佐藤英輔の著書「越境するギタリストと現代ジャズ進化論」が2024年9月20日(金)に刊行される。
Mikikiでたびたび執筆してもらっているライターの佐藤英輔による「越境するギタリストと現代ジャズ進化論」は、ギターがジャズの現代化を図る過程を克明に描く一冊。管楽器や鍵盤楽器が主流のジャズにおいて、ギターはどのようにジャズを現代化させてきたのか、その過程に迫る野心的な論考だ。
1960年代後半以降、ジャズという表現が多様化し、ジャズが指し示す意味が広がる過程において、エレクトリックギターはその変化を肯定する楽器として多用されることになった。本書は、〈ギターは王道ジャズにおいて傍系の楽器であった〉という視点から出発して、他ジャンルの語彙も持つ、越境するギタリストがジャズの現代化を図る過程を描く。
米国のブラックミュージック史におけるジャズの再考、マイルス・デイヴィスやオーネット・コールマンら先駆者たちに重用されていく過程、オルガンジャズにおける位置付け、ECMでの多用、レディオヘッドからの影響などを通じて、これまでのジャズの正史では語られることのなかった視点でギターを論じる。
ギターという楽器を物差しとし、モダン/コンテンポラリージャズの見直しを図りながら、ジャズとR&Bやロックといったポップミュージックが横一線に並ぶ様を描くことを試みた本書。ぜひ手に入れてほしい。
BOOK INFORMATION
CONTENTS
第1章 ギターはモダンジャズにおいて傍系の楽器であった
第2章 ギターを物差しとする、米国黒人音楽の流れ〜ジャズとギターの曲りくねった関係
第3章 マイルス・デイヴィス〜すべてはやはりこの男から始まった
第4章 オーネット・コールマン〜ドウシテコウナッタの権化
第5章 ジミ・ヘンドリックス〜枠を超え創造するというアイコン
第6章 懲りない、爆裂ギタリストたち
第7章 カサンドラ・ウィルソンをはじめとする、ギターを介するボーダーレス表現
第8章 ギターが不可欠となる、オルガン・ジャズの不思議
第9章 ブルースやソウルと横つながりの、ジャズ・ギター
第10章 ギターにフレンドリーな、ジャズ界中央にいた変わり者
第11章 日本人大御所も、ギターに近かった
第12章 ギタリストを分け隔てなく起用する、ECMという不可解な回路
第13章 現ジャズ界の、人気/重要ギタリストたち
第14章 お茶目な狂気。ロックとジャズの境界上にいる個性派
第15章 レディオヘッドという黒船〜なぜ今のジャズの担い手は惹かれるのか?
第16章 拡張する今のジャズとギター表現
PROFILE: 佐藤英輔
1958年、福島県生まれ。1986年、フリーの音楽評論家に。ロック、R&B、ワールドミュージックやジャズなどについて幅広く執筆。スティングやオーネット・コールマンのほか、多くの音楽家にインタビューしてきた。「ギター・マガジン」「ベース・マガジン」にも多数寄稿。