音楽に向き合う誠実さ、真摯さが表れたライブ
東京・恵比寿LIQUIDROOMで初めてXinUがライブを行なったのは2024年12月26日のこと。そこから約1年が過ぎた2026年1月13日、再びそのステージに彼女は立った。XinUにとって、この1年の間でとりわけ大きかった変化と言えば、メジャーレーベルであるキングレコード内のHEROIC LINEに移籍したことだろう。そして2025年7月に“Monday to Friday”をリリースし、11月にはメジャーでの初EPとなる『XinU EP #04』をリリースした。その『XinU EP #04』のリリースライブに、どのような思いで臨んだのか。ライブが後半に差し掛かったところで、彼女はこの日を迎えるまでの正直な気持ちを吐露したが、その言葉には音楽との向き合い方に対する誠実さ、真摯さがよく表れていた。
そのMCについてはあとで触れるが、今回のライブもまた非常に趣向を凝らしたものだった。新しい見せ方・聴かせ方がいろいろあった。この曲をこういうアレンジにしてこんなふうに歌うとは……といった驚きやときめきがいくつもあった。今回もスタッフとバンドメンバーとXinUとで、時間をかけてとことん練り上げたのだろう。前と同じライブにはしない。毎回必ず新しい何かにチャレンジし、観る者たちにちょっとした驚きを与えながら楽しませる。そのためにできることは全てやる。そのために努力する。音楽に向き合う誠実さ、真摯さは、そんなライブの作りにも表れていた。

冒頭から挑戦的なパフォーマンス
順を追って振り返ろう。幕が開くと、XinUがステージ中央の台の上に横を向いて座っていた。彼女自身によるヒューマンビートボックスをその場でループさせ、「ふ~う~」と柔らかな声をそこに重ねる。その静かなループに合わせて「どこまでも君と 流されてゆこう」と歌い始めた。“楽園”だ。オープニングからしてチャレンジング。まさしく楽園に誘われる感覚。
バンドメンバーたちが登場し、庄司陽太の爪弾くギターで次に始まったのは“もうやだ”。静かなギターとXinUのボーカルだけの始まりだったが、曲の中盤で鍵盤の武藤勇樹とリズム隊の熊代崇人(ベース)、大津惇(ドラムス)が音を重ねた途端に雰囲気が明るくなり、曲の終盤では小笠原涼のサックスがアダルトなムードを加味した。3曲目は『XinU EP #04』から、Michael Kanekoプロデュースによる“Day 6”。黒で統一した前半の彼女のシックな衣装に曲調がマッチしていた。

深く潜っていけるセットリスト
「1年ぶりのLIQUIDROOM、みんなの声を聞かせて!」。それがこの日の第一声。歓声があがるなか、コーラスのHarunaが観客に手拍子を促し、“Day 6”から一転してアップテンポの曲がスタート。未だ音源化はされていないが、ライブではこれまでにも何度か歌ってきた“80’s”だ。ザ・ウィークエンドを想起させるエレクトロポップロック調のこの曲を、XinUはマイクスタンドを持って動きながら歌う。終盤ではロングトーンも。アレンジがまた少しだけ変わって楽曲自体が進化したようだ(早く音源でも聴いてみたい)。ここでさらに会場の温度を上昇させるべく、明るい夏ソング“触れる唇”を。今回はダンサーの登場はなく、純粋に楽曲と演奏と歌の力で盛り上げた。プリセットされたホーンの音も効果的だった。
「ありがとう。すごい、いい景色。踊ってる人もいて。今日は最高のバンドメンバーと、音楽にじっくりじっくり深く深く潜っていけるようなセットリストを組んできました。日々いろんな情報やノイズがあるけど、ここにいるときだけは音に身をゆだねて、一緒に音のなかに潜れたらいいなと思います。今日は楽しんでいってください」。そう話し、「“触れる唇”のアンサーソングとして書いた“余韻”をチルサウンドでお届けします」と続けて、その曲を。まさしく音のなかに潜って、そこでゆらめいている感覚があった。

静から動へ。続いての曲は“合図 EYES 合図”だ。間奏ではステージ向かって左に立つ庄司のエレクトリックギターソロが炸裂。それを受けて右側に立つ小笠原のサックスも炸裂。ふたりはそれぞれの前にある台に乗って掛け合いを始める。と、熊代崇人もベースソロを。XinUのライブにおけるバンドメンバーひとりひとりの力の大きさを実感させられた。