DAY OF THE DEAD
偉大なるグレイトフル・デッドに捧ぐ……
アメリカン・ロックの伝説、グレイトフル・デッドに捧げた豪華なトリビュート・アルバムが登場。その名も『Day Of The Dead』はトータルで約6時間、計59曲から成る大作だ。企画を立ち上げ、4年の月日をかけて本盤を完成させたのは、ナショナルのアーロン&ブライス・デスナー兄弟である。
USインディーのキーパーソンとも言える2人の号令のもと、フレーミング・リップス、ジム・ジェイムズ(マイ・モーニング・ジャケット)、アイラ・カプラン(ヨ・ラ・テンゴ)、カート・ヴァイルなど、デッドのアメリカーナ要素やサイケなサウンドを、オルタナティヴな感性で消化してきた面々がこぞって集結。そこにソウル・シンガーのチャールズ・ブラッドリーや、セネガルの伝統音楽にラテン味を足すオーケストラ・バオバブ、ジャズ・ピアニストのヴィジェイ・アイヤーほか、ジャンルを越えたアーティストたちの解釈も加え、さまざまな角度からデッドを考察していく。
マムフォード&サンズやサム・アミドンらUKトラッド・フォークを受け継ぐ新世代アクトのパフォーマンスも興味深いが、アノーニやパフューム・ジーニアスといったトランスジェンダーのシンガーによる中性的な歌声がデッドの曲に新たな魅力を生み出しているのも見逃せない。そして、最後にウィルコとナショナルそれぞれが本家のボブ・ウェアと共演したライヴ音源を収め、この作品はフィナーレを迎える。いまの視線でリメイクされた楽曲群は、デッド初心者から往年のファンまで幅広く楽しめるはずだ。