気持ちの良い秋風を感じながら、赤坂の夜を音楽とともに過ごす1週間

 今年も赤坂に〈ARK Hills Music Week〉の季節がやってくる。今年で14回目を迎える〈ARK Hills Music Week 2024〉(主催:サントリーホール、森ビル株式会社)は、9月27日(金)から10月6日(日)までの期間、サントリーホールで開催される〈ARKクラシックス〉を中心に複数の周辺施設が音楽で溢れる祭典。ARKクラシックスはピアニストの辻井伸行とヴァイオリニストの三浦文彰が中心になってプログラムが組まれる。今回は、音楽祭参加施設の1つであり複数の公演が催される日鉄興和不動産主催の〈風と緑のMUSIC WEEK 2024〉を紹介する。〈風と緑のMUSIC WEEK〉は、エコ・コンシャスでスマートな施設環境を備え、周辺や施設内外は広々とし緑や光が溢れる赤坂インターシティAIRの2箇所に会場が設けられて期間中(こちらは9月30日(月)~10月4日(金)の平日開催)様々な音楽イヴェントが開催される。

 公演や演出を手掛けるのが〈毎日に、もっと音楽を。〉のコンセプトを掲げてストリートピアノや音楽会などを展開し、街に音楽を提供している朝♪クラだ。ストリート-ピアノはこれまで街角にピアノを設置し、往来する人に気のむくままピアノを楽しんでもらい、街の人に音楽する機会を提供してきた。普段は単なるストリートの流体にすぎない行き交う人々の内面が、思いがけずピアノを通じて披露される。朝♪クラの仕掛けによって〈ARK Hills Music Week 2024〉でもエリア内各所に様々な種類のストリートピアノが設置される予定。赤坂インターシティAIRには、ヤマハのグランドピアノC3Xに自動演奏機能を搭載したモデルであるC3X-ENPROと、美しい白のシルエットが特徴の電子グランドピアノであるローランドのGP-9(白塗鏡面艶出し塗装仕上げ)の計2台のピアノが配置され、自由にピアノ演奏を楽しめる。歩いているとどこからか聴こえてくるピアノが語りかける。「あなたも弾いてみませんか?」こうして人が人を音楽に巻き込んでいくのだ。

 〈風と緑のMUSIC WEEK 2024〉はランチタイムコンサートで幕を開けて、イブニングライブがその日を締めくくる。ランチタイムコンサートはオフィスロビーで、イブニングライブは主にサンクンガーデンと呼ばれる普段は静かに水が流れるガーデンで開催される。期間中は水を止めてその代わりに音楽が流れるというわけだ。

佐藤浩一
田辺和弘
福盛進也

 この特設会場ではこれまで様々なジャンルの音楽が演奏されてきた。今回、その一枠、10月4日(金)のライブをイントキシケイトがブッキングし、佐藤浩一(ピアノ)、田辺和弘(ベース)、福盛進也(ドラムス)のピアノトリオが演奏する。

 佐藤浩一は以前、イントキシケイトでインタヴューさせていただいたことがある、ポストジャンル時代を拓く新しいセンスのピアニスト。ドラムの福盛進也は間を繊細にコントロールしてリズムを編んでいく。彼はレーベルを主催しプロデューサーとして林正樹とのアンサブルのCDなどをリリースしている。ベースの田辺和弘はタンゴやジャズだけではなくヴァイオリニストの喜多直毅カルテットにも参加し、即興的な身体性を重んじるベーシスト。〈風と緑のMUSIC WEEK〉にこのトリオはきっとアーシーな風を吹き込んでくれるだろう。

 


佐藤浩一(ピアニスト/作曲家/編曲家)
1983年生まれ。神奈川県横浜市出身。洗足学園音楽大学、バークリー音楽大学卒業。ジャズ/即興/室内楽/ポストクラシカル/ポップス/映画音楽など幅広いフィールドで活動。繊細なタッチで研ぎ澄まされた音色を放つピアニストとして、伊藤ゴロー、福盛進也、挾間美帆m_unit、原田知世、象眠舎などに参加。映画「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(2020年)、映画「ラーゲリより愛を込めて」(2022年)、TVアニメ「青のオーケストラ」(2023年)の劇中音楽のピアノ演奏を担当。また作曲家としても数多くの楽曲を発表、2021年には全て自らの作曲による2枚組のアルバム『Embryo』をnagaluからリリース。ソロピアノによるDisc1と弦楽カルテットを含むアンサンブルによるDisc2からなるこの作品で、唯一無二のピアニズムと作曲家/編曲家としての魅力を存分に発揮。編曲家としては林部智史やWith ensembleなどで多くのシンガーのアレンジを手掛ける。2023年にはダンサーの笠井叡と平山素子との公演「フーガの技法を踊る」でJ.S.バッハの“フーガの技法”全曲を演奏、2024年にはマリア・シュナイダーの特別編成チェンバー・オーケストラで日本初演の作品を演奏するなど、クラシックにも演奏の幅を拡げている。
http://koichisato.com/

田辺和弘(ベーシスト)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興的な音楽表現などで活動するベーシスト。東京芸術大学在学中からオーケストラなどのクラシックをベースに活動する中でタンゴと出会う。卒業後は国内外の多くのタンゴミュージシャンと共演。その後も多くのバンドに継続的に参加。本国アルゼンチンのタンゴミュージシャンとも若手からビクトルラバジェン、オスバルドベリンジェリ、ホセコランジェロなどのタンゴ全盛時代のミュージシャンとも共演している。タンゴ以外でもレコーディング、舞台など様々な場所で演奏する中2010年に即興演奏の第一人者でコントラバス奏者故齋藤徹氏と出会い大きな影響を受ける。氏の主催するベースアンサンブルGEN311に参加。その後も音楽自体やアンサンブルの中にある即興性、呼吸、グルーヴを重視しながら研鑽を積みタンゴ以外にも喜多直毅クアルテットなどに参加。The Bass CollectiveではnagaluよりCDをリリース。ジャンルに関係なく音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。

福盛進也(ドラマー/作曲家/プロデューサー)
17歳の時に芸術高校にて音楽を学ぶために単身で渡米。10年間のアメリカでの活動後、2013年に拠点をミュンヘンに移し欧州各国で活動を開始。2017年に自身のトリオで、ECMレーベルから日本人二人目となるリーダーアルバム『For 2 Akis』を2018年2月にリリース。トリグヴェ・サイム、ウォルター・ラングとのトリオの他、リー・コニッツやミロスラフ・ヴィトウスなど様々なアーティストとの演奏活動を経て、2020年には自身のレーベルnagaluを立ち上げ、『Another Story』をリリース。2021年には第二のレーベルS/N Allianceも設立し、プロデュース業や録音のディレクションにも力を入れ、日本の音楽シーンに新たな風を吹き込む。現在は自己のグループの他、山下洋輔や林正樹、藤本一馬などと共演をし、多岐に渡り活躍中。独特で繊細なシンバルワーク、そして空間を自由に生み出し色とりどりに展開する演奏は世界中でも一目を置かれ、また作曲家としても高い評価を得ている。ダイナミクスの幅が広く詩情的なプレイを得意とする。

 


LIVE INFORMATION
ARK HILLS MUSIC WEEK 2024

2024年9月27日(金)~10月6日(日)

風と緑のMUSIC WEEK 2024
2024年9月30日(月)~10月4日(金)

イブニングライブ by イントキシケイト
2024年10月4日(金)赤坂インターシティAIR B1サンクンガーデン
開演:18:30

▼ARK Hills Music Week 2024
https://www.arkhills.com/events/2024/09/0119.html