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ラパラックスがいっそうのドリーミーさを伴ってエレクトロニックな音像を新たにし、己の美意識を強固にした大作『Lustmore』

【特集:遠心力と求心力がフュージョンするLAの現在】 Pt.2

ラパラックスがいっそうのドリーミーさを伴ってエレクトロニックな音像を新たにし、己の美意識を強固にした大作『Lustmore』

まどろみの向こう側に浮かぶ、甘美な陶酔のエクスペリメント

 LAパラックス、なんてこじつけをするまでもなく、ブレインフィーダーのよしみということでこのページにて紹介しておきましょう。エセックスに生まれ育ち現在はロンドンを拠点とするラパラックスことスチュワート・ハワードは、フィンクボノボのリミックスを経てブレインフィーダー入りしたクリエイター。一昨年のフル・アルバム『Nostalchic』は首領のフライング・ロータスを引き合いに出されるほどの高い評価を得たものでしたが、およそ2年ぶりに登場した2枚目のアルバム『Lustmore』は、よりいっそうのドリーミーさを伴いつつ、そのエレクトロニックな音像の輪郭を新たにしてきました。

LAPALUX Lustmore Brainfeeder/BEAT(2015)

 資料によると今作は、〈覚醒状態から睡眠状態への変遷意識下における経験〉をテーマにしたものだそう。何やら難しげではあるものの、まどろみの瞬間に視野に浮かぶ光や幾何学模様を音にしたもの、という感じでしょうか。そんな説明が必要なのかどうか、冒頭のアンビエントなヴォーカル曲“U Never Know”を聴けば、幻想的なイメージを脳裏に描くことは容易になるかもしれません。そこで歌うのは、フライローやボノボとの仕事で知られるロンドンのアンドレア・トリアーナ。彼女はもう1曲“Puzzle”にもフィーチャーされていて、ここではもう少しR&B寄りのジャジーな風情も聴かせてくれます。

 また、ジャーディーンをフィーチャーした“Closure”も絶品の歌モノで、ラパラックスならではのオブスキュアな中毒性が柔らかく歌唱と絡む姿はちょっとない美しさでしょう。

 そうした明確な歌モノ以外にも〈よく歌う〉作風のタッチは前作同様ながら、ハウシーな“Don't Mean A Thing”など無理なくアウトプットの幅を広げているのも明らかでしょう。レーベルメイトでもあるマシューデヴィッドに接近したというか、己の美意識を強固にした大作です。

 

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