Guianoが自身3枚目となるフルアルバム『The Sky』をリリースした。2014年にボカロPとして活動を始めた彼は、2018年に発表した“スーパーヒーロー”や“死んでしまったのだろうか”などでヒットを記録。フューチャーベースやトロピカルハウスの要素を取り入れた爽やかなサウンドで大きな支持を集めた。2021年にリリースした2ndアルバム『A』では、ほぼすべての楽曲を自ら歌唱し、シンガーソングライターとしての活動を本格化。この度リリースされた『The Sky』は、ポスト・ハイパーポップ的なロックチューン“せかいのしくみ”をはじめ、Guianoというアーティストの新たなフェーズを感じさせる楽曲が並んでいる。このアルバムはどのようにして生まれたのか。その経緯やコンセプトについてたっぷりと訊いた。
〈自分を受け入れる〉ことで抜け出したスランプ
――今作『The Sky』は前作『A』から5年ぶりのフルアルバムということで、まずはリリースに至るまでの経緯について伺いたいと思います。2023年の取材では『A』をリリースした時期はスランプに陥っていたと話されていました。当時はどのような状況だったのでしょうか?
「『A』は本格的に自分で歌っていこうとした時期にリリースしたアルバムなんですが、ボカロを使った曲と自分で歌う曲では作り方がまるで違ったんですよね。例えば昨今のボカロ曲はJ-POPとは構成が違って、尺が2分半くらいだったりすると思うんですが、それを自分の声でやろうとしても、ボカロの方がいいものになってしまう。そういう悩みが凄く多かったですし、自分がボカロでよくやっていたようなEDM系の曲を作ろうとしても、自分の声でやる意味を見出せなくて。何も答えが出ないままずっと疑問の中にいたので、とりあえず何かを完成させて(手がかりを)見つけようとしたのが『A』なんですよね。
でも、いざ完成した時に――本当はこんなことを言うのはよくないかもしれないですが――あまり感情がわかなかったというか。とにかく形にするということに重点を置きすぎて、何を作るかとか、アルバムにまとめる意味とかを追求できていなかったんです。リリースしてからしばらくは、自分はこれからどうすればいいのか、何が自分にとっていいものなのかがわからなくなっていました」
――そのスランプからは、どのように脱していったのでしょうか?
「2023年にリリースしたEP『花鳥風月』が大きなきっかけですね。そもそも『A』のコンセプトには、自分の完璧主義を抑えたものを作るということがあって。自分を変革していかなきゃという思いが強すぎて、それが作品を濁していたんですよね。
その反省から『花鳥風月』は、自分の好きなものややりたいことに向き合うという、自分を受け入れる方向で制作を進めました。ボカロをもう一度やりたかったからボカロを使ったし、人にも歌ってもらいたかったからV.W.Pのみんなに歌ってもらったし、でもやっぱり自分でも歌いたかったから自分で歌って。このEPを作ってから調子がよくなり始めましたね」
やりたいことはコンセプトをしっかり考えて作り込む制作
――『花鳥風月』については〈忘れかけていた創作の美しさを思い出すため、花鳥風月という美しい言葉になぞらえて、長い月日をかけて作った〉とポストされていました。
「僕はとにかく風景が好きで、そういう作品を作りたいと思ってるんですよね。『花鳥風月』もその一環で。〈花鳥風月〉という言葉を多少季節と絡めて、花だったら春っぽく……という感じで作りました。
自分のやりたいことってなんだろうと考えた結果、コンセプトをしっかり考えて作り込むことだと気づいたんですよね。なのでこの作品は、〈花鳥風月〉のそれぞれをテーマにした4曲を作ることを最初に決めてから、作業に取りかかりました」
――『花鳥風月』でスランプから脱したということは、やっぱり創作の美しさを思い出したんですか?
「もう間違いないです(笑)。今でも明確に覚えてるんですけど、“花”を作った時に霧が晴れましたね。自分の好きなものに立ち返るために“透過夏”などに近い感じになるように作ったんですが、1コーラス作って聴いてみた時に〈ああ、やっぱりこういうのが好きなんだな〉と思って。“花”は『花鳥風月』で一番最初に作った曲なんですが、そこから手がばんばん動くようになりましたね」
――先述の取材では「もう一度自分が前に出て歌うことに挑戦したい」とも話されています。
「そんなこと言ってたんですか(笑)。ずっとやってたつもりだけどな……。でも、もう無理なんじゃないかと思うくらいには悩んでましたね。今でも自分はボカロや楽曲提供の方が向いていると思っていて。
おそらく僕は物事の長所を見つけることが得意なんですよね。悪い部分も裏返したら長所になることを知っているから、例えばボカロの発音の悪さを利点にした作品を作るとか、そういう部分にクリエイティブの楽しさを見出すことが多いんです。でも〈向いてる〉と〈やりたい〉はまた違うんですよね」

自分を認めて愛したかった
――今作『The Sky』は、その〈自分が前に出て歌う〉という挑戦の素晴らしい結果だと思いました。このアルバムはどのような経緯で制作されたのでしょうか?
「2024年の12月に『Save me』、2025年の5月に『Hold Me Tight (yourself)』というEPを出したんですが、その2作と『The Sky』は個人的に繋がっていて。『Save me』の制作時から、3部作で自分の弱い部分を段階的に描いていくことを構想していました。自分の核の部分に段々と近づいていって、最後は絶対に解決するような内容にしようと思っていて。『Save me』では自分の中の〈助けてほしい〉という気持ちと〈自分で自分を救いたい〉という気持ちのせめぎ合いを描いて、『Hold Me Tight (yourself)』では〈抱きしめたいけど、どちらかといえば抱きしめられたい〉という気持ちに気づいて……という具合ですね。『The Sky』はその完結編に当たります」
――なぜそうした作品群を作ろうと思ったのでしょうか?
「自分を愛したかったということに尽きますね。今までの僕は、過去の自分を否定することで変化しようとしていたと思うんです。でも『Save me』と『Hold Me Tight (yourself)』は、自分の核心にあるいい部分のことも考えて作っていて。“カーテン”(『Hold Me Tight (yourself)』収録)の歌詞にある〈人の笑顔が/何よりもおれの心を満たすから〉みたいな、人に馬鹿にされそうだけど本当に思っていることをいっぱい書いていったんです。それによって、自分がどうしようもなく内包してしまっている自分を認めることができたというか。意図しない成功や意図しない失敗によって、自分が思い描いた理想像とは異なる自分が形成されていく。そういう意図しない自分を認めていくことが、自分を愛することなんだと気づいたんですよね」
――3部作の個々のテーマ自体はその時々に見つけていったんですか?
「そうですね。それぞれの制作時期では心境に結構変化があったんですが、それを見越してテーマは未来の自分に託すことにしていました。
ただ、やっぱり最初から決めていたこともあって。実は『Save me』は『Hold Me Tight (yourself)』と同じく、当初はタイトルに〈yourself〉が入っていたんです。諸事情で現在のタイトルになってはしまったのですが、3枚目に〈yourself〉をつけないことは決まっていました。1枚目と2枚目では〈あなた自身〉をテーマにして、3枚目ではそれらすべてを内包したありのままの風景を愛することが大事だと言いたかったんですよね」
〈すべては無意味〉の先で生きていく
――『The Sky』は仏教における〈空(くう)〉の概念がテーマとのことですが、なぜこのテーマに決めたのでしょうか?
「僕は生きる意味を求めるような歌詞を書き続けてきたんですよね。不登校で幸せのラインが低い時期に曲を作り始めたのもあって、生きていてもいい理由が欲しくてしょうがなくて、ずっとそれを探し続けていたんです。ある程度年を重ねて自分も周りも〈そんなものはないよね〉と漠然と思うようになっても、なぜ生きる意味がないのかわからない以上、(意味を求めることを)諦めきれなくて。それで色々考える中で〈生きていたって死んでいたって、どっちも別に意味はない。ならば生まれてしまったからには、生きていた方が得〉という考えに至ったんです。これは収録曲の“せかいのしくみ”でまさに書いたことですね。
このアルバムは〈すべてのものに等しく意味がない。ならばどうする〉という諦めの境地を描いたものでもあるんですよね。僕は諦めることが凄く苦手で、挑戦することに生きがいを感じてきたんです。でも最近ようやく、諦めることで色々な物事が前に進むんじゃないかと思えるようになってきて。今までは〈諦めちゃいけない〉と思ったことをがむしゃらにやってきたんですが、諦めを挟むことで理性的になれることに気づいたんですよね。例えばどうしても達成できないことに直面した際に、〈じゃあどうやって目標に近づこう〉とか〈じゃあ別の自分なりの道を進もう〉という考え方になる。そういう何かを諦めるときの〈じゃあどうしよう〉という思考が、非常にクリエイティブだなと思ったんですよね。諦めた先で無意味なものに意味を見出していったり、死なない理由を見つけていったり……。
このアルバムの歌詞には〈無意味〉という言葉が結構出てくるんですが、それは無意味をどう捉えるかを描きたかったんです。無意味なものに対する考え方は人それぞれだけど、その違いこそが美しくて、人にとって生きていく理由になるというか。そういうテーマと親和性のある概念が〈空(くう)〉でした」

創作の核にある〈空(そら)〉と決着をつけたい
――一方でアルバムタイトルは『The Sky』ですし、アートワークは空を大写しにしたイラストですよね。同じ漢字である〈空(そら)〉もテーマにあったのでしょうか?
「このアルバムに込めたものをすべて書くと複雑になってしまうので、作品の説明文は〈空(くう)〉にまとめたのですが、個人的には〈空(そら)〉の方がメインテーマに近いんですよね。
空を描くことは自分の創作の核でもあるんです。曲を作り始めた中学生の頃から〈空(そら)〉という言葉を沢山使っていて。人には言えない感情だったり、ぐちゃぐちゃになっちゃった気持ちだったり、美しいと思うことの比喩だったり、とにかく物事を空の状態で表していたんです。でも、それは僕にとって半分逃げというか〈そんな綺麗なものに喩えるべき気持ちじゃないよね〉という考えがずっとあって。そういう言い訳みたいなものにもなっていた〈空(そら)〉と、決着をつけたいという気持ちがあったんですよね。この3部作は僕の内面に決着をつけるというか、僕の禍々しい部分を消化することを目的にしているんですが、それに相応しいテーマが〈空(そら)〉だったんです。
あとは〈空(くう)〉とも少し繋がるのですが、あるがままのものの象徴でもあるんですよね。空はあるがままそこにあって、変わっていくが変わらなくて、しかも美しい。自分もそうありたいし、それがどれだけ素晴らしいかを……うーん、難しいな……」
――かなり入り組んでますね(笑)。
「そうなんですよ。まあ色々な理由は一旦置いておいて、この作品のタイトルは『The Sky』以外ないですね。『Hold Me Tight (yourself)』の表題曲は〈なんて綺麗な空だろう〉という歌詞で終わるんですが、その歌詞を書いて〈やっぱり空(そら)なんだ!〉と思って。あの曲ができた時点で、次のアルバムは絶対に『The Sky』にしようと思っていました」
歌い手しほとの思いが合致した“私はキャンバス”
――しほさんがボーカルで参加した“私はキャンバス”の歌詞は、ずばり空を描くことがテーマになってますよね。今のお話を聞くと、Guianoさん自身の気持ちを投影した曲のようにも思えました。
「この曲には結構複雑な経緯があって。しほちゃんとは高校生くらいの頃から知り合いなんですが、ずっと悩みを抱えている子で〈周りのみんなは売れるために頑張ってるけど、自分は生きていけるだけのお金があって、好きな歌を歌えたらそれだけでいいんだよね〉みたいな話をよく聞いていたんです。
そんな子がオリジナル曲を作りたくなったみたいで、僕に依頼してくれて。ずっと〈どうすればいいのかわからない〉と悩んでいたことを知っているから、やっと自分のやりたいことを見つけたのかなと感動したんですよね。それで書いたのが“雫の歌”(2025年にリリースされたしほにとって初のオリジナル曲)なんですが、5分半くらいある曲なので、一発目の曲として本当にこれでいいのかなと思って。キャッチーでメロディアスな曲も送ってみようと思って作ったのが“私はキャンバス”なんです。
結局しほちゃんは“雫の歌”を選んでくれたんですが、個人的に“私はキャンバス”もかなり気に入っていたんですよね。もったいないし、『The Sky』のテーマともあまりにも合っていたので、今作に収録することにしました」
――以前の取材では楽曲提供を「相手と自分の間に生まれる独り言」と表現されていましたが、だからこそアルバムのテーマにも自然と合致したんですね。
「そうですね。しほちゃんが悩んでいたことと、自分が昔、または今悩んでいることがうまく合致した曲だと思います」

現代の暗部をパンクとして鳴らすハイパーポップ
――音楽性についても伺いたいと思います。“せかいのしくみ”や“WHAT A WORLD!!!”はポスト・ハイパーポップ的なロックサウンドですよね。なぜこうしたサウンドを取り入れたのでしょうか?
「“せかいのしくみ”の制作時は、自分にとって新しいものを模索していました。ハイパーポップは作ってみたかったんですけど、今普通にやっても古い気がするし、自分がやる意味を見出せなくて。
ではどうハイパーポップっぽいものをやるかと考えた時に、パンクを現代的に解釈するとハイパーポップになるんじゃないかと思ったんですよね。当時はポストパンク、特にジョイ・ディヴィジョンをめっちゃ聴いていて。多分リフのシンプルな感じは凄く影響を受けてますね。〈てーてー、てーてー、ててー、てーててー〉みたいなのをやりたかったんですよ(“Disorder”のリフを口ずさむ)。なので、個人的にはこの曲はパンクでもあります」
――確かにパンクっぽさは感じますね。
「そうなんですよ。“せかいのしくみ”はエモーショナル・ポストパンク・ポップです(笑)」
――(笑)。ブレイクビーツやジャージークラブのビートも入ってますよね。
「ブレイクビーツは僕の手癖かもしれないですね。“藍空、ミラー”や“刹那Blue”にも入ってます。ジャージークラブは〈入れちゃえ!〉と思って入れました。そういう色々融合しためちゃくちゃな感じもハイパーポップっぽいのかもしれないです」
――“WHAT A WORLD!!!”はどうでしょうか?
「同じくパンクに影響を受けているんですが、こっちはグリーン・デイの“Basket Case”ですね。明るさと暗さの両面を孕んだ歌詞なども影響を受けてるんじゃないかと思います。“Basket Case”もめちゃくちゃポップかつパンクに歌ってるけど、言ってることは〈精神科に行ってセックス中毒だと言われた〉とかじゃないですか。その美しさをやってみたかったんですよね。
音楽的なところでは、ギターが核になった曲という時点で僕にとって新しい試みで。僕はギターがあまり上手くないので、簡単なリフやパワーコードを使っているんですよね。ハイパーポップには楽器が上手いアーティストも多いと思うんですが、そこにあえてステゴロで挑みました(笑)。前からやってみたかったハイパーポップ的なアプローチが、やっとそれらしい形になったのが“せかいのしくみ”や“WHAT A WORLD!!!”なんじゃないかなと思います」
――アンダースコアーズやPAS TASTAなどのハイパーポップ的な文脈にいるアーティストや、少し違いますがポーター・ロビンソンなども近年はポップパンク的な要素を取り入れてますよね。
「みんなつらいんじゃないですか(笑)。つらいから爆音を流したくてしょうがないけど、ポップな曲を作りたいとなるとああいう音楽になるんじゃないかなって。もしかしたらパンクに行くのは必然かもしれないですね」
〈生まれたことに宿命があってほしい〉という本音
――“WHAT A WORLD!!!”の歌詞は感嘆符や疑問符が多いですよね。歌詞とサウンドともに焦燥感があって、とてもマッチしているなと思いました。
「実はこの曲を作ってる時に、人生で初めてボロ泣きしたんですよね。そもそもこの曲は、自分の考えとは逆のことを書いて、それを否定することで逆説的に自分の考えを肯定する歌詞にしようと思っていたんですよ。
例えば〈生まれたことに宿命があると言って!〉などは僕と真逆の考えなんです。それで2番の〈なんてこと! だってもっと/愛を知って、愛し合って/生きたいと思ってた〉という歌詞を書き終えて〈さて、これからこの歌詞を否定していくか〉と思った時に、なぜかめちゃくちゃ涙が出てきて。おそらく、自分の考えと逆のことを書いたつもりが、本当に思っていることだったんですよ。本当は生まれたことに宿命があってほしいし、愛するだけじゃなくて愛されたいのに、その気持ちを封じ込めていたみたいで。悲しかったのか嬉しかったのかはよくわからないけど、気づいたらボロ泣きしてたんですよね。多分、この曲の歌詞が一番の本音なんだと思います」
――その気づきがアルバムに反映されたりはしましたか?
「この曲は最後の方に作ったので、特にそういうことはないですね。でも、自分は間違っていなかったんだなという確信にはなりました。僕は歌詞で〈自分で自分を救いたい〉とずっと言ってるんですけど、それをちょっと達成できたのかなと思います。正しくないからと封じ込めていた自分の考えも、完全になくすことはできないことに気づけたというか、〈生まれたことに意味があるとは思わないようにしよう〉という否定の方向ではなく、そういう考えがなくならないからこそ自分なんだと思えるようになりました。その気づきによって、僕の内面は大分変わりましたね。“WHAT A WORLD!!!”はこれまでの曲の解決として相応しいというか、3部作のコンセプトの完成形なのかなと思ってます」

愛をもらえたから死ななかった、今も生きている
――このアルバムは愛をテーマにした“I love you (Maybe this time it’s true)”で終わりますよね。1stアルバム『Love & Music』は「全ての原動力には愛が隠されている」という考えからタイトルに〈Love〉を入れたと話されていましたし、スタンスに一貫性を感じました。
「この曲は当初作る予定はなかったのですが、あまりにも最後に相応しい曲ができてしまったので入れた形です。昔の発言は大分恥ずかしいですが(笑)、本当に思ってることなんでしょうね。今の僕には生きる理由が沢山あるんですが、自分の状況がよくなかった頃は死ぬ理由しかなかったんです。なのになぜ死ななかったんだろうと考えると、それは人が愛をくれたからだと思うんですよ。
例えば親だったら無償の愛とよく言われますが、誰かに〈生きていてほしい〉と思ってもらえるだけで、それは人にとっての生きる理由になると思うんです。僕も生きていてほしいと思う人には、それを伝えるような行動を取りたいし、それを愛としたいというのがこの作品の結論なんですよ。結局全部に意味はないけど、自分のことを手伝ってくれたり、励ましてくれたり、怒ってくれた人がいたからこそ、生きる理由ができた。そういう行動をしてくれるのは、僕のことを何かしら考えてくれているからで、それが愛の本質であってほしいんです。
考えてみれば“あなたはmusic”は〈めちゃくちゃ愛してたはずなんだけど、僕は見てただけだったんだな〉みたいなことを書いているし、“WHAT A WORLD!!!”も〈本当は愛されたい〉と歌っているし、このアルバムは段々と愛に走っていってるんですよね。結局、僕の生き方は〈あの時あの人に何をしてあげられたかな〉とか〈あの時あの人は何をしてくれたかな〉とか、人との関わり方に帰結するんですよ。『Love & Music』の頃は上手く言語化できなかったのですが、多分当時から同じことを考えているんじゃないかと思いますね」
リアム・ギャラガーとカート・コバーンになりたい
――先ほどのハイパーポップの話とも繋がりますが、この曲のラストは派手に音割れしてますよね。
「あそこには明確な意図がありますね。最後の曲にすることを決めてから付け足した部分なんですが、あれは回想シーンや走馬灯のイメージなんです。15曲目までたどり着いてあの部分を聴いた時に、今までの記憶が全部呼び覚まされるかのようにしたくて。〈I love you〉という言葉と同時に、聴いている人の頭の中を〈ぶわーっ!〉とぐちゃぐちゃにしたかったんですよね。
あと、今作ではあまりシンセを使わなかったので、僕のオリジンにあるようなバカデカシンセを使いたくなったところもありますね。最後の最後に忘れ物を〈ぶわーっ!〉とやりました(笑)」
――そのラストの場面がまさにそうですが、今作は前作と比べてもエモーショナルな歌唱が目立つように思いました。
「ここ2年くらいでようやく〈こういう歌を歌いたい〉というロールモデルを見つけたんですよね。やっぱりリアム・ギャラガーとカート・コバーンになりたくて(笑)。がなり声って凄く難しくて、訓練しないとわざとらしくなってしまうんですよ。でもいつかは上手くなると信じて、ニルヴァーナをカバーしまくったりして。その成果が出始めたのかなと思います。ロールモデルがいない状態だと、基礎練習をしてもその先が想像できなくて、歌が全然上達しなかったんですよね。最近は歌を褒められることも増えてきて、やっと戦えるラインに来たのかなと思っています」

自分の歌もボカロも両方やればいい
――歌の話で言うと、今作は複数の曲でコーラスとしてSynthesizer Vの重音テトが使われてますよね。音量もかなり大きくて目立ちますが、なぜテトを使うことにしたのでしょうか?
「ツインボーカルと言えるくらい大きいですよね。これはボカロをやりたかったということに尽きますね。実はずっとやりたいとは思ってたんですけど、今やると自分で歌う作品とごっちゃになっちゃうじゃないですか。それにありがたいことに、ボカロ曲を求めてくれる古参ファンの方々が沢山いらっしゃるんですが、安易にボカロ曲を作ってしまうと、結果的に自分で歌う行為が裏切りのようになってしまう気がして。どうしても自分で歌いたいから、ボカロは諦めていたんですよね。でも冷静に考えたら、どっちもやればいいんじゃないかと気づいて、今作で使うことにしました。
しかも、最初の方に話した、ボカロ曲や楽曲提供ならではの着想も得られたんですよね。テトに歌ってもらうことで〈こういう風に歌うとこうなるんだ〉という発見をして自分の歌を変えたり、逆にテトの歌を自分に合わせたりもして。もしかしたら、ボカロ曲を作っていた頃と制作方法が近くなったかもしれないです。テトを選んだ理由に関しては、自分の声に一番合うからですね。僕とテトの声ってめちゃくちゃ合うっすよね?」
――めっちゃ合ってます。テトのパワフルな声はGuianoさんの歌と相性がいいなと思いますね。
「ありがとうございます! めちゃくちゃパワフルですよね。テトは声の抜けがよくて、ハモリを3本くらい入れても綺麗に抜けるんですよ。音として素晴らしいなと思いますね。
ここ数年は、人間的な深みのある声のボカロがめちゃくちゃ増えたと思うんですが、僕はそれを好きになれなかったんですよね。これまでのボカロって声が凄く細かったんですが、だからこそ男性のキーのオクターブ上で歌わせても成立していたと思うんです。人間は低いところだと声が太くなって、高いところだと声が細くなる。でも、ボカロはどの音域でも声にあまり差がなくて、それが長所でもあったんですよね。そういう機械っぽさがボカロから薄れていく中で、今の技術で作られた〈ボカロっぽいボカロ〉が重音テトと可不だと思っていて。この2つがヒットしたのは、ボカロPが一番求めているボカロだったからだと思いますね」
――興味深いです。自分で歌いたいという思いとボカロをやりたいという思いを同時に実現するアイディアとして、今作のテトの起用があるんですね。
「そうですね。あとは単にやりたいからというだけではなく、今の自分のよさと過去の自分のよさを内包した作品にしたいという考えもありました。ボカロをやっていた時期があるからこそ今の自分があるので、『The Sky』という今までの自分との決着をつける作品にボカロを使わないのはおかしいと思ったんですよね。最初はボカロ単体の曲を作ろうと思っていたんですが、結局今の形になりました。
思えば色々偶然の連続だったというか、訪れた偶然をしっかりと活かすことができた作品なのかなと思います。雲の形がたまたま鳥に見えるような感じで、偶然できていった曲たちが上手くまとまったのかなと。このアルバムができたこと自体が〈無意味〉の証明なのかもしれないですね」
歌をやめなかった理由はライブ
――Guianoさんは自ら歌うことを選んだ理由として「ライブへの憧れ」を挙げられていましたよね。2024年頃からは精力的にライブを行っていますが、実際にライブ活動を重ねてみていかがですか?
「憧れは今でも持ち続けてますね。デカいところでライブがしたいという気持ちがずっとあって、それだけが僕が歌をやめなかった理由なんですよ。僕の曲はコール&レスポンスできるものが多いので、5万人くらいで一緒に歌うのが夢ですね。
あと最近はバンドセットでライブをしているのですが、それが面白くてしょうがなくて。バンドのみんながアイディアをぽんぽんと形にしてくれるので、聴いているだけでも凄く楽しいんですよ。バンドでやるようになってからは、ライブを一層楽しめるようになりました」
――2月からは『The Sky』を掲げた初の全国ワンマンツアーを開催されます。最後に、このツアーへの意気込みを伺いたいです。
「丁度昨日がリハーサルだったんですよ。僕が何かを頑張る際のスタンスとして、日頃はめちゃくちゃ努力をして、本番はただ自分をぽんと置くだけというものがあって。本番までに常に練って練って頑張っていくので、当日は観に来てくれたみんなと一緒に楽しみたいですね」
RELEASE INFORMATION
リリース日:2026年1月28日(水)
品番:ALLT-0002
価格:3,300円(税込)
TRACKLIST
1. good morning
2. せかいのしくみ
3. 私はキャンバス feat. しほ
4. アイロニー(Romantic)
5. the rainy day
6. You Think So?
7. 踊るのが人生!
8. ネハン
9. 藍空、ミラー
10. the twilight
11. 刹那Blue
12. あなたはmusic
13. WHAT A WORLD!!!
14. good night
15. I love you (Maybe this time it’s true)
All Lyrics, Music & Arrangement: Guiano
Vocal: しほ [M3]
Mixed by D.O.I. (Daimonion Recordings) [M2~4, M6~9, M11~13, M15]
Mixed by Guiano [M1, M5, M10, M14]
Mastered by Takeo Kira (TEMAS)
Jacket Artwork: わお
■収録内容
・CD
・短篇「表現者」
■購入者特典
ステッカー
■Streaming / Download
https://zula.link-map.jp/links/guianothesky
LIVE INFORMATION
Guiano Tour 2026 -The Sky-

2026年2月21日(土)愛知・名古屋 SPADE BOX ※SOLD OUT
開場/開演:17:15/18:00
[問]サンデーフォークプロモーション https://www.sundayfolk.com/contact/
2026年2月22日(日)大阪・心斎橋 Music Club JANUS
開場/開演:17:15/18:00
[問]GREENS https://www.greens-corp.co.jp/info/
2026年3月8日(日)東京・恵比寿 LIQUIDROOM ※SOLD OUT
開場/開演:17:00/18:00
[問]DISK GARAGE https://info.diskgarage.com/
■Support Members
Keyboard / Bandmaster: Sosuke Oikawa
Guitar: Shoma Ito
Bass: Takayasu Nagai
Drums: camacho(名古屋、東京)、GOTO(大阪)
■チケット料金
5,800円(税込)
■チケット情報
https://eplus.jp/guiano/
■主催・企画
THINKR
■制作・進行
ALLT STUDIO
PROFILE: Guiano
当時13歳だった2014年にニコニコ動画に初投稿しボカロPデビュー。以降、コンスタントにオリジナル楽曲を投稿し続ける。以降、数々の殿堂入り、ミリオン再生楽曲を世に送り出す。EDM、トロピカルハウスからシティポップ、ピアノバラード、アコースティックまでジャンルや日本という枠に収まらない音楽性はシーンの中で異彩を放つ。今思春期を過ごす若者や、子供のまま大人になってしまった現代の大人たちの核心を突いてくる言葉とその歌声に尾崎豊を連想するという声も。2020年からはボカロPとしての活動に区切りをつけ、自分の声で歌っていくことを選ぶ。令和時代の活躍が期待される新世代の吟遊詩人。自身の作品リリースのほか、他アーティストへの楽曲提供や、CM音楽、劇伴などコンポーザーとしても腕を振るう。北国の歌が東京に降り注ぐ。
YouTube:https://www.youtube.com/Guiano
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Instagram:https://www.instagram.com/guianodayo/
TikTok:https://vt.tiktok.com/Uyvur3/
ALLT STUDIOとは
ALLT STUDIOは、ネットシーンを中心に活動するアーティスト達をマネジメントする、日本発の音楽クリエイターレーベルです。ALLT STUDIOのアーティストは、自身の楽曲制作にとどまらず、他アーティストへの楽曲提供やコラボレーション、映画・ドラマ・CMなどの主題歌を手掛けたりと、様々な形で創造性を発揮しています。日本のネットシーンから派生した音楽性を要に、シンガー、コンポーザー、クリエイターとしての表現世界を追究し、成長出来る場を構築していくと共に、所属アーティストの非凡な才能を最大限に引き出すサポートをしていきます。〈ALLT(オルト)〉という名前には、Alternative / All Type / All That / All Time の意味を込めており、幅広い音楽ジャンルを受け入れる柔軟性を持ち、新しい音楽の世界へ挑戦を続けるスタジオの精神や、所属アーティスト達の姿勢を表しています。私たちは広く愛される音楽と、独創的な音楽を両立する新たな次元の作品を生み出し、より多様で豊かな音楽体験を見出していきます。
公式サイト:https://alltstudio.jp/
(運営 株式会社THINKR:https://thinkr.jp/)
