シューマンが〈天国的な長さ〉と讃えたこの傑作の最高の名演の一つ、レーグナー盤が最新マスタリングで蘇った喜びは大きい。冒頭のホルンによる牧歌的な主題吹奏から、レーグナーの演奏は極めてゆるやかに始まり、聴き手を別世界へと連れ去るかのよう。次第に曲想を高めて主部に入ると、生き生きと弾むリズムと天衣無縫の楽器連携により、まるで車窓から眺める次々に現れる絶景のように描き出してゆく。美しい旋律が多数投入された第2楽章での澄み切った響きとイントネーションの妙。リズムと歌が交錯する第3楽章、終結へ向けて高揚を続けてゆくフィナーレでの緩急、強弱、明暗の手綱捌きも絶品だ。