時代だって、由貴に染まる。歌手デビュー40周年!

 いわゆる80年代アイドルの中でも存在感を発揮し、女優として現在も活躍している斉藤由貴。そんな彼女が大ヒットした“卒業”で85年2月21日に歌手デビューしてから40周年……ということで、そんな節目にセルフ・カヴァー・アルバム第2弾『水響曲 第二楽章』が登場した。デビュー当初から数々の楽曲を手掛けてきた武部聡志がプロデュース/全曲のリアレンジを担当し、表現力を増した現在の彼女に相応しい上品な雰囲気で仕上げられている。

斉藤由貴 『水響曲 第二楽章』 ビクター(2025)

 幕開けから当時アニメ「めぞん一刻」のOPテーマとしてヒットした“悲しみよこんにちは”を穏やかに披露し、“土曜日のタマネギ”や“ORACIÓN -祈り-”“夢の中へ”のようなシングル曲だけでなく、ファンの間で人気が高いという本人作詞の“予感”や“家族の食卓”などのアルバム収録曲もチョイス。デビュー曲“卒業”を高校生の合唱をフィーチャーして清らかに生まれ変わらせているのもいいし、同曲のカップリングだった隠れ名曲“青春”の披露もポイントだろう。なお、初回限定盤はカヴァーした曲のオリジナル音源をDisc 2に収めた2枚組となる。

 また、同じく武部のプロデュースによるスタジオ・ライヴの模様を収めたBru-ray/DVDの『Studio Live 水響曲「四季」』も同時リリース。こちらはピアノとヴォーカルのみのアコースティック編成でオリジナルやカヴァーが披露される映像作品だ。さらには、このタイミングで89〜94年のオリジナル・アルバム4タイトルもリイシュー。武部のプロデュースを離れた初の作品となる『âge』(89年)から久々に筒美京平の楽曲提供を受けた『moi』(94年)まで、シングル中心ではなくなった時代ならではの、主役の美意識が伝わるアーティスティックな作風はいずれも魅力的だ。

左から、斉藤由貴の映像作品『Studio Live 水響曲「四季」』(ビクター)、このたびリイシューされた斉藤由貴の89年作『âge』、90年作『MOON』、91年作『LOVE』、94年作『moi』(すべてポニーキャニオン)