©Daveed Benito

40年のキャリアを経てまたまた充電完了! 反骨心も勢いもアイデアも経験もすべてフルチャージした新体制での初作『Supercharged』は、円熟しつつもピュアなパンクのエネルギーに満たされている!

 オフスプリングが3年半ぶりのニュー・アルバム『Supercharged』を完成。通算11枚目となる今作は、ジョナ・ニモイ(ギター/キーボード/パーカッション)とブランドン・ペルツボルン(ドラムス)加入後の5人体制で作り上げた初の作品で、プロデュースは引き続きボブ・ロックが担当、聴く者の心を奮い立たせるパワフルな一枚に仕上がっている。生気漲る衝動を鋭く突きつけてくる作品について、ヌードルズ(ギター)に話を訊いた。

THE OFFSPRING 『Supercharged』 Concord/ユニバーサル(2024)

 

オフスプリングらしいアルバム

――今年はバンド結成40周年を迎えますね。

「信じられないよ(笑)。しかも今年は『Smash』(94年)の30周年でもあるんだ。『Smash』完全再現ライヴも数本やったし、あの作品から30年経ったのもいまだに信じられない。どの曲も古く感じないし、いまも新鮮でこの時代に通用するサウンドだと思っている。ライヴには若い人もたくさん来ているから、彼らも古いと感じていないんじゃないかな」

――そして、待望の新作が届きました。最初のアルバムのヴィジョンは?

「〈オフスプリングらしいアルバムをまた作ろうぜ!〉って感じかな。だいたいデクスター(・ホーランド:ヴォーカル/ギター)が作ったリフ、メロディー、コード進行をきっかけに曲を作るんだ。それからみんなでスタジオに入り、いろんなパートを付け加える。最初はジョシュ・フリーズがドラムだったけど、途中でブランドンが加入した。で、エネルギッシュな曲ばかりが揃ったから、デクスターが『Supercharged』というアルバム名を提案してきたんだ。『Smash』同様にワンワードでバシッとくるタイトルだし、それが現在のバンドの状態を表していると思うからね」

――ええ、今作は前作以上にライヴのエネルギーを封じ込めたパワフルな作品ですね。楽曲の幅を広げたり、アレンジに凝るよりも沸き上がるパッションをストレートに落とし込んだ曲調が多いなと。

「ありがとう! その通りだと思うよ。自分たちが書く曲は、思わず歌いたくなったり、思わず身体を動かしたくなる曲をめざしているからね。ここ最近もキャリア史上最高のライヴをやれているから、それが自然と作品に表れているんじゃないかな」

――すでに公開済みの“Light It up”はオフスプリング節とも言えるストレートなパンク・ロックです。〈戦いの準備はできた〉と歌詞にある通り、闇の中にいる人たちを救い出してくれるアッパーな曲調です。この曲はどんな背景から生まれたものですか?

「最後のほうに出来た曲で、デクスターがメロディーを先に思い付いたんだ。ちょっとオフスプリングらしすぎると思ったけど、いい曲だし、これで仕上げようと。何かの力に押さえ付けられた状況に対して、〈一人じゃないんだ、闘い続けよう!〉というパンク・ロックならではのメッセージを込めている。理不尽なものに抗うのは永遠のテーマだからね」

――MV公開済みの“Make It All Right”は〈パラッパパラー♪〉というコーラスがキャッチーでポップな曲です。この曲もオフスプリングらしいサウンドですね。

「自分の人生を豊かにしてくれる相手との関係性についての曲なんだ。かといって、抱き合うだけじゃなく、時には中指を立てたり、お互いを高め合う存在について書いたものなんだ。アップビートだけど、ただハッピーな曲というわけではないからね」

――“Ok, But This Is The Last Time”はスケールの大きなメロディーが印象的で、野外フェスなどで聴いたら最高にマッチするサウンドですね。

「個人的には“Self Esteem”(『Smash』収録)を彷彿とさせるんだ。歌詞については、本来ならば絶対にダメという事柄でも、一度飲み込んでOK!と答えることがあるよね? 例えばお父さんが子どもにお願いして〈じゃあ、最後だぞ〉って受け入れる関係性のことだね」

 

ライヴのエネルギーに溢れた作品

――あと、個人的に“Come To Brazil”がお気に入りで、これは熱狂的なブラジルのファンに向けた楽曲ですよね。曲調はスラッシュ・メタル風のリフで攻め、後半は〈オレーオレオレオレー♪〉とサッカーでお馴染みのコーラスが入ります。このアイデアはどこから?

「オフスプリングは曲が先で、歌詞を後に書くことが多いんだ。でもこの曲は逆でデクスターが歌詞を先に思い付いたんだ。というのも、SNSで何かを投稿すると、いつもブラジルのファンから〈Come to Brazil!〉と返信が来るんだ。それで〈ブラジルに行くよ〉と投稿しても〈Come to Brazil!〉と同じコメントが来るんだよ(笑)。まあ、それくらい熱いんだよね。じゃあ、それを曲にしようと。〈ブラジルだからスラッシュ・メタルのリフを入れよう!〉とデクスターが言ったんだ。そこに大合唱できるサビやお祭り騒ぎできるフレーズを入れてみたんだ」

――デクスターさんのスラッシュ・メタルのイメージはセパルトゥラとか、あのへんですか?

「ハハハ、それは少しあるかもね。南米はロックが強いし、〈Rock In Rio〉という大きなフェスもある。実はこの曲でデクスターはメタリカのジェイムズ・ヘットフィールド・モデルのギターを弾いているんだ。ボブ・ロックが持っていて、それがスタジオにあったから、それを弾かせてもらったんだよ」

――ボブはメタリカの『Metallica』(91年)をプロデュースした人物ですし、この曲のリフがメタリカっぽいのはそういう理由なんですね(笑)。

「ギター・サウンドが特徴的だよね。ボブは数多くのバンドと関わってきたから引き出しも多いし、〈ここにキーボードを入れたらどう?〉とかさまざまなアイデアを出してくれるんだ」

――そして、“Get Some”は〈フーフー!〉のコーラスが耳に残り、ローリング・ストーンズ“Sympathy For The Devil”のコーラスが頭をよぎりました。クラシック・ロックの要素を昇華した曲とも言えますよね。

「リック・デリンジャーやモントローズを倍速にしたような感じだね。ボストンのコード進行を参考にした部分もあるんだ。“Hammerhead”(2008年作『Rise And Fall, Rage And Grace』収録)でも〈フーフー!〉というコーラスを入れているし、リフは違うけれど、“Bad Habit”(『Smash』収録)に似ている部分もあるかもね」

――今作は歌いたくなるフレーズも多くて、どれもライヴで聴きたくなる楽曲ばかりです。これだけライヴ映えする楽曲が多くなった理由はなぜだと思いますか?

「意図的ではないんだ。曲が出来た後にライヴでどう演奏するかを考えるからね。“Come To Brazil”なんてライヴで再現できるのかな?って感じだよ(笑)。ソロは簡単だけど、ヴァースのリズムはけっこう難しいんだ。すでに“Light It Up”と“Make It All Right”はライヴでプレイしているけど、観客の盛り上がりも凄いからね」

――では、最後に日本のファンにメッセージをお願いします!

「初めて日本でライヴしてから来年1月で30年になるんだ。日本のファンには感謝しているよ。世界各地をツアーしているけど、その中でも日本は大好きな場所だからね。来年の4月にはライヴで行く予定だから、楽しみにしていてほしいね」

 

結成40周年! 世界的ブレイクから30年! オフスプリングの偉大すぎるキャリアを駆け足で振り返ろう!

 本文にもあるように、オフスプリングの歴史は84年にまで遡れる。カリフォルニア州オレンジカウンティで高校の同級生であるデクスター・ホーランド(ヴォーカル/ギター)とグレッグK(ベース)らがマニック・サブサイダルを結成し、85年にヌードルズ(ギター)が加入。86年にオフスプリングに改名して最初のシングル『I’ll Be Waiting/Blackball』をリリースする。その後、ロン・ウェルティ(ドラムス)を加えた4人体制でファースト・アルバム『The Offspring』(89年)を発表。エピタフ入りしての2作目『Ignition』(92年)を含む初期3枚は、南カリフォルニア・ハードコア・シーンの名裏方としてTSOLらを手掛けたトム・ウィルソンにプロデュースを委ねていた。

 なかでも広い層に届いた3作目『Smash』(94年)は、“Come Out And Play”や“Self Esteem”のヒットもあって最終的に1200万枚超のセールスを叩き出し、グリーン・デイの同年作『Dookie』と並んでパンクのメインストリーム化に寄与した。その成功に伴ってバンドのメジャー行きを推進したエピタフとの緊張を経て、新たにデイヴ・ジャーデン(アリス・イン・チェインズ、ソーシャル・ディストーション他)のプロデュースで4作目『Ixnay On The Hombre』(97年)を完成。さらに同じ体制でアメリカの暗部を描いた象徴的な『Americana』(98年)は、全英1位に輝いたシニカルな代表曲“Pretty Fly(For A White Guy)”や“Why Don’t You Get A Job?”のポップな広がりもあり、キャリア最高の全米2位を獲得している。3度目の来日を経た2000年にはブレンダン・オブライエン制作で『Conspiracy Of One』を発表するも、次作のセッション直前にウェルティが脱退。6作目『Splinter』(2003年)はジョシュ・フリーズ(元ヴァンダルズ他)をサポート・ドラマーに迎えて制作され、録音後にアトム・ウィラード(元ロケット・フロム・ザ・クリプト)が正式加入した。

 初のベスト盤『Greatest Hits』(2005年)発表後にはそのウィラードも脱退。ボブ・ロックと初めて手を組んだヒット作『Rise And Fall, Rage And Grace』(2008年)では再度フリーズをサポートに迎え、“You’re Gonna Go Far, Kid”などの人気曲を生んでいる。直後のツアーからドラマーにピート・パラダ(元セイヴス・ザ・デイ)が正式加入し、続く9作目『Days Go By』(2012年)を発表。

 同作でコロムビアとの契約を終了し、2015年には次作からの先行曲“Coming For You”を公開するも、2018年には創設メンバーのグレッグが脱退、以前からサポートを務めていたトッド・モース(ベース)が正式加入するなど体制の立て直しやパンデミックの影響もあり、コンコード移籍作となる10作目『Let The Bad Times Roll』の登場は、前作から実に9年後の2021年であった(同作への参加後にパラダも離脱)。そこから3年ぶりというスパンの短さを考えれば、新体制で臨む今回の新作に注がれたメンバーの気合いは言うまでもないだろう。 *轟ひろみ

オフスプリングのアルバム。
左から、89年作『The Offspring』(Nemesis)、92年作『Ignition』、94年作『Smash』、97年作『Ixnay On The Hombre』(すべてEpitaph)、98年作『Americana』、2000年作『Conspiracy Of One』、2003年作『Splinter』、2008年作『Rise And Fall, Rage And Grace』、2012年作『Days Go By』(すべてColumbia)、2021年作『Let The Bad Times Roll』(Concord)