Photo by Takuo Sato
写真提供:ブルーノート東京

ジャズ・トランペットの超新星
パワーアップした姿をコンサートホール・ツアーで!

 日本のジャズ界は現在、かつてこれほどの充実期があっただろうかと思わせるほど華やかな時代を迎えている。演奏面だけでなく、作編曲、トラックメイキングなど多方面で才気闊達な新人が次々に登場。ある者たちはコラボレイトしながら、またある者たちは互いに刺激を受け合いながら、それぞれの音楽を発展させている。その百花繚乱のシーンの中で最も強い光を放っているアーティストのひとりが松井秀太郎だ。

 高校時代にクラシック音楽を学び、日本モーツァルト青少年管弦楽団でも演奏していた松井だったが、大学進学を機に自身の音楽視野を広げるべく国立音楽大学ジャズ専修に入学。小曽根真や奥村晶らと出会った松井はその才能を一気に開花させ、在学中から自身のライヴ活動と並行してBLUE NOTE TOKYO ALL STAR JAZZ ORCHESTRAへの参加やHYDE(L’Arc~en~Ciel)のコンサート・サポートなどを含むプロ活動を開始。さらに2022年の卒業と同時に、小曽根と神野三鈴が主宰する次世代ジャズ・ミュージシャンのための推進プロジェクトFrom OZONE till Dawn(以下FOTD)へ参加し、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)、ブルーノート東京、コットンクラブ、テレビ番組「題名のない音楽会」への出演や、米津玄師をはじめとする数多くのアーティストとの共演を行なうなど活動の場を広げていった。

 その松井が記念すべき1stアルバム『STEPS OF THE BLUE』を発表したのは、2023年7月のこと。全8曲をオリジナル曲で揃えてレコーディングされたそのアルバムは演奏と作曲の両面で、その作品の主が20代前半の若者とは思えないほどの高い完成度を示し、日本ジャズ・シーンを驚愕させた。そしてその驚きをさらに大きなものにしたのが、アルバム発表2か月後の9月22日にブルーノート東京(以下BNT)で開催された〈アルバム『STEPS OF THE BLUE』リリース記念ライヴ〉だった。それまでにも機を捉えて松井の出演するライヴに通い、何度かその演奏に接していたが、その夜の演奏はまったく別次元のものだった。

 これまでBLUE NOTE TOKYO ALL STAR JAZZ ORCHESTRAの一員としての出演経験はあるが、自身がリーダーとなるBNT出演は今回が初めてとなる松井。そのチケットは予約開始されるや否やソールドアウトとなり、公演当日のBNTのホールにはオーディエンスの期待感が充満している。松井より一足先にステージに上がった兼松衆(ピアノ)、小川晋平(ベース)、小田桐和寛(ドラムス)の3人が奏でるゆったりとした演奏がホールを幽玄な雰囲気に包んだ頃に、愛用のトランペットを手にした松井が大きな拍手に出迎えられるようにして登場。トリオが描き出す音空間の中で、まろやかな音色による穏やかなメロディを奏で始めた松井は、小田桐が打ち鳴らしたドラムのフィルインとともにトランペットのトーンとスピード感をシフト。ホールを埋め尽くしたオーディエンスのすべての耳に一直線で飛び込んで行くような勢いを伴ったブロウをスタートさせる。そのメロディが、アルバム『STEPS OF THE BLUE』でも冒頭を飾っていた“ヒプノシス”のものであると気付いたのは、演奏が曲の展開部に入ってからのことだった。テーマ後のソロ・パートで演奏のテンションをさらにアップさせた松井は、自らのプレイでリズム・セクションをリードするとともに、彼らから送り返されるアクションを受けてブロウをさらに加速。アルバム収録の同曲と趣を異にするダイナミックな展開に驚く。

 “ヒプノシス”で最高の幕開けを飾った松井はその後、ヴェテラン・トロンボーン奏者の中川英二郎(トロンボーン)と、FOTDの盟友、中林俊也(サックス)という、アルバム『STEPS~』にも参加していた両名を迎えながら同アルバム収録曲を中心にステージを進めていくのだが、いずれの演奏も“ヒプノシス”同様に、アルバム収録トラックをよりダイナミックにアップデイトさせた展開。サプライズ・ゲストの小曽根真を迎えた最終曲“ステップス・オブ・ザ・ブルー”でエキサイティングなフィナーレを演出した後のアンコールでは、全精力を出し切るような完全ソロ演奏“トラスト・ミー”を披露する。数々のチャレンジングな演奏が繰り広げられたライヴは、アルバム『STEPS~』の豊かな世界観を示すと同時に、その収録から1年の間に松井が長足の発展を遂げていることを示すものとなっていた。

©Tadayuki Minamoto

 その松井が、2024年1月~3月に全国8都市9会場を回るツアー〈松井秀太郎 Concert Hall Live Tour〉を行なうことを発表した。参加メンバーは、アルバム『STEPS~』とBNTライヴにも参加し、松井のワーキング・バンドとなっている兼松衆、小川晋平、小田桐和寛の3人だ。本格的なプロ・キャリアのスタートから1年で驚愕のアルバム・デビューを果たし、その1年後に開催されたBNT公演で大きくステップアップした姿を見せた松井が、そのライヴで受けた刺激をもとにさらなる高みに上ろうとしているのは、これまでの歩みから考えればもはや自明の理。必ずやさらにパワーアップした演奏を各地で聴かせてくれることだろう。

 


LIVE INFORMATION
松井秀太郎 CONCERT HALL LIVE TOUR 2024

2024年1月14日(日)愛知・名古屋 三井住友海上しらかわホール
開場/開演:13:30/14:00
問い合わせ先(東海テレビ事業部):052-954-1107

2024年1月20日(土)東京・サントリーホール ブルーローズ
開場/開演:13:30/14:00
問い合わせ先(サンライズプロモーション東京):0570-00-3337(平日12:00-15:00)

2024年1月27日(土)大阪・あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
開場/開演:13:30/14:00開演
問い合わせ先(ABCチケットインフォメーション):06-6453-6000

2024年1月28日(日)福岡・FFGホール
開場/開演:13:30/14:00
問い合わせ先(サンライズプロモーション東京):0570-00-3337(平日12:00-15:00)

2024年2月2日(金)神奈川・横浜みなとみらいホール 小ホール
開場/開演:18:30/19:00
問い合わせ先(サンライズプロモーション東京):0570-00-3337(平日12:00-15:00)

2024年2月10日(土)石川・金沢 石川県立音楽堂 交流ホール
開場/開演:13:30/14:00
問い合わせ先(サンライズプロモーション東京):0570-00-3337(平日12:00-15:00)

2024年3月9日(土)静岡・静岡音楽館AOI
開場/開演:13:30/14:00
問い合わせ先(サンライズプロモーション東京):0570-00-3337(平日12:00-15:00)

2024年3月17日(日)東京・プリモホールゆとろぎ(羽村市生涯学習センター)
開場/開演:13:30/14:00
問い合わせ先(サンライズプロモーション東京):0570-00-3337(平日12:00-15:00)

2024年3月31日(日)北海道・札幌コンサートホール Kitara 小ホール
開場/開演:13:30/14:00
問い合わせ先(オフィス・ワン):011-612-8696(平日10:30-17:00)

■出演
松井秀太郎カルテット
松井秀太郎(トランペット)/兼松衆(ピアノ)/小川晋平(ベース)/小田桐和寛(ドラムス)

公演曲目:STEPS OF THE BLUE/HYPNOSIS/TRUST ME ほか
チケット:5,500円(税込/全席指定)
※3月17日(日)プリモホールゆとろぎ公演のみ4,500円
※未就学児のご入場はお断りいたします。開場は開演時間の30分前です
企画制作:エイベックス・クラシックス・インターナショナル
協力:オフィスゆっくり
制作協力:サンライズプロモーション東京・インタースペース

https://avex.jp/shutaro-matsui/