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ビートロック、ヘヴィメタルな要素を強く打ち出したハロプロナンバー

そもそもつんく♂自身、シャ乱Qの一員としてデビューしているだけに、彼の音楽性を語る上でロックは欠かせない要素のひとつでもある。精神性としてのロックスピリットは、ある意味すべてのハロプロ楽曲に通底しているような気もするが、サウンドフォルムとしてのロック系の楽曲は数多く存在する。

ハードロック的な疾走感がある楽曲としては、まずモー娘。“浪漫 ~MY DEAR BOY~”が挙げられるだろう。この曲ではバックトラックの演奏メンバーに川添智久(LINDBERG)、土橋安騎夫(レベッカ)、KONTA(BARBEE BOYS)を招き、80年代末~90年代初頭のバンドブームを想起させるビートロックサウンドを実現。近年ではモーニング娘。’19“I surrender 愛されど愛”などがある。

藤本美貴“涙GIRL”、Berryz工房“男の子”、ハロプロ研修生“ありがた迷惑物語”などの楽曲ではヘヴィメタルな要素が見られる。松浦亜弥“絶対解ける問題 X=♡”、メロン記念日“さあ、早速盛り上げて 行こか~!!”、Berryz工房“友情 純情 oh 青春”、℃-ute“ザ☆トレジャーボックス”などは、いずれもBPM早めのパンキッシュなサウンドで、コンサートでは盛り上げ曲の鉄板として機能してきた。

℃-ute“Danceでバコーン!”は、サウンド自体はファンキーなダンスミュージック寄りだが、Aメロの歌唱法がエルヴィス・プレスリー的だったり、ブリッジでは歌詞に〈ジャッジャッジャー〉とディープ・パープル“Smoke On The Water”のギターリフが引用されるなど、ロックオマージュが楽しい一曲だ。

一方、つんく♂が制作した楽曲にはブリティッシュロックな曲も多く、これは永井ルイ編曲によるタンポポの楽曲に多数見られる。“乙女 パスタに感動”“王子様と雪の夜”、そして“I & YOU & I & YOU & I”などがそれだ。

 

ユーロビートからEDMまで、今も受け継がれるクラブミュージック路線の名曲

70年代にディスコで鳴っていたダンスミュージックは、80年代以降には打ち込みによるプログラミングサウンドの流れを受けて、ハウスやテクノに代表されるようなクラブミュージックへと変化していった。1968年生まれのつんく♂は、10代の頃にニューロマンティックなど80年代のエレクトロサウンドを浴びており、その影響はハロプロ楽曲にも色濃く反映されている。

例えば、後藤真希“やる気! IT’S EASY”は完全に80年代のダンスポップサウンドを踏襲した曲だ。2010年代には、モー娘。の道重さゆみと譜久村聖のユニット曲“哀愁ロマンティック”や、道重、譜久村、生田衣梨奈、飯窪春菜、石田亜佑美が歌う“トキメクトキメケ”などユーロポップなテイストの楽曲も生まれている。

クラブミュージックにおいて楽天的かつ狂騒的な面をデフォルメしたユーロビートというジャンルがあるが、つんく♂の作るハッピーかつちょっとフーリッシュな楽曲には、このユーロビートがよく似合う。カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)“浮気なハニーパイ”、モー娘。“Go Girl ~恋のヴィクトリー~”、スマイレージ“有頂天LOVE”などはユーロビート味が特に強い。最近では、OCHA NORMA“Hello! 生まれた意味がきっとある(OCHA NORMA Ver.)”がこの路線を久々に感じさせてくれた。

2012年のモー娘。“One・Two・Three”以降、当時世界的にトレンドとなっていたEDMの要素を導入した楽曲が立て続けにリリースされたことも印象深い。“Help me!!”“君さえ居れば何も要らない”“わがまま 気のまま 愛のジョーク”“愛の軍団”など、この時期のシングル曲はいずれもこの路線が採用されている。

さらに、これらEDM路線の楽曲は〈フォーメーションダンス〉と呼ばれた複雑な振り付けとの組み合わせにより、その後のモー娘。を象徴するひとつの雛形となった。この時期は大久保薫や平田祥一郎といったアレンジャーによるシンセワークがつんく♂の楽曲を支え、その影響はモーニング娘。’20“KOKORO&KARADA”など、現在のハロプロ楽曲にも連綿と受け継がれている。