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21世紀におけるピーター・ガブリエルの音楽活動をプレイバック

 本人名義での作品については本文に詳しいので、ここではサントラ提供曲や客演など外仕事と言うべき2020年以降の活動にフォーカスする。映画関連の楽曲では、日本映画をハリウッドでリメイクした「Shall We Dance?」(2004年)にマグネティック・フィールズのカヴァー“The Book Of Love”を提供。こちらはのちに『Scratch My Back』に収録された。以降も2012年の「ミッシング・ポイント」にパキスタンの歌手、アティフ・アスラムとの“Speak(Bol)”を提供しているほか、特に高く評価されたのは2008年のピクサー・アニメ「ウォーリー」の主題歌“Down To Earth”。この曲は〈アカデミー賞歌曲賞〉にノミネートされた。なお、これらを含むピーターが映画に提供した楽曲は2019年の編集盤『Rated PG』にまとめられている。

 ゲスト参加としては、2007年にベナンのシンガー、アンジェリーク・キジョーのアルバム『Djin Djin』収録曲“Salala”に参加。2016年には、ワンリパブリックが4作目『Oh My My』のエスノなシンセ・ポップ“A.I.”でピーターを召喚した。また同年、XLの創設者であるリチャード・ラッセルがエヴリシング・イズ・レコーデッド名義でリリースしたアルバム『Everything Is Recorded By Richard Russell』に参加。なおラッセルは『i/o』収録曲の“Four Kinds Of Horses”で共同プロデューサーとしてクレジットされており、両者の良い関係は続いているようだ。

 2022年には、アーケイド・ファイアの2022年作『We』収録曲“Unconditional II (Race And Religion)”に歌声で貢献。同年、ラリー・クラインが監修したレナード・コーエンのトリビュート作『Here It Is: A Tribute To Leonard Cohen』にノラ・ジョーンズやイギー・ポップらと並んで参加しており、特有のクールなサウンドを背景に“Here It Is”をカヴァーしていた。 *田中亮太

ピーター・ガブリエルの作品と参加作を一部紹介。
左から、ピーター・ガブリエルの2002年作『Up』、同2008年作『Big Blue Ball』、同2010年作『Scratch My Back』、同2011年作『New Blood』、2019年の編集盤『Rated PG』(すべてReal World)、2008年のサントラ『Wall-E』(Walt Disney)、アンジェリーク・キジョーの2007年作『Djin Djin』(Razor & Tie)、ワンリパブリックの2016年作『Oh My My』(Mosley/Interscope)、エヴリシング・イズ・レコ―デッドの2016年作『Everything Is Recorded By Richard Russell』(XL)、アーケイド・ファイアの2022年作『We』(Columbia)、2022年のトリビュート盤『Here It Is: A Tribute To Leonard Cohen』(Blue Note)