2025年にメジャー初の作品『EP #04』をリリースし、〈SUMMER SONIC〉への初出演が決定するなど、勢いに乗るシンガーソングライターXinU。彼女がビートボックス世界チャンピオンJairoをフィーチャーし、Aile The Shotaもゲスト出演した初のZepp公演〈XinU feat. Jairo “ECHOES & BEATS” Live at Zepp Shinjuku〉を開催した。初期から活動を追うライター内本順一に当日の模様を伝えてもらった。 *Mikiki編集部


 

深い縁で結ばれた、Jairoを迎えた特別なライブ

2026年6月13日にZepp Shinjuku (TOKYO)で開催された〈XinU feat. Jairo “ECHOES & BEATS” Live at Zepp Shinjuku〉。それはXinUのシンガーとしての個性の核となる部分を明確に伝えてくるライブとなった。

通常のXinUのワンマンとは異なり、今回はタイトルの通りJairoをフィーチャーしてのスペシャルなライブ。JairoはYAMORIとJohn-Tによって2018年に結成されたビートボックスデュオで、世界最高峰のビートボックスの大会〈Grand Beatbox Battle 2024 TOKYO〉のTAG-TEAM部門で優勝するなど輝かしい実績を有している。

2023年11月に渋谷WWWで開催された〈XinU 2nd anniversary LIVE!〉にYAMORIがゲスト出演するなどXinUとの関係性は早い時期から浅からぬものがあり、2024年12月に恵比寿LIQUIDROOMで開催された〈XinU 2nd ALBUMリリース記念ワンマンライブ〉にはYAMORIとJohn-Tが揃ってゲスト出演。そして今年6月10日に配信されたXinUのニューシングル“ECHOES & BEATS”では初めて音源上でガチコラボ。Jairoのパフォーマンスに楽器を加えて構成された“ECHOES & BEATS (feat. Jairo)”、3人の声のみで構成された“ECHOES & BEATS (feat. Jairo) - Beatbox Session”の2バージョンが配信され、ワンカットで撮られたパフォーマンス映像も公開された。今回のライブが実現したのも、そうした流れにある。

 

技巧に驚き、グルーヴに巻き込まれるビートボックス

まずはJairo。背中合わせで中央に立っての幕開けだ。ステージにいるのはYAMORIとJohn-Tのふたりだけ。ベース、パーカッション(またはドラムのスネア、キック、ロール)、トランペットの音を、ふたりが動きながら声で表す。例えば声によるベース音は、アンプを通して増幅された楽器のベース音と違わぬズッシリした響きを持つ。ドゥン!と腹に響いてくる感じだ。声によるトランペットはメロディラインを奏でもする。

声によるベース音とビートだけでも迫力は大ありだが、歌ものになるとヒューマンビートシンガーとして活動するYAMORIの柔らかな歌声がそこに織り交ざり、その表現力の高さにも驚かされる。一方のJohn-Tは卓越したビートボックス技術で彩り豊かな音色を奏でる。かと思えば、ふたりの役割が逆転する場面も。

初めのうちは両者の高度な技術に驚くばかりだったが、曲が進むに連れて声の重なりから生み出されるグルーヴに巻き込まれるような感覚に。全11曲。その凄さはナマで体感してこそ本当に理解できるというものだ。

 

呼吸を感じ、息を合わせたXinU × Jairoのコラボステージ

彼らは一旦ステージを去り、その数分後、XinUと3人で改めて登場。ここから3曲がXinU × Jairoのコラボステージだ。

まずは今回のライブのテーマ曲とも言えるXinUの新曲“ECHOES & BEATS”。重く響くJairoのビートボックスとXinUの透明感あるボーカルが重なってひとつになる。3人の声の共鳴と反響。ひとりひとりに技術があれば必ずこのような共鳴と反響になるかと言えば、そうではない。互いの呼吸を感じること、息を合わせること、その大事さと共に、信頼がそこになくてはこうはならないだろう。

続いての“罠”では、XinUはボーカルをとるだけでなく、間奏部分でビート出しにも加わった。歌い終え、「Jairo、最高!」とXinU。

ここでXinUバンドのメンバーたちがインして、楽器と3声でのスペシャルセッションへ。曲はJairoの持ち曲“FLASH”だ。Jairoのビートボックスにギターやドラム、鍵盤やサックスが加わると、ファンキー度数がさらに増して、じっとしてなどいられなくなる。1番をYAMORI、2番をXinUが歌い、バンドの楽器演奏も熱を帯びて、そうそう味わうことのできないグルーヴが生まれていた。因みにXinUが歌った2番のバースは、この日のために彼女が書き下ろしたものだ。

 

シンガーXinUの個性の核とは

この3曲のXinU × Jairoのコラボが、この日のひとつのハイライト的なセクションだったことは間違いないだろう。冒頭で〈XinUのシンガーとしての個性の核となる部分を明確に伝えてくるライブ〉と書いたが、まさしくこのセクションにそれが如実に表れていた。XinUの、シンガーとしての個性の核。それは即ち、こういうことだ。

XinUは声に対するこだわりを明確に持っているシンガーだ。まず、彼女はパワフルに声を張り上げて歌うシンガーではなく、息遣いを大事にした上での〈歌い上げない〉美学を持つ。揺れは揺れとしてそのまま表現する。揺れが感情を表すものでもあるという認識のもとで歌っているように感じる。感情やメッセージを押し付けない。聴く者たちが自分なりにイメージすることのできる余白を残す。意図的にそれをやっているというよりは、元来の声質と性格もあって自然とそういう歌唱スタイルになっているのだろうが、だからこそ聴き手は彼女の思いに自分の思いを重ねることができる。

第二にXinUは言葉の〈響き〉を最優先して歌詞を書く。初めてインタビューしたときに、「自分で歌詞を書くようになってから日本のアーティストのいろんな曲を聴いて、音としての言葉のハマり方とか組み立て方を研究するようになった」「韻を踏んでみたり、英語の曲のようにサビの1音に2つか3つの言葉を乗せるのは可能なのかと試してみたり」と話していたのが印象に残っている。つまり彼女にとって、歌詞は意味を伝えること以前にまず音の響きとして美しいかどうかが重要なのだ。

第三にXinUはコーラスワークのこだわりが非常に強い。声の層やハーモニーで空気感を作ることを大事にしている。「高校のときは合唱部だったんですが、その頃アカペラのテレビ番組が盛り上がっていたんですよ。その影響で大学に入ってアカペラをやるようになって。歌うことが自分の表現になりました」。これも初めてインタビューしたときの言葉。そう、アカペラが彼女の歌唱表現の原点なのだ。だから「コーラスワークに相当拘って作っていますよね」という筆者の問いに対しても、「アカペラをやっていたので、そのアレンジのノウハウを活かしている感じです。アカペラの音楽から学習したことがたくさんあって、昔から貯めていたアイデアが今になってちょっとずつ出てきている。学生のときに自分で編曲もしていたので」「ベースラインとかもアカペラに置き換えて考えるんです。そのやり方が今のコーラスワークに繋がっていて。“オモイオモワレ”もギターリフの間奏部分をアカペラで埋めてみようと考えながらコーラスを組み立てていきました。その作業がすごく楽しかったですね」と答えている。

そのように声の多層で作られた象徴的な楽曲が2ndアルバム『A.O.R - Adult Oriented Romance』に収録された“ロマンス”だったわけだが、その曲がどのように作られたかを訊いたときには、こう話していた。「最初はアルバムのイントロとして30秒くらいのアカペラがあったら素敵なんじゃないかと話していたんです。でも作り始めたら2倍3倍に膨らんでいって、アカペラだけのセクションまで作りだしちゃって。2~3時間で録音を終わらせるはずが、音の積み重ねとかに凝っちゃって、結局4日かかりました(笑)。1パートを3声で録るから、4つラインがあったら3 × 4=12で12トラックになって……。でも楽しくてしょうがなかった」。そう、このように音や声を積み重ねる作業が、彼女にとっては〈楽しくてしょうがない〉ことなのだ。

息遣いを大事にする。言葉の響きを最優先する。声を音として捉え、それを重ねることを楽しむ。これがXinUの、シンガーとしての個性の核であり、魅力の核でもある。そしてそのことを改めて実感できたのがこのライブであり、とりわけJairoとの共演セクションから〈響き〉と〈重ね〉の妙が強く伝わったものだった。〈声の響かせ方〉の達人であるYAMORIとJohn-Tのふたりと声を重ね、3声で全てを表現する。その試みはXinUにとってどれほど創造的なことだっただろう。どれほど「楽しくてしょうがない」ことだっただろう。「響いて 鳴らして 重ねて これだけでいい」と“ECHOES & BEATS”で歌われるが、まさにそのとき〈これだけでいい〉とXinUは実感していたに違いない。

 

夏向きな未録音の新曲も披露

その心躍るフィーリングは、もちろんそのあとのXinUバンドセットにおいても様々な場面から伝わってきた。ざっと振り返っていこう。

XinUバンドセットは、新しい季節と景色を伝えてくるような前奏からの“触れる唇”でスタート。「Zepp Shinjuku、辿り着きました! 音楽にダイブする準備はできてますか? 踊れる?」。そう煽って2曲目“とけてゆく”へ。大津惇のドラムがサンバのような華やぎをそこに加える。3曲目は初めて聴く曲だった。“Fools”という新曲で、あとで聞いたらまだレコーディングもしていないとのこと。これがよかった! トニー・バジル“Hey Mickey”のようなドラムパターンにのっけから引き込まれる曲。ポップでダンサブル。実に夏向きで、その上ラジオフレンドリーだ。

一転、4曲目はテンポを落として“余韻”。抒情が滲む。そこからR&Bチューン“Day 6”への流れもいい。そのあと数秒の静寂が訪れ、XinUがアカペラで「何も言えない 何も言わない」と囁くように歌い出した。声だけで温度と思いを伝えてくる。“ただそれだけ”だ。武藤勇樹の鍵盤音がフワッと声にかぶさる。それからしばらくしてドラムが静かにビートを刻みだし、間奏では庄司陽太のギターが泣くように鳴った。この日この曲のXinUの願うようなボーカル表現はかなり胸に響くものがあった。

ギターソロとサックスソロがフィーチャーされたフュージョン的なバンドセッションがしばらく続き、そこから「今日のために作りました」と言うXinUメドレーを。“合図 EYES 合図”“まだまだ”“眩暈”“揺らせ”“バタフライ”“Hora Hora”の6曲が滑らかな繋ぎで歌われた。

 

Aile The Shotaも登場、会場をひとつにしたMusic Collective

武藤勇樹のピアノに乗せて次にじっくり歌われたのは“愛おしいままで”だ。途中でギターやドラムが入ると曲展開がドラマチックになり、「超えていこう過去(きのう)を」という思いが強調された。

そしてM-Swiftこと松下昇平の手によるトラックにXinUのポエトリーを重ねたものが流れ、「一緒に揺れよう 何もかも忘れて 今だけは」という言葉が強調されたところで奏でられたのはダンサブルなポップソング“Timing”のイントロ。XinUが言う。「最高のタイミングに立ち会ってくれてありがとう。呼ぶよ! Aile The Shota!」。それを合図にAile The Shotaが軽やかに登場。“Timing”の音源でフィーチャーされ、制作も共にした彼だったが、その曲をこうして一緒にフルバンドで実演するのはこれが初めてだ。息の合ったデュエット。歌のみならずAile The ShotaのラップパートでもXinUは言葉を重ねた。そう、ここでもXinUは〈声を重ねる〉ことを思い切り楽しんでいた。その喜びが溢れ出しているようだった。

そのテンションをキープしたまま曲は“Kiss Kiss Kiss”、さらには“ECHOES & BEATS”をここではバンドバージョンで披露。こうして立て続けに曲が繰り出されるなか、XinUはステージを実によく動き回っていた。動き回りながら歌っていた。たいした体力だ。

「今日は本当に最高の日になりました。ひとりで始まった音楽人生だけど、活動していくなかで一緒に音楽をやってくれる仲間が増えて、JairoのYAMORI、John-Tに出会って。Shotaくんも活動初期から〈いつか一緒にやろうね〉って言っていて、実現したのがこのタイミング! バンドでみんなと一緒にできて幸せです。Music Collective XinUって言っているんですけど、今日はここにいる全員のことをCollectiveだと思っています」。そう話して、本編最後に歌われたのはやはり代表曲の“鼓動”だった。ステージの上と下がひとつになり、〈♪オ~、オ~オ~〉の声が会場中に広がった。

 

声を重ねる喜び、表現の無限の可能性

アンコールではピアノを弾きながら“やまない雨”を抑制を効かせてしっとりと。「はなさないでよ手を」と何度も繰り返し、観客たちも一緒にそこを。最後はバンドメンバー全員に加えて、JairoのふたりとAile The Shotaをもう一度呼び込み、出演者全員でのスペシャルセッションで“オモイオモワレ”。バンドの楽器音と4人の声が重なり、響き合い、〈“ECHOES & BEATS” Live〉のひとつの完成を見せた。

声を重ねることの喜びと、その表現の無限の可能性。間違いなくそれを実感したであろうXinUのライブは、ここからさらに進化し、より膨らみを持つものになっていくに違いない。

 


SETLIST
Jairo Stage
1. Intro(BEATBOX)
2. Gravity
3. Lost Cause
4. Chicken Day
5. Blue Girl
6. Choice
7. Joy
8. S.T.I.M
9. Dance Alive
10. Dynamite!
11. Flower

XinU × Jairo Stage
1. ECHOES & BEATS
2. 罠
3. FLASH

XinU Stage
1. 触れる唇
2. とけていく
3. Fools
4. 余韻
5. Day 6
6. ただそれだけ
7. メドレー 合図 EYES 合図→まだまだ→目眩→揺らせ→バタフライ→Hora Hora
8. 愛おしいままで
9. Timing
10. Kiss Kiss Kiss
11. ECHOES & BEATS
12. 鼓動

ENCORE
13. やまない雨
14. オモイオモワレ

 


RELEASE INFORMATION
XinU “ECHOES & BEATS (feat. Jairo)”

リリース日:2026年6月10日(水)
配信リンク:https://xinu.lnk.to/E_a_B

TRACKLIST
1.ECHOES & BEATS (feat. Jairo)  
2.ECHOES & BEATS (feat. Jairo) - Beatbox Session

■タイアップ情報
テレビ朝日系全国放送「BREAK OUT」6月度オープニングトラック
https://break-out.jp/

■YouTube
XinU / ECHOES & BEATS (feat. Jairo) Music Video Short Ver.

 

LIVE INFORMATION
XinU “From One to Collective - 2026” at Billboard Live

2026年9月22日(火・祝)東京六本木 ビルボードライブ東京
1stステージ 開場/開演:15:00/16:00
2ndステージ 開場/開演:18:00/19:00

XinU LIVE IN TAIPEI 2026
2026年12月26日(土)台湾・台北 The Wall Live House
開場/開演:17:00/18:30 ※台湾時間

SUMMER SONIC 2026
2026年8月14日(金)大阪 万博記念公園
開場/開演:10:00/11:00

 


PROFILE: XinU
ミュージックコレクティブ〈XinU〉(読み:シンユウ)。2021年に“ココカラ”でデビュー。2023年5月31日に1stフルアルバム『XinU』をリリース(プロデューサー:edbl、mabanua/Ovall、M-Swift/松下昇平)。同年6月に代官山UNIT、11月に渋谷WWWでのワンマン公演をソールドアウトさせた。2024年6月26日、3rd EP『XinU EP#03』をリリースし、東京、福岡、そして初の海外ライブとなる台北でのワンマンライブを開催、全公演をソールドアウトさせた。同年12月4日、アルバム『A.O.R - Adult Oriented Romance』をリリース(プロデューサー:ジョーン、Mori Zentaro)。石原さとみ出演のすき家CMソング“とけてゆく”のニューバージョンも収録。 2024年12月20日より初の恵比寿LIQUIDROOM公演を含む東京・福岡・台北の3都市でワンマンライブを開催、台北ではBreeze MEGA Studioでの単独フルバンドライブを実現させた。同年3月14日に初となるビルボードライブ横浜公演をソールドアウトさせた。2025年4月よりキングレコード/HEROIC LINEとメジャー契約。同年7月16日にメジャーリリース作品となる“Monday to Friday”をリリース、Spotifyプレイリストに選出されるなど注目を集める。さらに同年9月24日にBMSG所属のAile The Shotaをフィーチャーした“Timing (feat. Aile The Shota)”を発表。同年11月12日に通算4作目となるEP『XinU EP #04』をリリース。2026年1月に〈XinU EP #04 Release Live - NEXT COLLECTIVE〉を開催し、自身二度目の恵比寿LIQUIDROOM公演を成功させた。さらに2026年6月に初のZepp Shinjuku (TOKYO)公演〈XinU feat. Jairo “ECHOES & BEATS” Live at Zepp Shinjuku〉の開催を発表した。6月17日にはBillboard Live TAIPEI公演も決定しており、今後ますます国内外に活動の幅を広げていく。

■INFORMATION
Official Site:https://www.xinu.tokyo/
Instagram:https://www.instagram.com/xinu_xinu_xinu/
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