圧倒的な成功で世界的なセンセーションを巻き起こしてから2年……20歳になった時代の歌姫が帰ってきた! エッジーな感情を彩るサウンドと剥き出しの等身大な言葉の渦巻くオリヴィア現象はまだまだ拡大中!

成功を経て向かう先

 2021年のデビュー・シングル“drivers license”とアルバム『SOUR』で一躍トップ・スターの座に昇り詰めたオリヴィア・ロドリゴ。シングル、アルバム共に米英をはじめとする全世界でNo.1を獲得。グラミー賞では主要4部門を含む全7部門でノミネートを受けて、そのうち3部門で受賞を果たした。〈テイラー・スウィフト以来〉と言われるほどの人気とセンセーションを巻き起こすと同時に、新人ながら早くも実力派として多大な評価と信頼を勝ち取った。そして次なる動向が一体どこへと向かうのか、俄然注目を浴びている彼女が、ついにセカンド・アルバム『GUTS』を完成させた。今年6月の先行シングル“vampire”ですでに米英をはじめとする世界のチャートを軽く制覇。期待に違わぬ衝撃と大旋風を巻き起こしている。

OLIVIA RODRIGO 『GUTS』 Interscope/ユニバーサル(2023)

 前作からは大河ドラマ風の失恋バラードだった“drivers license”以降、サイケでドリーミーな“deja vu”、エモなポップ・ロック“good 4 u”、歯ぎしりが聴こえそうな破局ソング“traitor”など、さまざまなタイプの曲をシングル・カット。どれもが大ヒットを記録したが、セカンド・アルバムのリード・シングルとして選ばれた“vampire”はデビュー曲“drivers license”にも負けない大エモーショナルなバラード。自身の名声に擦り寄って利用しようと企てた元カレを揶揄するリヴェンジ・ソングとして単なるかわい子ちゃんポップスターでないことを改めて証明し、アルバム・タイトルにもある〈ガッツ〉のある性格を窺わせる。前作でアラニス・モリセットやフィオナ・アップルの再来と盛んに言われたのも納得だ。しかもニュー・アルバムのサウンドは、全体的にかなりオルタナティヴ・ロックやグランジ・ロック寄り。ささくれだったバンド・サウンドが、怒りやフラストレーションを吐き出す歌詞と見事にマッチ。まるで彼女が率いるフィメール・バンドであるかのように錯覚しそうなほどだ。