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©Lola Mansell

隅々まで瑞々しい魅力

 多面的かつ多様な〈愛〉を表現したという今作が奏でるのは、オリヴィア自身のルーツを懐かしくも温かく反映したヴィンテージ色の濃いサウンドだ。アルバムに至るまでの流れを敷いてきたザック・ナホームがエグゼクティヴ・プロデュースを担当し、大半の楽曲プロデュースにもタッチ。過去作から続投するマット・ヘイルズやマックス・ウルフギャング、バスティアン・ランゲベックの出番もありつつ、ザックと共同制作する面々の顔ぶれはさらに豪華に幅を広げていて、アルバムから全英3位というダメ押しのヒットになったボサノヴァ風味の“So Easy (To Fall In Love)”などでは、サブリナ・カーペンターの大ブレイクに貢献したヒット請負人のジョン・ライアンとジュリアン・ブネッタ(テディ・スウィムズ“Lose Control”他)が登板している。オリヴィア自身とコライトに臨んだソングライター陣も超売れっ子のエイミー・アレンをはじめ、サー・ノーランやマイケル・スタッフォードなど従来とはカラーの異なるポップ職人たちが並んでいて、送り手の側から見た今回のアルバムがどのような位置付けなのかも窺い知れるだろう。

 もっとも、名だたるヒットメイカーたちと絡んでもオリヴィア自身のアーティスト性や楽曲の作風が大きく変わることはない。先述のシングル群それぞれが洗練されながらもナチュラルな表情で送り出されてきた通り、多彩な楽曲の集まったアルバムは全編で本人の瑞々しい魅力を提示してくる。

 明らかにエイミー・ワインハウスを想起させるスモーキーなレトロ・ソウル“Close Up”を聴かせたかと思えば、鍵盤が麗しいアレサ・フランクリン調のバラード“Let Alone The One You Love”も素晴らしい。他にも軽やかな浮遊感を湛えたアップ・ナンバー“Something Inbetween”や荘厳な奥行きを備えたアトモスフェリックな“Baby Steps”、ふとディアンジェロの姿がよぎるスロウの“A Couple Minutes”、そして“Just The Two Of Us”っぽい歌い口も興味深い本編ラストの“I’ve Seen It”……と、隅々まで好ましさで埋め尽くされた名盤だ。

 なお、日本盤には“Man I Need”など3曲のライヴ音源をボーナス収録。そのパフォーマンスを聴いてライヴでの姿にも触れてみたくなる人は多いはず。この春からワールド・ツアーで北米や欧州を巡るオリヴィアだが、いずれは再来日も実現してほしいものだ。

オリヴィア・ディーンが参加した作品を一部紹介。
左から、ルディメンタルの2019年作『Toast To Our Differences』(Asylum)、ロイル・カーナーの2022年作『Hugo』(EMI)、サム・フェンダーの2025年作『People Watching(Deluxe Edition)』(Polydor)

左から、アクアラングの2022年作『Dead Letters』(Okey-Donkey)、エル・マイケルズ・アフェアの2025年作『24 Hr Sports』(Big Crown)