LAの空に虹が架かることを願って
――高中さんの場合、作曲は楽にできるものなのですか?
「僕は昔から作曲には四苦八苦してきたタイプで、ダメな時はどうやってもダメ。何もないところから作り出して、しかも聴いた人を感動させなくちゃならないから、なかなか難しいよ。
だから、ここ数年は作ってないんだ。僕自身もそうだし、他の人を見ていても思うんだけど、その人のヒット曲や代表曲は若いときに作った曲がほとんど。やっぱり、若くて生命力の強いときに作った曲には勢いがあるし、人を感動させる力があるんだと思う」
――LAのコンサートでは、もはやトレードマークとなった赤いスーツ、サングラスにオールバックの髪型という出でたちでしたね。
「いろいろ考えるんだけど、結局あれになっちゃうね(笑)。2ndアルバム(『TAKANAKA』)のジャケットに写ってるから、よく知られてるしね。客席にも僕と同じ格好してるお客さんが2~3人いたよ(笑)。
あの赤いスーツは(サディスティック・)ミカ・バンドでロンドンに行ったとき、今井裕がロックファッションのお店〈レット・イット・ロック〉で買ったモノなんだ。今井が、買ったのはいいけどあまりに派手過ぎて着られないでいたのを、“MAMBO NO. 5 (DISCO DANGO)”のときに僕が借りて着たんだよ。最初は恥ずかしかったけど、馴染んじゃうともう平気(笑)。インパクトも強いしね。もう5着くらい作り直して、いまだに着てるよ(笑)」
――LAのコンサートは、爽やかな曲からダンサブルな曲、そしてサンタナのカバー“哀愁のヨーロッパ”まで、ベストオブベストな内容だったと思います。アンコールの最後には『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』から“YOU CAN NEVER COME TO THIS PLACE”とアメリカ国歌の“星条旗よ永遠なれ(National Anthem of USA)”を演っていらっしゃいましたね。
「1月にロサンゼルスで山火事があったでしょ。その後のグラミー賞の授賞式でママス&パパスの“California Dreamin’”(邦題:夢のカリフォルニア)という60年代の古い曲が流れていて、皆んな癒しを求めていると感じた。だから僕も何か特別に気持ちを込めた曲を演奏しようと思ったんだ。
『虹伝説』には、虹が出て悪いモノが淘汰されるというストーリーがあるので、LAの空にも虹が出ることを願って演奏したんだよ」
――ホントに虹が出るといいですね。
「翌日、出たんだよ。僕らはホテルで打ち上げをやってたから気づかなかったんだけどね(笑)。
“星条旗よ永遠なれ”は、ウッドストックでのジミ・ヘンドリックスの演奏も衝撃的だったけど、スーパーボウルでホイットニー・ヒューストンが歌ってたのがカッコよかった。この曲を演れば、現地の皆さんも多少は勇気が出るのではないかと思ってね……」
――LAでは現地のファンとの交流はありましたか?
「コンサートが終わって、会場から出ようとしたときにファンが50人くらい出待ちしていて、逃げるわけにはいかないので(笑)、全員にサインした。最近、テレビで大谷(翔平)選手がマメにサインしてるのを見て、僕もやらないといけないなと思ったりしてね(笑)。
その中にはラジオ関係者の人もいて、その後メールを交換してるよ。僕は約30年、アメリカへ行ってなかったから、今のアメリカの人が何を考えているのか、どんな感性を持っているのか、知りたいからね」
70歳を過ぎてますます忙しくなってきた
――さて、ワールドツアーの前哨戦とでも言うべき国内ツアーが9月から始まりますが、何か今年ならではのコンセプトは考えておられますか?
「ツアーのタイトルやセットリストはスタッフに任せてあるから、ちょっとまだ分からないよ。まあ、国内ツアーでベストな形を作って、それを世界各地へ持って行くことになると思う」
――もう50年以上、シーンの第一線で活躍されてきましたが、振り返ってみてどんな感想をお持ちでしょうか。
「まあ、僕は昔から何も変わっていないと思う。ただ好きな音楽をやってるだけ。子供の頃にビートルズやベンチャーズを聴いて憧れて、最初は真似から入ったけど、やがてオリジナル曲を作るようになって、それを好きになってくれる人が現れて、50年以上経ってもファンがまだ着いてきてくれる。すごく嬉しいことだよ」
――しかも、世界進出という新たな展開も始まりました
「『ドラクエ』に〈あとの人生はオマケみたいなもんだよ〉っていうセリフがあって、僕も70歳を過ぎたら少しずつシーンからフェイドアウトしていくんだろうなと思ってた。そうしたら、どういうわけだか70歳を過ぎてますます忙しくなってきて(笑)。
しかも、世界各地で人気が出てワールドツアーをすることになるなんて、数年前まで考えもしなかったこと。人生、いつ何が起こるか分からないね。とにかく面白くなってきたから、目一杯頑張って、楽しむことにするよ」
RELEASE INFORMATION

リリース日:2025年7月16日(水)
■初回限定生産版
品番:LAGB-15, 16, 17
仕様:Blu-ray1 枚+CD 2枚組+カラーブックレット
価格:8,800円(税込)
■通常版
品番:LAGB-18
仕様:Blu-ray 1枚+カラーブックレット
価格:5,500円(税込)
TRACKLIST
1. 黒船
2. BLUE CURACAO
3. SWEET AGNES
4. OH! TENGO SUERTE
5. トーキョーレギー
6. Alone
7. 哀愁のヨーロッパ
8. Hold On
9. The Party Just Begun
10. SHAKE IT
11. 渚・モデラート
12. A Fair Wind
13. Saudade
14. TAJ MAHAL
15. Finger Dancin’
16. EARLY BIRD
17. THUNDER STORM
18. READY TO FLY
ENCORE
1. BLUE LAGOON
2. YOU CAN NEVER COME TO THIS PLACE 〜 National Anthem of USA
LIVE INFORMATION
高中正義 SUPER TAKANAKA WORLD LIVE 2025-2026
2025年9月13日(土)東京・かつしかシンフォニーヒルズ
2025年9月15日(月)宮城・仙台電力ホール
2025年9月21日(日)神奈川・カルッツかわさき
2025年9月23日(祝・火)愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール
2025年9月28日(日)岡山・倉敷市芸文館
2025年10月8日(水)東京・LINE CUBE SHIBUYA
2025年10月18日(土)大阪・大阪城音楽堂
2025年10月19日(日)神奈川・厚木市文化会館
2025年11月1日(土)栃木・栃木県総合文化センター
2025年11月3日(祝・月)埼玉・あげお富士住建ホール(上尾市文化センター)
2025年11月15日(土)千葉・浦安市文化会館
2025年11月24日(祝・月)広島・JMSアステールプラザ 大ホール
2025年12月6日(土)福岡・福岡国際会議場 メインホール
2025年12月7日(日)熊本・熊本県立劇場 演劇ホール
2025年12月28日(日)北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
チケット料金:全席指定 11,000円(税込)
PROFILE: 高中正義
1953年、東京都生まれ。1971年、つのだ☆ひろ氏と故・成毛滋氏に誘われ、ロックバンドのフライド・エッグにベーシストとして参加。これをきっかけにプロミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせる。1972年にはサディスティック・ミカ・バンドにギタリストとして加入。バンドの解散後もサディスティックスのメンバーとして活動を継続した。1976年、『SEYCHELLES』でソロデビュー。以降、“Ready To Fly”“Blue Lagoon”など数々の名曲を発表し、ソロアーティストとしても高い評価を得る。1981年にリリースされたアルバム『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』は、日本インストゥルメンタル音楽史に残る代表作として知られる。これまでにリー・リトナー、カルロス・サンタナ、ナーラダ・マイケル・ウォルデン、シーラ・Eなど世界的なアーティストとも共演。アルバム制作やライブでの共演を通じて国際的にもその実力を示してきた。レーベルとしてはキティ・レコード、東芝EMIを経て2000年に自身のレーベルLagoon Recordsを設立。以来、毎年精力的に全国ツアーを行っている。2021年にはデビュー50周年を迎え、全国ツアーに加え、11月20日に東京・日本武道館で〈デビュー50周年 高中正義 虹伝説ファイナル at 日本武道館〉を開催。2023年、古希(70歳)を迎えた記念ツアーでは北海道から沖縄まで全国を巡り、キャリアの集大成とも言える〈ALL TIME BEST〉な構成で観客を魅了した。そして2024年から2025年3月にかけて、かつて在籍していたサディスティック・ミカ・バンドの名盤『黒船』をフィーチャーしたツアーを展開。その勢いのまま初となるロサンゼルス公演を開催し、2日間ともソールドアウトの快挙を達成した。そして今年2025年も変わらぬ情熱で精力的に活動を続けている。
高中正義オフィシャルサイト:https://takanaka.com/