[緊急ワイド]胸に響く歌 ’25
新しい何かが俺の中で目覚めた――フォーク、カントリー、アメリカーナ、どんな名前をつけようと、心のずっと奥にある歌は、心の中に響く歌声は、いつだってそういう形をしているに違いない!

NOAH KAHAN 『Stick Season (We’ll All Be Here Forever)』 Mercury/Republic(2023)

米ヴァーモント州出身のフォーク・ポップ歌手が問答無用のブレイクを果たした2022年作の新装デラックス盤。ブランディ・カーライルやグレイシー・エイブラムスらとのコラボを収めたさらなる豪華盤〈Forever〉版もフィジカル化してほしいものだ。

 

OLIVER ANTHONY MUSIC 『Hymnal Of A Troubled Man’s Mind』 Oliver Anthony Music(2024)

昨年“Rich Men North Of Richmond”が全米1位を記録したカントリー/フォーク歌手の初作(同曲は未収録)。報われない人たちに支持されてきた自主録音の楽曲をデイヴ・コブの共同プロデュースによって再録したもので、メンタルの疾患やアルコール依存に苦しむ日々から生まれた〈悩める男の賛美歌〉を嗄れ声で歌い上げている。

 

ベン・プラット『Honeymind』 Interscope(2024)

「ディア・エヴァン・ハンセン」などで知られる俳優/シンガーのサード・アルバム。デイヴ・コブのプロデュースで、婚約者ノア・ガルヴィンとの関係を軸にクィアとアメリカーナを主題にした意欲作。ブランディ・クラークの歌う“Treehouse”が素晴らしい。

 

THE HEAVY HEAVY 『One Of A Kind』 ATO(2024)

フォーク・ロック〜サンシャイン・ポップな2020年のEP『Life And Life Only』が数年かけて話題になったブライトンの男女デュオ。この初フル・アルバムでは音楽性の幅を広げ、60年代のサイケデリックや伝統的な英国ロックに接近している。

 

SIERRA FERRELL 『Trail Of Flowers』 Rounder(2024)

ポスト・マローンやルーカス・ネルソンとの共演で広く知られるようになった、チャールストン出身のオルタナ・カントリー〜ブルーグラス系シンガー・ソングライターによる4作目。穏やかな歌風景にリラックスした演奏が染み渡るような名作だ。

 

JASON ISBELL 『Foxes In The Snow』 Southeastern(2025)

元ドライヴ・バイ・トラッカーズのギタリスト/シンガーによるニュー・アルバム。いつもの400ユニットを迎えず独力で作り上げたフォーク・アルバムで、アマンダ・シャイアーズとの離婚や新しい恋愛などパーソナルな主題を切々と歌い綴っていく。