名が体を表した2年ぶりのオリジナル・アルバム。色とりどりの個性を音の振り幅に直結させたのが傑作『13カラフルキャラクター』だとしたら、今回はひとつの声とひとつの音色でひとつのテーマを表現した作品という印象だ。〈'14〉名義でのシングル群と同じく新録曲も大久保薫のアレンジ曲が中心となり、一方向に駆けていくビートの最大風速や統一感は過去最高。もはやラヴソングの衣を借りることもなく〈人生〉を語る姿がつんく♂のコンディションを照らしているのは明白だが、“笑顔の君は太陽さ”を極みとする剥き出しの言葉たちには改めて泣かされる。道重さゆみを見送るセレモニー的な要素はまるでないものの、急激にストイックな色合いを増した千両役者の卒業アルバムには相応しいのかもしれない。