『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』以来、約3年ぶりのファジル・サイの新録音。アルバン・ベルクの作品番号1の“ピアノ・ソナタ”と、シューベルト最晩年の“ピアノ・ソナタ D 960”の最後のソナタ組み合わせが興味深い。人生の始発と終着に伴う情熱や諦念、生への強い執着を鮮やかに聴かせる。ベルクは低音の豊かな響きや“トリスタンとイゾルデ前奏曲”のような激しくうねる情念が素晴らしい。シューベルトの第1楽章も低音の不気味なトリルや繰り返されるモチーフを微妙に変化を加えていて耳を惹きつける。そして第4楽章の畳み掛ける胸のすく畳み掛けはサイの面目躍如。
ファジル・サイ(Fazil Say)『シューベルト&ベルク:ピアノ・ソナタ』人生の始発と終着に伴う情熱や諦念、生への強い執着を鮮やかに聴かせる