RIP SLYMEのベストアルバム『GREATEST FIVE』のリリースを記念して、タワーレコードではフリーマガジン「TOWER PLUS+ RIP SLYME 特別号」を発行! ここでは中面に掲載された、メンバーインタビューの完全版を掲載いたします。「TOWER PLUS+」はタワーレコード全店にて配布中です!※ *TOWER PLUS+編集部
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2025年4月、RIP SLYMEが8年ぶりに5人体制での活動再開を発表した。RYO-Z、ILMARI、PES、SU、FUMIYAが再び集結し、復活第1弾楽曲としてデジタルリリースされた“どON”はファンの間で大きな反響を呼んだ。メジャーデビュー25周年イヤーという節目の年に実現した今回の再集結。しかし、これは単なる復活劇ではない。期間限定という形を取った背景には、彼らなりの想いと覚悟があった。7月16日にリリースされる全48曲3枚組という大ボリュームのベストアルバム『GREATEST FIVE』を前に、5人のメンバーが再始動への道のりと現在の心境を語った。
ヒップホップをお茶の間へ届けた功績
まず振り返っておきたいのは、RIP SLYMEが日本の音楽シーンに与えた歴史的インパクトだ。2002年にリリースしたセカンドアルバム『TOKYO CLASSIC』はオリコン1位を獲得し、日本のヒップホップアーティスト史上初となる100万枚セールスを記録。さらに同年には、やはり日本のヒップホップグループとして初めての日本武道館での単独公演を開催し、ラップミュージックを文字通りお茶の間へと届けた。
どこを切り取ってもハイセンスな音楽的探究心に富んだ解放的なサウンド(ビート)プロダクションと4MCによる軽妙洒脱なマイクリレーが織りなすコンビネーションが、底しれない楽しさを生み出すRIP SLYMEの音楽像。
彼らの功績は単なる商業的成功にとどまらない。軸には確固としたヒップホップマナーがあり、現代の音楽シーンのようにラップをオーバーグラウンドに届けるのが難しかった時代に、〈ラップすることの楽しさ〉をストレートに広めた功績はとても大きかった。コアにも響く説得力とメジャーの親和性を両立させ、ヒップホップ=アンダーグラウンドなジャンルという既成概念を打ち破ったとも言えるだろう。
5人での活動再開は茨の道
8年ぶりの再始動について、メンバーたちはそれぞれ独特の表現で現在の心境を語る。
RYO-Z「非常に楽しくやらせてもらっているっていう感じですね」
ILMARI「8年ぶりなのに、スッと戻れた感じですかね。元の5人の雰囲気に」
と自然な復帰を強調した。一方、PESは現在の状況を
PES「にわかな躁状態に陥りつつ、ライブを続けている感じ(笑)」
と独特の表現で明かす。SUの言葉は特に印象的だった。
SU「これまでもそうだったんですけど、今はテレビを観ていても、漫画を読んでいても、街を歩いていても、〈あ、これRIPに使えるな〉とか、〈RIP SLYMEがこれやったらどうかな?〉とか、そういう感覚が活動休止以前よりも濃くなった感じですね」
今回の再集結は、ILMARIの強い想いから始まった。
ILMARI「2001年にメジャーデビューを5人でして、それから活動していたんですけど。活動休止するか、続けるかということをみんなで決められてなかった後悔がすごくあったんです」
ILMARIの中にあったのは、ある種のけじめにも似た想いだった。
ILMARI「5人でちゃんと集まってどうするか決めたかったという気持ちがすごく強かったですし、それをファンの方々にもちゃんと伝えたかった。あとは関わってくれていたスタッフのみなさんにもちゃんと〈こういう決断をしました〉って5人そろって伝えたかったので」
さらに彼は続ける。
ILMARI「別のインタビューでも、ケジメとして〈。〉をつけたかったって答えているんですけど。一度、句読点をつけて、みんなでもう一度どうするのか考えたいとなった時に、シンプルに僕はライブも制作も5人で音楽活動することが楽しかったので。もう一度みんなで集まってやりたいなって思ったんです」
ILMARIは1人ずつメンバーと会い、その想いを伝えていった。
ILMARI「FUMIYAとRYO-Zくんとは一緒に活動していたので、3人でいる時に話して。PESくんとはずっと話ができてなかったんですけど、連絡して〈こういうこと思っているんだけど、いかがでしょうか?〉と提案しました。SUさんと2人でご飯を食べに行って。〈こういうふうに考えているんだけど〉って話して」
声をかけられたメンバーたちの反応は様々だった。PESは現実的な視点で状況を分析していた。
PES「茨の道というか、また5人で活動を再開するのは大変なこともたくさんあって。もちろん、5人の気持ちも大事なんですけど、同時進行で今近くにいるスタッフや過去にお世話になったスタッフも含めて、いろんな人の理解や調整が必要だと思いました。表に立ってライブをしたり、楽曲制作するのは、始まってしまえば楽しんでやれると思ったんですよ、そこはミュージシャンなんで。それよりもやっぱりお世話になった人や今バラバラになってしまったスタッフなどとのコミュニケーションをとることのほうが大事かなと思ったので。それもあって慎重に進めたいなと思ったんです」
一方、SUは素直に嬉しさを表現した。
SU「まず、ILMARIくんに会うこと自体にすごく緊張しました。ご飯を食べながらILMARIくんの話を聞いた時は素直に〈嬉しい〉と〈ありがとうございます〉という言葉が出ましたね」