先日の〈フジロック〉でのライヴが素晴らしかった5人組の初フル・アルバムは、冒頭の表題曲から緩急の効いたブレイクにハッとさせられる。かつて隆盛した下北系ギター・ロックを根っこに、NUMBER GIRLなども薫るオルタナ・サウンドが奔放に暴れ狂うなか、追憶と郷愁の詞世界、内藤さちの儚く凛々しいヴォーカルを溶け込ませ、他の追随を許さない独自色に染め上げた感じが痛快。退廃的かつミステリアスに〈夏がたりないね〉と歌う“evergreen”の甘美さもいい。ART-SCHOOL結成25年のタイミングに時代が一周した印象すら抱かせるという、まぎれもなく年間ベスト級の名盤だ。