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地域の音楽の火を絶やさないフェス文化

――これまでさまざまな規模のライブやフェスを経験されてきた中で、フェスという場に対するスタンスはいかがですか?

アフロ「昔だったら〈1人の前でも1万人の前でも一緒です〉って言ってたと思うんですよ。でも実際は、1万人の前に立てば鼻の穴も広がってたと思う(笑)。1人のときには1人の緊張感があるし、1万人には1万人の圧がある。〈その数に負けないぞ〉っていう向き合い方も含めて、ライブは毎回違うというのが正直な感覚です」

――以前はフェスで〈爪痕を残したい〉という意識も強かったそうですが、そのあたりの変化は?

アフロ「共演者がいいライブをしていると〈負けないぞ〉と思うんですけど、その気持ちが強くなりすぎると、恥ずかしい話だけど〈ちょっとミスれ〉とか思ってしまうんですよ。勝つために。

そういう自分も含めてやってきたんですけど、今はそこから少し離れようとしていて。むしろ、共演者がいいライブをしてくれたら〈もうチケット代分は楽しませてくれてるから、自分はミスってもいいや〉くらいの気持ちでいたい。どっちに寄るかでライブの質は変わると思うんですけど、今は〈ありがとう、気が楽になったよ〉っていう状態で、自分もいいライブができるところに持っていきたい。

ライブとの向き合い方って、〈どういう人間でいたいか〉とほぼイコールだと思うので、そこを試している感覚ですね」

――いろいろな経験を経て、今の考えにたどり着いたんですね。

アフロ「明日には考えが変わってるかもしれないですけどね(笑)。ライブ中に変わることもあると思うし、歌っている最中に〈やっぱ負けたくないな〉と思う瞬間もある。ただ、それをデフォルトにはしたくないという感じです」

――アフロさんは、フェスのおもしろさはどういうところにあると思いますか?

アフロ「あるフェスの主催の方が言っていたのは、お客さんの満足度は二番目に大事にしているということ。一番大事にしているのは、大学生のボランティアスタッフが10年後も音楽を好きでいてくれるきっかけにすることなんだそうです。ボランティアの方々が呼びたいアーティストを呼んでライブをやってもらったら、それは彼らにとって強烈な体験になる。そして、ある地域に3人音楽好きがいれば、その場所の音楽の火は消えない。そのお話が、すごく印象的でしたね。

そういう感覚がフェスのカラーになるし、脈々と受け継がれていくものにもなると思う。だから、〈SCRAMBLE FES〉もスタッフの方々が楽しそうに関わってくれているといいなって期待しています」

――フェスはさまざまな楽しみ方があると思いますが、アフロさんの考えるフェスの醍醐味は?

アフロ「やっぱり、ロケーションですよね。ライブハウスとは違う環境で音楽に出会えること。本当にいいライブができたときって、翌年からは自分が出ていなくてもお客さんがそのフェスに行くようになると思うんです。MOROHAは音と言葉に集中してほしいバンドだったから、フェスがやりやすかったわけではなかったんですけど、その中でどう爪痕を残すかを考えるおもしろさもありましたね」

 

さまざまなものが交差し、地元愛も高める〈SCRAMBLE FES〉

――では改めて、movelのお2人は〈SCRAMBLE FES〉にどんな思いを込めたのか教えてください。

内堀拓海「movelの拠点でもある渋谷のスクランブル交差点をもじってもいるのですが、〈SCRAMBLE〉という名前には、地域と都市、カルチャーや感性、人と人など、さまざまなものが交差する場にしたいという思いを込めています。

会場は僕の地元である長野県の御代田町で、浅間山を背景にステージを組む予定です。町の象徴でもある風景の中でライブが行われる、特別な場所にしたいと考えています。

この町は人口が増えていたり、クリエイターの移住も増えていたりと盛り上がりの兆しがある一方で、若い人が外に出てしまう課題もある。高校がないなど、いろいろな要因はありますが、もっと楽しみ方のバリエーションがあってもいいんじゃないかと思ったんです。

すべての課題を解決することはできなくても、〈楽しみ〉をつくることはできる。その入口として、このフェスを立ち上げました。まずはしっかり初開催を成功させて、地元の方にも受け入れてもらいながら、少しずつ育てていきたいと思っています」

アフロ「俺も長野県の青木村出身なんだけれど、インターネットがどれだけ発達したとて、東京はものすごくパンチ力がある場所。それを一回思い知らないと、あの頃(上京前)の俺は納得しないと思う。ただ、このフェスがあるのとないのとで、故郷を出た若者が〈帰ってもいいかも〉と思えるかどうかは全然違う。内堀くんの野望は長期的なスパンで実現できるといいね」

内堀「そうですね。地元愛が生まれるきっかけにしたいんですよね。さらに長いスパンの野望を明かすと、御代田町に高校をつくりたいんです。今はいろんな新しい教育の形があるので、そういった私立高をつくることは可能だと思います」

河合「はじめて聞いた(笑)!」