
45回目の褒め言葉
――pachaeの結成前にバンバさんは音山さんの弾き語りライブを見たんですよね。
音山「弾き語りはヤケクソでやってました。前日に曲を作ったり、よーわからん即興の歌詞で歌ったり。バンバが見に来た時はちゃんとした曲も歌ってたと思いますが」
バンバ「“冥王星ガール”と“タイムマシン独奏曲”はやってたよね? 特に“冥王星ガール”はめっちゃええ曲やなって思いました」
さなえ「“サブアカダラケ”もやってたよね。“冥王星ガール”を弾き語りで聴いた時は感動したし、新しいジャンルと出会った感覚で、ライブ後もずっと頭に残ってました」
音山「その話はちょうど45回聞きましたが、嬉しいですね(笑)。バンドメンバーが合うか合わないかってマッチングアプリみたいなもんなんで、ただ運命的に集まったってだけですね。僕の曲は演奏技術がないとできないので、メンバーはそこでしか見定めてませんでした」
ハイブリッドシティーのポップ
――資料のプロフィールには〈「ハイブリッド・シティーポップ」の旗手〉と書いてありますが、皆さんシティポップがルーツのど真ん中ではないんですね。
音山「〈ハイブリッド・シティーポップ〉っていう言葉については全く意味がわかってないんですが、事務所からは〈いじってもらって大丈夫〉って言われているのでふんだんにいじっていこうと思ってるし、いじるために付けたのかなって最近思ってるくらいです(笑)。でも、俺らがやっている音楽がハイブリッド・シティーポップだって言ってしまえばそうなるのですごく便利ではあって。
シティポップ好きの人って結構厳しいと思うんですよね。pachaeはシティポップしてるわけではないので、シティポップバンドって言ってしまうと絶対に叩かれるだろうなって。ハイブリッドって付くことによって〈シティポップはしてないし〉って逃げられるところもあるんですよね」
――少しでもシティポップの要素があれば嘘はついてないっていうか。
音山「そうですね。僕、人生で〈シティポップをやってる〉って言ったこと一回もないのに、このプロフィールで初めてシティポップって言われたんですよね(笑)」
――いつ誰が〈ハイブリッド・シティーポップ〉って付けたんでしょう?
さなえ「誰やろ」
バンバ「マネージャーかな。〈シティー〉って言いたいだけやろうな(笑)。気づいたら付いてました」
さなえ「区切るところが違うかもしれん。〈ハイブリッドシティー・ポップ〉かもしれん(笑)」
音山「ハイブリッドシティーのポップをやらせてもらっています(笑)。pachaeの音楽って難しさはあるけど、ポップスではあるからっていうのもあったんじゃないですかね。どういう風に打ち出していくかは模索中ではありますが、ハイブリッド・シティーポップを掲げていきたいとは思っています。ただ、大学時代に山下達郎さんは死ぬほど聴きました」
バンバ「達郎さん嫌いな人おらん説あるよね」
音山「あの人は日本人のレベルをちょっと超えてるんで」
バンバ「尖り方も好きやし」
音山「ただ、〈これをやろう〉とは思わなかったです。〈シティポップの王はこの世に1人でいい。山下達郎さん1人で需要と供給が成り立ってるやろう〉って思ったんですよね。だから、その瞬間に〈ハイブリッド・シティーポップをやらなあかん〉と思いました」
――(笑)。pachaeを結成する時に何か具体的に目指した方向性はあったんですか?
音山「J-POPの隙間は突きたいとは思ってました。周りで音楽をやってる友達の曲を聴いても、似たような曲がすごく多いと感じ続けていて。だから他とは違って逸脱した曲が作れるレベルに達してからじゃないと本格的に活動を始めたくはないと思ってました。
例えば僕らの曲があまりにも他のアーティストに似ていたら、知名度の問題もあってそっちのアーティストの曲を聴くと思うんですよ。なので、似たアーティストより圧倒的に良い曲を作るしかない。時代的に唯一無二のオリジナリティがある音楽を作ることは難しいけれど、隙間を突いて〈いろいろなアーティストの要素は感じるけどpachaeの曲が聴きたい〉って思ってもらえれば勝ちだと思うんですよね。〈他のアーティストを聴きたい〉って思われたら負けなんです」