連載

【ろっくおん!】第40回 ポップ・グループ幻のセカンド・アルバム、メンバー自身がリマスタリング施してリイシュー!

ロック好きの大学生が集まって放課後タイムにダラダラおしゃべり! 専攻科目よりも皆さんロック史の研究に夢中なようですね!!

冬枯れていた景色がにわかに色彩を強めはじめ、新しい季節を予感させるある日の午後。ここはT大学キャンパスの外れに佇むロック史研究会、通称〈ロッ研〉の部室であります。おや、外の陽気とは裏腹に何やら騒がしい様子ですが……。

 

【今月のレポート盤】

THE POP GROUP For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder? Y/Freaks R US/ビクター(1980)

※試聴はこちら 

 

鮫洲 哲「姐御! どうか卒業しないでください!!」

杉田俊助「何でテツが号泣してるんだヨ、Ha! Ha! Ha!」

鮫洲「笑い事じゃないっすよ! そりゃ、ジョン先輩の卒業も寂しいっすけど、姐御がいなくなったら舎弟の俺は……うっぐ」

汐入まりあ「まだ数日あるでしょ! 私たちだってこれまで大好きな先輩方を見送ってきたんだし、ただ順番が回ってきただけだよ」

杉田「Uh-huh! それよりもこれで元気を出そうヨ!」

鮫洲「いまは音楽を聴く気分じゃ……おぉぉぉぉぉっ! ポップ・グループの80年作『For How Much Longer Do We Tlerate Mass Murder』! ついにリイシューされたんすか!?」

杉田「切り替え早っ!」

汐入「94年と96年に日本でのみ数量限定でCD化されて以降、ずっと廃盤状態だったし、中古市場でも高値が付いていたもんね。さらに今回はメンバー自身による最新リマスタリングが施されているのも嬉しいよね」

鮫洲「2010年に再結成してから、ずっと出る出るって噂され続け、3作目『We Are Time』や編集盤『Cabinet Of Curiosities』は登場したのに、なぜかこのセカンド・アルバムだけは見送られていましたからね」

杉田「去年リリースされた35年ぶりのアルバム『Citizen Zombi』もサプライズだったけど、正直ミーにとってはこっちのほうが待ち遠しかったヨ、Ha! Ha! Ha!」

汐入「うん、わかる。希少価値みたいな部分以上に、実際のクォリティーも物凄く高いし。79年のデビュー作『Y』で提示した、パンクとダブファンクフリージャズの融合を、より強力に推進させている感じ!」

鮫洲「アグレッシヴなのは変わらないんすけど、『Y』以上にサウンドの統制が取れているっつうか、リズム・セクションが強化されて明快なファンキー度がアップしていますよね、姐御!」

汐入「グループ解散後のメンバーたちの、リップ・リグ&パニックマキシマム・ジョイ、そしてマーク・スチュワートのソロ作でのサウンドの片鱗が、すでにこのアルバムから窺えるよね」

杉田「『We Are Time』はデモやライヴ音源をまとめたものだから、これが事実上のラスト・アルバムだよネ! そのせいか、マーク・スチュワートのアジテーションも超ハイテンションで、何を言っているのかミーですらわからない瞬間があるヨ!」

汐入「政治的すぎる歌詞がリイシューの障壁になったのかな~」

鮫洲「というか、当時ってマークと他のメンバーの確執が大きくて、この後すぐ分裂状態になったじゃないっすか!? だから権利関係が複雑だったんでしょうね」

杉田「No! それだと全然おもしろくないヨ!! もっとロッ研っぽいアンサーはないの?」

汐入「実はこの難解な歌詞のなかに、未来の出来事が描かれていて、ノストラダムスのような予言音楽だからリイシューできなかったとか?」

鮫洲「実はマーク・スチュワートじゃなくてロッド・スチュワートがヴォーカルだったんで、より権利が複雑化していたとか?」

杉田「Exellent! バカだね、ロッ研って。よし、今日はミーがティーを煎れてあげるヨ!」

汐入「ジョン君の甘いミルクティーも、もうこれが飲み納めかな」

杉田「そうかもネ!」

汐入「あ、思い出した! そういえば新入生だったテツ君が初めてロッ研に来た時も、リップ・リグの話で盛り上がったよね!」

杉田「Wow! 懐かしいネ!! あの時はテツが知ったかぶってね……って、おいおい、テツのティアーズでティーが溢れちゃってるヨ、Ha! Ha! Ha!」

いよいよジョンとまりあも卒業を迎え、流石に少し寂しいですね。とはいえ、必ず代替わりしていくのが部活の宿命。2人とも本当にお疲れ様でした。 【つづく】

 

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