Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、5人が1曲を厳選し計5曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部
【鈴木英之介】
寺嶋由芙 “仮縫いのドレス”
作詞・松井五郎 × 作曲・中田裕二のタッグによる一曲。リリース日(2021年6月3日)から少し経って知ったため、紹介するタイミングを逸していたが、この曲を含む寺嶋由芙のニュー・アルバム『サバイバル・レディ』がちょうど明日6月30日(水)にリリースされるとのことで、これを機に取り上げたい。
一聴してまず山下達郎や大貫妙子の作品が連想されるが、それだけに留まらず、聴き進めるうち彼らに影響を与えたロジャー・ニコルスやバート・バカラックといったアメリカの作曲家たちの影響も透けて見えてくる。シティ・ポップ好きはもちろん、ソフト・ロック好きにもきっと刺さるのではないだろうか。ゴージャスにしすぎずほどよく隙間を作った、ちょっとニック・デカロっぽい山川恵津子のアレンジもお見事!
【小峯崇嗣】
Autumn Fruit “思い草”
新鋭レーベル〈makran〉に所属するアーティスト、Autumn Fruitがニュー・シングル“思い草”をリリースしました。煙のように消えてしまいそうな儚げでメロウなサウンドに、たゆたうような美声が絡み合う1曲です。琉球民謡のサンプリングをしたという趣向や、途中のブレイクビーツの入りなど、細やかなところまで行き届いた飽きさせない展開に感服してしまいます。
【田中亮太】
Have a Nice Day!, PES, PORIN “オールディーズ”
これには驚きました。ハバナイ × RIP SLYMEのPES & Awesome City ClubのPORINという組み合わせにもですが、なによりポップで可愛らしい曲調に。自分はハバナイの熱心なリスナーではないので誤解しているかもしれませんが、バンドがあまり見せていなかった横顔なのではないでしょうか。ファンシーなエレクトロ・ポップにのせて描かれる、インターネット・アイドルとオタクのラブストーリー。愛の残酷な非対称性と、蜃気楼のようで、でも確かに僕らの間を通り過ぎたロマンス。
【酒井優考】
サ柄直生、uami “まねごと”
ビートメイカーでプロデューサーのサ柄直生(さがらなお)と、uamiが初の共作。無機的な音と有機的な音とuamiの優しく美しい歌声が、どんどん重なって融合して溶けていく。良いです。
【天野龍太郎】
HYDE “NOSTALGIC”
5月に新曲“ミライ”をリリースされた(フィジカルは8月発売)のがきっかけで、L’Arc~en~Cielの過去作を聴くのがマイ・ブームになっています。そして、立て続けにリリースされたのが、このHYDEのニュー・シングル“NOSTALGIC”。2002年のファースト・ソロ・アルバム『ROENTGEN』(名盤!)の世界に回帰したとのことで、マジでたまりません。オーケストラの壮麗な演奏(管楽器のアレンジが秀逸)とエレクトロニクスの融合がめちゃくちゃモダンで、超かっこいい。そして、そこに乗るHYDE様の艶唱(©由紀さおり)。最高です。現在開催中の『ROENTGEN』を再現・昇華するオーケストラ・ツアー〈20th Orchestra Tour HYDE ROENTGEN 2021〉、中野サンプラザ公演は終わっちゃったけど行きたいな~(ラルクのライブも観たいけど)。配信リンクはこちら。