したいです!」


 

今回のインタビューは台湾現地で行われた。待ち合わせ場所として指定されたのはジュン・チーが営むテラリウムショップ。路地裏にひっそりと佇むその店は、白を基調とした内装で、大小さまざまのテラリウムが美しく陳列されており、あたかもSci-Fi映画に出てくるラボのようだった。そこでジュン・チーは黙々と苔の手入れをしていたのだが、その様子が、Mong Tongの世界観が提示するいかがわしさや怪しさといった要素と無縁で、逆に印象的だった。

その後、ホン・ユーが合流し、カフェへと向かう。2人とも物腰がとても柔らかく、フレンドリーで、楽曲のコンセプトやインスピレーションについて熱心に語ってくれた。それでも時折、辛辣な皮肉をサラッと繰り出し、ハッとさせる。そんなつかみどころのなさも彼らの魅力だろう。

既に多作な彼らが次にどんなアートを提示するのか楽しみだ。

 


RELEASE INFORMATION

Mong Tong 『怪譚之四季故事』 Chi-Ching(2022)

リリース日:2022年5月29日
品番:CC016

TRACKLIST
1. 歡迎來到 by 紅仙身
2. 當歸雞湯 by 黃韋文
3. 失屋記 by 金加菲
4. 長河漸落 by 施阿莫
5. 四季牛肉麵 by 爸時髦

 

Mong Tong 『Indies 印』 Mong Tong(2022)

リリース日:2022年12月3日

TRACKLIST
1. Bunha
2. Buniau
3. Buntik
4. Showking

 


ABOUT: Taiwan Beats

Taiwan Beatsは、台湾の音楽とカルチャーを世界に発信している台北拠点のメディアエージェンシーです。台湾の音楽業界を熟知した編集部が、おすすめの音楽やそのストーリーをインターナショナルな視点で紹介しています。現在、中国語・英語・日本語の公式サイトがあります。
オフィシャルサイト:https://ja.taiwanbeats.tw/
Instagram:https://www.instagram.com/taiwan_beats_jp/
Twitter:https://twitter.com/taiwanbeatsjp