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成功と試行錯誤

 結成は2007年。マーカス・マムフォード(ヴォーカル/ギター/ドラムス)、テッド・ドウェイン(ヴォーカル/ベース)、ベン・ラヴェット(ヴォーカル/キーボード)、ウィンストン・マーシャル(ヴォーカル/バンジョー/ギター)の4人が集い、ロンドンを拠点に活動を開始。ノア&ザ・ホエール、ローラ・マーリングらと共に〈ニュー・フォーク〉と名付けられたムーヴメントから頭角を現してきた彼らがバンジョー、マンドリン、アコーディオン、ダブル・ベースといった伝統楽器を使いながら演奏するアンセミックな曲の数々はたちまち多くの人の気持ちを掴み、2009年にリリースしたファースト・アルバム『Sigh No More』は、いきなりイギリスおよびアメリカのナショナル・チャートの2位に食い込むと、ブリット・アワードの年間最優秀アルバムを受賞する。続く『Babel』(2012年)はUK/US共にNo. 1ヒットになり、ブリット・アワードとグラミーで年間最優秀アルバム賞を受賞。彼らはその人気を揺るぎないものにすると同時に、グラストンベリー、ボナルー、レディング&リーズといった名だたるフェスティヴァルでヘッドライナーも務めてきた。

 そんな活躍がマーカス・マムフォードのインスピレーションになった米国アメリカーナ・シーンに対して、逆に刺激を与えたことも見逃せないが、バンドはいつしか〈新世代フォークの旗手〉と言われることを窮屈に感じはじめ、脱フォークを大胆に推し進めるようになる。

 ウィンストンがバンジョーをエレクトリック・ギターに持ち替え、U2やコールドプレイからの影響も指摘されたロック・サウンドを鳴らす『Wilder Mind』も物議を醸しながら、UK/USの両方でチャート1位を獲得したのだから、当時のバンドの勢いが窺える。南アフリカのアーティストとコラボレーションした2016年のEP『Johannesburg』も、ふたたびバンジョーも使いながら『Wilder Mind』以上に音楽性の幅を広げた『Delta』も、共に同じことを繰り返しているだけではバンドとして成長できないと考えるメンバーたちの向上心を印象づけるものだったが、いま思えば、脱フォークを意識するあまり試行錯誤を繰り返していたようにも感じられるが、どうだろう?

 その答えが『RUSHMERE』なのだと思うが、マムフォード&サンズが結成され、音楽的な方向性が決められた思い出の地=ロンドンのウィンブルドンにあるラシュミア・ポンドから付けたアルバム・タイトルが物語るのは、バンドの原点回帰だ。「すべてが始まった場所にリスナーを連れ戻したかった」とメンバーたちも語っているが、今年1月17日に発表されたアルバムからのリード・シングル“Rushmere”のバンジョーが鳴るアンセミックなフォーク・サウンドは、『Sing No More』や『Babel』の頃のマムフォード&サンズを思い出させるものだった(バンジョーはマーカスが弾いている)。

 〈Light me up I’m wasted in the dark(暗闇で疲れ果てた僕に、希望の光を)〉と歌う同曲のMVをぜひ観ていただきたい。昨年12月、ロンドンのスタジオに招かれたファンが“Rushmere”を聴き、泣き笑いする様子を捉えただけの映像なのだが、なぜ彼ら彼女らがそこまで心を震わせているのかと言えば、マムフォード&サンズが帰ってきた!と思ったからなんじゃないか。その思いは2月19日に発表されたセカンド・シングル“Malibu”で確信に変わる。