クラシカルDJ・水野蒼生が音楽監督
NHK音楽祭関連企画〈ASOBIBA TAKEMITSU~まだ知らない、武満徹~〉
2026年は20世紀後半を代表する作曲家、武満徹(1930―1996)の没後30年。NHKとはミュージックコンクレートなど現代音楽スタジオでの〈お堅い〉仕事だけでなく、大河ドラマ「源義経」やドラマ人間模様「夢千代日記」、ドキュメンタリー「未来への遺産」などの親しみやすい音楽でも長く関わってきた。後日放送で、〈A面〉に当たる武満のドキュメンタリーと、ジャンルを越えた新世代のアーティストによるNHK音楽祭関連企画〈ASOBIBA TAKEMITSU〉(10月26日、NHKホールで有料公演として開催)の〈B面〉を組み合わせて放映する予定。
〈ASOBIBA〉の音楽監督に抜擢されたのはクラシカルDJ・作曲家・指揮者の水野蒼生。「最初は出演アーティストの1人だと思っていたら全体の監督。僕と水野電氣交響楽団にとって過去最大規模のステージ(約3,000席)となります」。作曲家の視点から「音楽は20世紀の邦人作曲家の中でも、ものすごく特殊です。〈うた〉がどのジャンルでも明確に意識されている点はモーツァルト的でもあり、メロディメーカーの才能と特異性は西洋音楽の括りの中に収まりません。邦楽器の使用も日本の伝統を踏まえた訳ではなく、あくまでご自身の興味本位だった気がします」と、武満を語る。
アーティストの人選と選曲はNHKと水野、演出の小栗了が共同で進めた。「今回、歌い手とチェロ、ピアノによる編成で初めて披露される“さよなら”は、岸田繁さんによる未発表の編曲版です。日本語がとても明瞭で、絶対に外せないと思いました。生田絵梨花さんはとにかく声が美しく色々なジャンルに挑戦しており、今回は“めぐり逢い”です。ROTH BART BARONの三船雅也さんと僕は共演歴があり、言葉を本当に大切にされます。僕の希望で“MI・YO・TA”を歌っていただきます」。水野電氣交響楽団は「バンドアレンジでベートーヴェンの交響曲全曲を演奏した実績もあり、クラシックとバンドの両面に対応できるのが強み」という。「今回はホールの規模と武満作品の声部の多さを考慮して、過去最大級の編成で臨みます。特定の楽器だけにリバーブをかけたりするレゲエ発祥のダブワイズというミキシング手法も使いますが、これには武満さんの電子音楽へのオマージュの意味もこめました」
〈ASOBIBA〉全体を貫く肝となるのは、盟友・谷川俊太郎の詩集「はだか」から武満が6篇を選出、再構成したテキストに基づく晩年(1995年)の作品“系図 ―若い人たちのための音楽詩―”(Family Tree - Musical Verses for Young People -)。「あらゆるジャンルに精通した武満ならではの作品」(水野)は通常、語り手を若い女性が務めるが、今回は進行を担う坂口涼太郎(俳優)が朗読する。シリアスな役柄からコメディ、ミュージカルまでボーダーレスに活躍する坂口の起用もまた、〈まだ知らない武満〉とのプレイ(遊び)にはふさわしい。
LIVE INFORMATION
武満徹没後 30年「ASOBIBA TAKEMITSU」〜まだ知らない、武満徹。〜

2026年10月26日(月)東京・渋谷 NHKホール
開場/開演:18:00/19:30
出演:生田絵梨花(俳優・歌手)、Ichika Nito(ギタリスト)、岸田繁(くるり)、The Voices of Japan(コーラスグループ)、水野蒼生(クラシカルDJ・作曲家・指揮者)、三船雅也(ROTH BART BARON) ※五十音順
演奏:水野電氣交響楽団
進行・朗読:坂口涼太郎(俳優)
音楽監督:水野蒼生
演出:小栗了
https://asobibatakemitsu.jp/