コナン・グレイの来日公演が東京と大阪にて開催された。今年4月に発表した3rdアルバム『Found Heaven』を引っ提げた今回のツアーは、同作の収録曲を中心に、これまでのヒットナンバーも並ぶ濃密なセットリストにも注目が集まっていた。

衣装から演出まで、コナン・グレイでしか創造できないエンターテインメントが表現された来日公演より、東京ガーデンシアター公演の公式ライブレポートが到着した。 *Mikiki編集部


 

ロックスターを彷彿とさせる圧倒的なステージング

Z世代のポッププリンスことコナン・グレイの約1年半ぶりの来日公演が、2024年9月9日、東京ガーデンシアターで開催された。4月にリリースされた最新アルバム『Found Heaven』のモチーフでもある星のマークを身につけたり、星をちりばめたメイクをしたり、多くのファンが思い思いの形で熱愛ぶりをアピール。中には大きな星のヘッドギアを被った強者まで。開演前から会場にはハロウィンのようなお祭りムードに包まれていた。

19時を少し回った頃、客電が落ちて幕が開くと、ステージ後方の高くなったプラットフォームの中央にコナンが出現。両手を挙げたポージングが如何にも彼らしい。観客席から大きな拍手と歓声が沸き起こる。オープニング曲は、80年代風シンセが大胆に導入されたポップチューン“Fainted Love”。5人編成のバックバンドが、ダイナミックな演奏を軽快に繰り出していく。メンバー全員が女性というのも、彼の拘りだろう。前回の来日時よりも、随分とサウンドが骨太になっている。

〈Found Heaven On Tour〉と題された今回のワールドツアーは、6月のオーストラリアを皮切りに11月のイギリス公演まで続く。その大半が大規模なアリーナ会場で開催され、9月末には由緒あるニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンのステージに初めて自身のツアーで立つことになる。本人にとっても大きな節目となるはずだ。

「東京! 〈Found Heaven On Tour〉にようこそ!」 という威勢のいい挨拶と共に、2曲目の“Never Ending Song”がスタート。痛快なドラミングに乗せて、シンセが高らかに鳴り響く。黒地にシルバーをあしらったセパレートのライダース上下を身に着けた、へそ出しルックのコナンは、歌いながら音楽に併せて合わせて自由に体を泳がせ、ダンスをしたり、ジャストなタイミングでポーズを付ける。ステージ狭しと前後、左右に練り歩く姿は、クイーンのフレディ・マーキュリーやデヴィッド・ボウイを彷彿とさせるものがある。かと思えば、直後の“Wish You Were Sober”では、明るい曲調のせいか、テイラー・スウィフトのようなアクションにも見えてくる。マッチョな男性観や虚像にとらわれることなく、常に自分らしい立ち振る舞いやステージングに徹している。

4曲目の“Eye Of The Night”からは、ステージ上部の白い垂れ幕が除かれ、大きな星型のライティングが出現。ボン・ジョヴィ風のサウンドと相まって、80年代のスタジアムロックのような煌びやかなムードに一変した。続く“Killing Me”も、大胆なシンセを使ったレトロなロックムードが濃厚だ。セットリストの前半は、主に4月に発表された最新アルバム『Found Heaven』からの楽曲で構成され、Y2Kどころか80年代にまで遡ったサウンドと、ロックスターのようなステージングで圧倒した。