ブリストルが生んだポスト・パンクの巨魁が、35年ぶりの新作を投下した。実のところ、アナーキーな初期衝動を原動力とした往年のサウンドは望むべくもない……とタカを括っていたのだが、それはとんだ勘違い。いや、確かに八方破れなフリーキーさはやや影を潜め、ダンサブルなファンク・チューンや、メロディアスとさえ言えるほど輪郭の鮮明な楽曲が過半数を占めている。けれど、その定型を内側から食い散らかすかのように、マーク・スチュワートの怒号めいた歌声や攻撃的な演奏が不穏に蠢いて、爆発寸前の緊張感が充満しているのだ。激情を抑制しつつ自在にコントロールする冷徹なサウンドからは、初期衝動とは異なる異様な迫力が滲出。35年前の怒れる若者たちの不敵な未来がここにある。