割れ欠けヒビなど陶磁器の破損を修復する技法〈金継〉。主人公繕井(つくろい)はそれを生業とし妻の縫(ぬい)を亡くして4年、ひとり娘ほつれを育てている。割れたものをお金を払ってでも修復したいという客にとっては其々大切なものであり、故人や恋人との思い出が詰まっている。単に修復するだけでなく、この〈器〉が〈心〉のメタファーということに気づかされる。しかも修復によって元のものより魅力を向上させるこだわりを金継ぎおじさんは持っている。では我々の心のヒビを修復するものはなにか。ひとつは言葉だと思う。シュールな作風で知られるギャグ漫画家による豊富な知識を元にハウツー本としても優秀な目が潤む人情物語だ。
堀道広「金継ぎおじさん」クセのある主人公が割れた器と人の心を修復する、思わず目が潤む人情物語
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