インタビュー

石川紅奈が語る、『Kurena』で表現した〈等身大の自分〉 芸術全般への強い希求を凝縮したメジャーデビュー作

©Yuji Watanabe

等身大の音楽を描いたアルバムから溢れ出るしなやかな感性と限りない可能性

 「等身大の自分を表現するということを一番に考えました」。インタヴューで1stアルバムのコンセプトについて言葉を向けた時、彼女から真っ先に語られたのがこの言葉だった。高校時代に世界的ピアニスト小曽根真の目に留まったことをきっかけにして、彼が教鞭を執る国立音楽大学に進学。同大卒業後に、小曽根と俳優の神野三鈴が主宰するプロジェクト〈From OZONE till Dawn〉に参加するほか、2021年に丸の内コットンクラブのライヴ映像「オフ・ザ・ウォール」が170万回超という驚異的再生回数を記録。現在、壷坂健登(ピアノ)とのデュオ・ユニット〈Soraya〉など多方面に活躍するベーシスト&ヴォーカリスト石川紅奈。彼女が3月に発表したアルバム『Kurena』は、自らが演奏するベースをバックに澄み切った歌声を聴かせる前述のソロ・パフォーマンス「オフ・ザ・ウォール」のほか、小曽根とスリリングなインタープレイを交わす“500マイルズ・ハイ”や、強靭なグルーヴとミステリアスなムードが溶け合うオリジナル曲“シー・ワスプ”など、彼女がこれまでに培ってきたさまざまな音楽が投影された作品。世界的写真家Yuji Watanabe撮影によるジャケット写真も含めて、作品全体に彼女のさまざまなアート感覚を感じることができる。

石川紅奈 『Kurena』 Verve/ユニバーサル(2023)

 「音楽との出会いは、子どもの頃に父親がよく車の中で聴いていたスティーヴィー・ワンダーやジャクソン5などモータウン系の音楽。父の持っていたエレキベースを借りて一生懸命ベースラインをコピーするようになりました。ですから私の根っこの部分にはグルーヴ・ミュージックの要素がかなりあると思います。その後、高校に入ってからジャズに興味を持つようになり、さらに大学でブラジル音楽への興味も湧いてきて。最近では、神野三鈴さんからお話を伺う機会も増えたおかげで映画への興味も広がっています。アルバム最終曲の“No One Knows”は彼女から教えていただいた映画『海辺の彼女たち』にインスパイアされて書きあげた曲なんです。そんなふうにいろいろなものから影響を受けて出来あがっている私の音楽をありのままに皆さんにお伝えしようと思いました」。自身の音楽観やアルバムについて真摯に語る石川。ジャズ、ソウル、ボサノヴァ、ポップスなどの音楽だけでなく、芸術全般への強い希求が凝縮されたアルバム『Kurena』からは、彼女独自のしなやかな感性と、未来への限りない可能性が溢れ出てくる。

 


LIVE INFORMATION
“Kurena” Release Live at COTTON CLUB

2023年6月20日(火)コットンクラブ
出演:石川紅奈(ベース/ヴォーカル)/大林武司(ピアノ)/Taka Nawashiro(ギター)/小田桐和寛(ドラムス)/Kan(パーカッション)
http://www.cottonclubjapan.co.jp/

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