すでに名作『Wish』(92年)以来の全英1位を獲得している、『4:13 Dream』(2008年)から実に16年ぶりとなったニュー・アルバム。その間には元ティン・マシーンのリーヴス・ガブレルス(ギター)が加入するなど布陣に変化はあったものの、ロバート・スミスの美意識(と歌声!)は貫かれている。重厚な幕開けの“Alone”から雰囲気は終始ダーク。壮麗な“And Nothing Is Forever”や亡くなった兄に捧げた“I Can Never Say Goodbye”、10分超の大曲“Endsong”に至るまで、自身の死やキャリアの終わらせ方を強く意識した側面が際立っている。内省的な濃密さの奥へと否応なく引き込まれる一枚だ。