映画監督の黒沢清が〈幽霊漫画の金字塔になるかも知れない〉と語る、ミステリー・ホラーの傑作誕生!
「医龍」、「夏目アラタの結婚」の代表作で知られる乃木坂太郎の新作。落雷事故で想いを寄せていた陸上部の顧問・御供田先生を目の前で亡くした主人公・川嶋珠子と、オカルトを全く信じない少年・高浜みなと。彼らが夏休みの自由研究として〈落雷で亡くなった先生を生き返らせる〉というタブーに挑み、奇妙な現象と恐怖に巻き込まれていくストーリー。圧倒的な画力とミステリー要素にホラーが合わさった本作。冒頭からグイグイ引き込まれて行く。主人公の眼力が強い! まるでライオンのような眼で意志強く突き進んでゆく。

ひそかに〈まなざし珠子〉と呼ばれる陸上部の女子、珠子。校庭に落ちた雷によって、最愛の顧問の先生・御供田を喪った彼女が夏休みの自由研究に選んだのは、先生を現世に呼び戻す〈死者蘇生〉だった。その切っ掛けとなったのは幼なじみのみなとと手を合わせに行った先生の部屋でオカルト本の山と保管された髪と爪を見つけたことから。亡くなった先生について、深く知ろうとすればするほど違和感が強まり、目を背けることが出来なくなり恐怖に包まれてゆく。死者を蘇らせるための術を記したノートのタイトル=反魂(はんごん)というメモ帳、AIが生成した〈顔〉、先生の出身地に伝わる土葬の風習。悲しみや後悔を埋め合わせるように先生について知ろうとする珠子であるが、当然〈知る〉という行為には責任が伴い、そこに恐ろしい事件が巻き起こってゆく。2年生の珠子とみなとに加えて、1年のポーリーこと北川しょうこ、スーキーことジュリも巻き込んで〈死者蘇生〉の研究に取り組むこととなった。
〈信念を持って生きる人物〉を通じて、〈真実とはなにか〉、〈人がたいせつな人を亡くしたときに弔う行動から、その死をどのように受け入れて行くのか〉を通じて、〈目に見えないものの実在について〉〈この世の真理について〉描写を試みているように感じられる作品と言えそうだ。人は思うよりも自分で自分を騙してしまうもの、そんなテーマでも人物を描いてきた作家だけに、このマンガ、一筋縄の展開に収まりそうにない。シンプルにトラウマになりそうなほど怖いシーンがすでに1巻末にして出てきて、映画監督・黒沢清さんの帯文のコメント通り〈突然あの顔が出現した。ものすごく怖かった〉だったりしますが、この稀有なる傑作になるであろうミステリー・ホラーの展開、珠子たちの行く末をしっかりと見届けたい。