CLAUDJA BARRY Sweet Dynamite Lollipop/Salsoul/OCTAVE(1977)

クラウディア・バリーはカナダのディスコ歌手。これはドイツのロリポップから放った前年の処女作が、トム・モウルトンのリミックスを施されて生まれ変わったUSデビュー作だ。モンテル・ジョーダン“Get It On Tonite”や近年のプールサイド“Kiss You Forever”などでたびたびリサイクルされてきた“Love For The Sake Of Love”の妖しいグルーヴは永遠に蠱惑的な色気を放つ。 *出嶌 

 

 

KEBEKELEKTRIK Kebekelektrik Salsoul/OCTAVE(1977)

ウェストエンドで仕掛けたボンバーズも著名なカナダのイタリア系プロデューサー、パット・デサリオのディスコ・プロジェクト。この唯一のアルバムは、ラヴェルの〈ボレロ〉に始まり、TKからシングルの出ていたスペースのカヴァー“Magic Fly”、ジノ・ソッチョと共作した“War Dance”など、宇宙にイケそうでイケない胡散臭さが心地良い、B級シンセ・ディスコの宝箱だ。 *出嶌

 

 

LUV YOU MADLY ORCHESTRA Luv You Madly Orchestra Salsoul/OCTAVE(1978)

デューク・エリントンをトリビュートする企画……という説明も謎な、オーケストラル・ディスコ・プロジェクト唯一のアルバム。ステファン・ジェイムズの仕切りでジャズ畑の演奏陣も交え、麗しい弦とタイトなリズムが公爵のナンバーをダンサブルに奏でる。アルファ・アンダーソンシック)の歌う“Moon Maiden”はウォルター・ギボンズがミックスした奇妙なディスコ・ダブ! *出嶌

 

 

THE SALSOUL ORCHESTRA Up The Yellow Brick Road Salsoul/BBR(1978)

ヴィンセント・モンタナJrが指揮を執る、MFSBを前身とするサルソウルのハウス・バンドが有名映画/ミュージカルの劇中歌をディスコ仕立てにした意欲作。「ウィズ」の“Ease On Down The Road”を筆頭に、「ウエスト・サイド物語」の名曲メドレー、「スター誕生」の“Evergreen”など、華麗なオーケストラとスウィートハーツ・オブ・シグマによる女声が昂揚を煽る快作だ。 *林

 

 

BUNNY SIGLER I've Always Wanted To Sing...Not Just Write Songs Gold Mind/OCTAVE(1978)

いまも現役で活動を続けるフィリー・ソウルのシンガー/ソングライターによるゴールド・マインド第2弾。臆面なくディスコに歩み寄った内容で、舎弟のインスタント・ファンクを従えてヘヴィーなダンス曲を〈ミスター・エモーション〉の愛称通り情熱的に歌い上げる。ネタ使用頻度の高いバラード“Half A Man”も含め、とにかくスケールが大きい。 *林

 

 

GARY CRISS Rio De Janeiro Salsoul/OCTAVE(1978)

モンスター・オーケストラを率いてサムなどで活躍した名匠ジョン・デイヴィスの、再評価著しいサルソウル仕事のひとつ。ブルーアイドなニュージャージー野郎が粋な歌唱を響かせるブラジリアン・ディスコAORの傑作だ。“My Rio Lady”などが醸す異国情緒とジャケそのままのリゾート気分は後年のボッサ・ハウス系を先取りしたような気持ち良さ。瀟洒なスロウも素晴らしい。 *出嶌 

 

 

THE ANVIL BAND The Anvil Band Free Spirit/OCTAVE(1978)

あのアンヴィルとは関係ないアンヴィル・バンドの唯一作。クリーム・ド・ココらの数枚を残したフリー・スピリット発で、これも謎に包まれたカルト皿だ。ジョー・バターンのカヴァーを中心にフロイド・スミス&ザ・サルソウル・オーケストラの“I Can't Give You Up”、再評価された“Samba”など、サルソウルのラテン・サイドにフォーカスしたインスト・ディスコが下世話に並ぶ。 *出嶌

 

 

O.R.S. Body To Body Boogie Ariola/Salsoul/OCTAVE(1979)

ジョルジオ・モロダーを筆頭とするミュンヘン勢の活躍を睨み、これも欧州からライセンスされたもの。アンソニー・モンのプロジェクトが前年に独アリオラで発表したアルバムのUS盤だ。ダビーでコズミックな“Moon Boots”やスペイシーで胡散臭い“Dream Machine”、〈展覧会の絵〉と踊る“Disco Mussorgsky”など、現代のバレアリックなシンセもの好きにも刺さる妖作。 *出嶌 

 

 

MARTHA HIGH Martha High Salsoul/OCTAVE(1979)

近年はスピードメーターらとの共演で知られるジェイムズ・ブラウン一派の歌姫による処女アルバム。JBの制作とはいえ実質トミー・スチュアートがサウンド面を仕切ったはずの楽曲は、エモーションズ“Don't Ask My Neighbors”のカヴァーも含めて果てしなくダンサブルなディスコで、高めの声で颯爽と歌い上げていく。アニタ・ワード曲の模倣は当時TKにいたJBならでは、か。 *林

 

 

WALTER GIBBONS Disco Madness Salsoul/OCTAVE(1979)

ディスコDJの創造性を音盤に落とし込む術をサルソウルで開花させた革新者のリミックス仕事集。オリジナル盤は6曲入りだが、このリイシューは初の商用12インチ・シングルとなったダブル・エクスポージャー“Ten Percent”の9分超えヴァージョン、未使用のパーツもマルチから拾い上げたロリータ・ハロウェイ“Hit And Run”など歴史的な15曲(!)をアーカイヴ収録した2枚組! *出嶌

 

 

BAKER HARRIS YOUNG B-H-Y Salsoul/BBR(1979)

MFSB~サルソウル・オーケストラでリズム隊の中核を担っていたロニー・ベイカーノーマン・ハリスアール・ヤングの3人によるリーダーズ・アルバム。彼らが得意とする華やかなフィリー・ダンサーの連続で、スウィートハーツ・オブ・シグマに加え、当時ラヴ・コミッティにいたロン・タイソンらも声を添える。パーラメントを真似たスペイシー・ファンクも堂々と披露。 *林 

 

 

 

INSTANT FUNK Witch Doctor Salsoul/BBR(1979)

バニー・シグラーの舎弟バンドがサルソウルから出した2枚目(通算3作目)。制作はバニーで、“I Had A Dream”のようなスケールの大きいバラードもあるが、真骨頂は猥雑な雰囲気の“Bodyshine”に代表されるパーカッシヴなファンクだろう。ラリー・レヴァンがミックスした“Slap, Slap, Lickedy Lap”ではジェイムズ・カーマイケルによるディープで豪快なヴォーカルが大活躍。 *林 

 

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