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スタジオで何が起こるか

 現在のガリアーノはロブとヴァレリー、前述のアーニーに加えてスキー・オークンフル(キーボード)、クリスピン・テイラー(ドラムス)を加えた5人編成。ジェイソン・ヤードや結成メンバーのクリスピン・ロビンソン、ロブの実弟デヴィッドの参加もあるが、具体的な制作はどう進めたのだろう。

ヴァレリー「まずロブが歌詞やコンセプトといった大まかな構想を考えて、それをスタジオに持ち込んで、みんなでそれを元に音を作っていく感じだったわ」

ロブ「ウォーのロニー(・ジョーダン)と話していたんだけれど、彼らは自分たちのことを〈ジャム・バンド〉と定義していて、みんなでジャムをして、そこでマジックが生まれるのをひたすら待つらしいんだ。今回の僕らもそれとまったく同じやり方だった。前もって何かを考えるよりも、その場で何が起こるか様子を見てみるといった感じだったんだ。すごく実験的なアプローチだと思うし、非常に興味深かったね。例えば、“Circles Going Round The Sun”というトラックではウォーの“Flying Machine (The Chase)”(78年)を下敷きにしたんだけど、その理由はあの曲がジャズ・ダンスのシーンで有名な曲だから。そのようにして最初は人々が知っている曲の断片を使って作っていたんだ。そこから始まって、気付いたら徐々にアルバム作りのような過程になり、いろんな違ったことを試すようになっていったんだ」

 オリジナル曲に加えて、エディ・チャコンによるインディー・ソウルの滋味深い逸品『Pleasure, Joy And Hapiness』(2020年)からタイトル曲をカヴァー。同曲との出会いはフェスで共演した際に直接そのパフォーマンスを観たことがきっかけだったという。

ロブ「たしか〈We Out Here〉だったと思うんだけど、彼が“Pleasure, Joy & Hapiness”を披露しているのを観て、ファンキーな要素を加えてハウス・チューンみたいに変えたらおもしろいだろうなと思ってね。それを実際に自分たちでやってみることにしたんだ」

 グルーヴィーに生まれ変わった楽曲はそのタイトルや歌詞のメッセージ性を含めて活動再開後の彼らのテーマソングとも言えそうな一曲に仕上がった。アルバムの最後を締め括る重要なナンバーだ。

ロブ「あの歌詞が大好きなんだ。彼はスタジオであっという間に歌詞を書いたらしい。(プロデューサーの)ジョン・キャロル・カービーがあまり時間を与えなかったらしくてね。それと、ライヴではこの曲を必ず最後にプレイするんだ。僕らが18歳くらいのときのイギリスのシーンではメイズの“Joy And Pain”がアンセムだったんだけど、この曲も僕らにとってそういう存在なのさ。あと、エディが僕たちのヴァージョンを気に入ってくれて、リミックスしてくれることになったんだよ。彼の曲と僕たちのヴァージョンは、こんなふうに変わった形でサークルとして繋がっているんだ」

 ライヴの話題が出てくるとおのずと来日公演にも期待が膨らむというもの。彼らの真骨頂はやはり血湧き肉躍るライヴだ。逸る気持ちを抑えて、まずは本作をじっくりと堪能し、来たるべき日を待つとしよう。

メンバーの関連作。
左から、ヴァレリー・エティエンヌが参加したシトラス・サンの2020年作『Expansions And Visions』(Dome)、クリスピン・テイラーが在籍するブロウ・モンキーズの2024年作『Together/Alone』(Last Night From Glasgow)

左から、エディ・チャコンの2020年作『Pleasure, Joy And Happiness』(Day End)、メイズfeat.フランキービヴァリーの81年作『Live In New Orleans』(Capitol)