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Photo by Samuel Bradley

ポップで楽しいものを作ることで再びオープンになれた

――2022年の『LP.8』は、ラッセ・マーハウグと共にスロッビング・グリッスルとエンヤの中間の音楽を作ることをテーマにした、自由さや実験精神が顕著に現れた作品でした。今作はポップミュージックとエレクトロニックミュージックの境界線を曖昧にした作品で、どちらかと言えば2020年の『Inner Song』に近いと思いますが、『LP.8』のような作品を作った経験はどのように活かされていますか?

「もちろん活きています。私はアーティストとして、人として、自分の心に従って、必ずしも期待されていないものに軸足を移すことは重要だと思っているんです。もしかしたら『Inner Song』のあとすぐ『Dreamstate』を作れていたかもしれないけどね。

それに皮肉なことかもしれないけど『Inner Song』は自分自身を理解して、自身の精神を再野生化することについての作品でした。『LP.8』は私の潜在意識のくぼみのようなところにあったから、『Inner Song』をさらに深く掘り下げて行くと『LP.8』があったということだと思います。

『LP.8』と名付けた理由は完成する前に聴いたとき80分8秒あったこと、私が1988年の8月に生まれていることなどからで、自分が8枚目のアルバムを作るならどうするだろうという設定でタイムマシーンに乗り込んで作った作品なんです(笑)。

結果的に『LP.8』は実験的な作品になって、それからすぐシグリッドの“Mirror”とグラス・アニマルズの“It’s All So Incredibly Loud”のリミックスを作りました。それはレイヴのダンスフロアのような、すごくポップなもので。『LP.8』で私はすごく静かなところに行ってしまったから、そうやって楽しいものを作ることで再びオープンになれた。そういったこともこの作品への準備を助けてくれました」

――『Dreamstate』にはジョージ・ダニエルはもちろん、ケミカル・ブラザーズのトム・ローランド、バイセップの2人なども参加しています。彼らが参加することになった経緯を教えてください。

「実は“Sunshine”はこのアルバムのために作った最初のトラックの一つで、2019年頃にできたものなんです。『Inner Song』のためのセッションが終わったことを告げるような感じで生まれたんだけど、今思えば数年後にこういったアルバムを作ることになると私に知らせてくれていたのかもしれませんね。そのあとそれをジョージと一緒に作り直すことで完成しました。

あと、このアルバムのために初めて書いた曲は“Ballad (In The End)”で、これはそもそもケミカル・ブラザーズの作品のためにトムが書いた曲。でも私が歌詞とボーカルを試しに入れてみたら彼は〈君のボーカルは素晴らしいよ。まるで君の曲のようだ〉と言ってくれて、私に贈ってくれたんです。とても寛大ですよね。ちなみにストリングスはケイト・ブッシュの甥のレイヴンが弾いています。私のすごく脆く傷つきやすい瞬間が映し出されている曲であり、とても尊敬している人たちとの美しいやりとりの記録でもあります。

そしてバイセップの2人はある日スタジオを開放してくれて、大半をしゃべって過ごしました。すごく感銘を受けたのは彼らがとても多様な音楽を好んでいることで、例えば私と同じようにコクトー・ツインズが大好きだったり。そうやってスタジオで話したり美味しい料理を食べたりジャムセッションをしたりして、それを元に、肉付けしていった曲が“Rise”になったんです」