
アイドル・シーンは百花繚乱、なんて状況はずっと続いている昨今ですが、いったいその魅力とは……?と思っている人もいたりいなかったり。Mikikiではあえていま、そんな素朴かつ初歩的な疑問に向き合うべく、タワーレコード代表取締役社長・嶺脇育夫にひたすら好きなアイドルについて語ってもらう(不定期)連載を始めます。これを読めば、なぜそこまでアイドルにのめり込むのかが妙に納得できると思いますのでご期待ください! また、社長が選ぶオススメのアイドル盤も紹介しますよ!
今回は連載初回ということで、社長がもっとも愛するアイドルのひとつ、さくら学院をフィーチャー! 頭の中はさくら学院のことでいっぱいなのではないかと思うほど、社長を虜にする彼女たちの魅力とはいったい何なのかを、実に冷静な目線で迫ってみました。正直、いろいろ話を聞いていたら、本気で好きになりそうになっているMikikiアイドル学部員です。

――初回ということで、今日は社長にさくら学院のことを一から訊きたいと思って来ました! 本当に初歩的な話なのですが、ざっくり……さくら学院とは何ですか?
「さくら学院というのは、〈学校とクラブ活動〉をテーマにした運営をしているグループ。さくら学院には3大イヴェントというのがあるんですが、義務教育課程修了と共にグループからも卒業するというコンセプトなのでまず〈卒業式〉というのがある。ただそれだとメンバーがどんどん減っていく一方なので、入れ替わりに新しいメンバー(転入生)が加入して〈転入式〉というのを毎年ゴールデン・ウィークにやっています。ちょうどこの間、5月6日に恵比寿ガーデンホールで2015年度の転入式がありました。それから秋に開催される〈学院祭〉を含めた3つが3大イヴェントで」
――本当に学校っぽいスタイルなんですね。
「この3月に、さくら学院から菊地最愛ちゃんと水野由結ちゃん(BABYMETALでも活動するMOAMETALとYUIMETAL)に加えて、田口華ちゃんと野津友那乃ちゃんの4人が卒業しちゃったんですよ。10人体制だったのが6人に減ってしまったので、今年はどういうメンバーが転入してくるんだろうと、人気メンバーが抜けたこともあってその注目度がいつも以上に高かったんですが、そこでなんと6人も入ったんです! つまり在校生と同じ人数の子たちが入ってきたわけです」
――その転入生たちはどこからやってくるんですか?
「アミューズキッズ※です」
※サザンオールスターズや福山雅治、Perfumeらが所属するプロダクション、アミューズの一部門で、主にローティーンのメンバーを抱える
――あ~、なるほど。
「アミューズキッズに所属している子たちから成るんですが、小学館発行の少女漫画雑誌『ちゃお』が毎年主催している〈ちゃおガールオーディション〉というのがあって、そこで〈ちゃおガール〉に選ばれた人がメンバーになってることが多い。ある意味『ちゃお』がなかったらさくら学院はなかったかもね。だから〈ちゃおガール〉になった子が、ゆくゆくはさくら学院に入るかも?みたいな」
――ある意味、登竜門的なオーディションなんですか。
「でも〈ちゃおガール〉全員がメンバーになるわけじゃなくて、そこからさくら学院のメンバーになりたい子がオーディションを受けるという流れで、今年も何人かいますね」
――〈ちゃおガール〉からもまた狭き門なんですね。※
※転入生は〈ちゃおガール〉からだけではない
「転入してくるのは在校生と合わせて偶数になる人数っていうのはわかってるんですね。なぜなら対になる振り付けが多いので、メンバーの人数は必ず偶数というのがまずあって。過去の全メンバー数でもっとも少なかったのが8人だったので、今年の場合だと(在校生が6人なので)最低でも2人は入ると。卒業生の抜けた穴を埋めるとなると4人かな……などいろいろ予想していて。さくら学院のファンのことを〈父兄〉って呼ぶんだけど、その父兄の皆さんがアミューズのウェブサイトにあるアミューズキッズ一覧を見て、誰が入るんだろうとチェックするんです」
――(一覧を見ながら)アミューズキッズって、すごくいっぱいいるんですね!
「アミューズは層が厚いんですよ。そこには各々の生年月日が書いてあって、さくら学院はだいたい小5から中1ぐらいまでの子がこれまでに入ってきてるから、その年代の子をチェックして。実は、以前は全員の体重も書いてあったんだけど、去年入った2人は体重が消えていたの。なぜかというと、さくら学院の子たちは体重を公表してないんですよ。だからあるヲタの父兄さんが、〈入るのはこの2人だ〉って予想したら本当にそうだった。それで、体重の表示が消えた子をみんな日々チェックしてたんですよ、僕も含めて(笑)」
―――えぇぇぇ! この人数からですか!?
「でも、体重の表示が消えた子がメンバーになる、という噂がネット上で流れたので、転入式の前にアミューズキッズ全員の体重表示が消されちゃった……ということもあって。アミューズさんとしては、今期は6人も入るということもひとつのサプライズとして演出したかったようなので、なるべくバレないようにしていたみたい」
――攻防戦ですね。
「そんなこんなで、誰が転入するのかということが例年以上に盛り上がったわけです。今年入った子たちは、小学生が4人も入った。これまでは中1までしか入れてなかったんだけど、今回初めて中2の黒澤美澪奈ちゃんという子も入って。この子は〈ちゃおガール〉としても、『大!天才てれびくん』ですごく有名だったので、結構サプライズだった。それから、藤平華乃ちゃんと吉田爽葉香ちゃんの2人が小5なんですよ。小5が入ったってことは、少なくとも2020年までは残ってるってことでしょ」
――そうなりますね……。
「オリンピックの年の3月まではいるってことだよね。もうね、安泰ですよ(笑)」
――ハハハハハ、安泰!
「あと5年は応援できるんだ、ってちょっとホッとした」
――父兄としては(笑)。
「父兄としてね。初代生徒会長だった武藤彩未ちゃんや、中元すず香ちゃん(BABYMETALのSU-METAL)、あとこの間卒業した菊地最愛ちゃんに水野由結ちゃんといった人気メンバーを含め、2010年に開校して最初のメンバー(〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉で初めてライヴをやった時の面々)がこれで全員いなくなったんですよ。だから今年は本当の意味で〈新生さくら学院〉なんだよね」
――なるほど。それはいろいろ感慨深いものがあるんですね。
「磯野莉音ちゃんっていう2011年に入った子が今年、生徒会長になったんですよ。彼女がいちばん年上(中3)になったっていうのもまた感慨深くてね……」
――莉音ちゃんは、2011年からだいぶ身長も伸びてますね、約20cmも!
「いやいや、最愛ちゃんは22cmも伸びてますよ」
――アハハ……ちなみに、現体制でいちばん注目しているのはどの子なんですか?
「これまではずっと菊地最愛ちゃんと言ってきたんだけど……でもみんなカワイイからね。中3の白井沙樹ちゃんから箱推し(グループ全体を応援すること)を勧められたので、今年はグループ全体を応援します!」
――確かに、みんなヴィジュアルのクォリティーが高いですよね。個人的には新しく入ったメガネっ子(吉田爽葉香)が可愛すぎて……というのはともかく、そもそもの質問なのですが、数多いるアイドルのなかで嶺脇さんがさくら学院を推しているのはなぜですか?
「いちばんは、さくら学院のデビュー時に出演した〈TIF〉のステージを観てるんですよ。その時は〈うわ、小っちゃい!〉っていう感想で。小っちゃい子たちがいるグループを応援するというのはリスクが高いんだけど(笑)、でもその前から僕は中元すず香ちゃんが好きだった。すぅちゃんは可憐Girl'sっていう武藤彩未ちゃんと島ゆいかちゃんと3人で組んでいたグループを小学生の時にやってて、それが大好きだったからさくら学院に注目してたのね。すぅちゃんや彩未ちゃんがいるから応援しようと彼女たちを見続けてるうちに、さくら学院のバトン部(クラブ活動、詳しくは後述)の曲にCymbalsの沖井(礼二)さんが作った“Dear Mr. Socrates”という、沖井さんらしくてめちゃくちゃカッコイイのがあって。そのPVを見た時に出会ってしまったんですよ、菊地最愛ちゃんに。〈カワイイ子がいる!〉と思って。やっぱりアイドルを応援してて、箱推しと言いながらも誰かお気に入りの子ができると夢中になれるんですよ」
――それはゼッタイにありますね。
「感情移入できる子が1人でも出来ると、〈好き度〉が上がってもっと好きになるんですよね。それでかなりハマりました。あと、アイドルの握手会全盛の時代にさくら学院は握手会を1回もやったことがない。一方で、卒業した時とかに〈お渡し会〉というのがあるんだけどね。2010年の12月だったかな、MONO COMME CAとコラボ※して作った制服を売ったんだよ、5万円で。キケンですよ、強者しか買わないからね」
※2010年のデビュー・シングル『夢に向かって/Hello! IVY』の“Hello! IVY”がコラボ・ソングとして起用された
――ハハハ……。
「抽選だったんだけど、そこで当たった人が〈お渡し会〉で直接手渡ししてもらったりとか。だから、彼女たちと実際に接することがまずないし、近くで見ることもない。〈いま会える〉とか〈会いに行ける〉といったアイドルが全盛の時代に、あえて会えない、接触もできないというのがおもしろかった」
――オールド・スクールなアイドルっぽいスタイルですよね。手の届かない存在というか。
「それと卒業制度がある。必ず中3の3月に卒業するっていう儚さ……。武藤彩未ちゃんが卒業した2012年の3月に、さくら学院での彼女はもう見れないんだ……と卒業式の頃に気付いて。その時に、どうしてもっとライヴを観に行かなかったんだろうって、ちょっと反省したんだ。終わりがあるとわかっているのに、なんでもっと必死に応援しなかったんだろうと、父兄として反省したんですよ。それで、2012年度の中元すず香ちゃんの代では、1年後にはもう卒業するんだと思って全力でライヴを観まくった。BABYMETALも並行してやっていたんで、夏ぐらいからはほとんど毎週観に行っていて。あらかじめ決められた終わり、みたいな感じが儚いしアイドルらしいと思う。しかもCDを買えば握手できるわけでもない。そういうところが他と違っていて。あと、清楚なイメージを作っているじゃないですか」
――そうですね。
「あと、ライヴだけじゃなくて、学校なので授業もある。〈公開授業〉という。そこでは物理や生物といった授業を一流の先生を呼んでやるんですよ。それをわれわれはただ、観る。父兄参観みたいな。それを観に行くと、メンバーの人となりがわかったりするんだよね。特に好きな授業が、もう3年連続で年度末に〈歌の考古学〉という授業があって、メンバーが自分の生まれる前の曲を1曲選んで、その曲の意味や時代背景を調べてプレゼンするの。ひとり5分ずつ」
――へぇ~! それは普通に興味深いですね!
「プレゼンした後に、その曲をアカペラで歌う。由結ちゃんはシンディ・ローパーの“True Colors”を歌ってた。最愛ちゃんはKiroroの“未来へ”、山出愛子ちゃんはX Japanの“Forever Love”とか」
――ほほー。そのお題になる曲はみんな自分で選ぶんですか?
「自分で選ぶ」
――どの曲をチョイスするかというところの個性も楽しめるんですね。
「親の影響も大きいみたいだね、お母さんが今井美樹を聴いていて……とか。僕は行けなかった回なんだけど、すぅちゃんがTHE BOOMの“島唄”を取り上げた時がいちばん凄かったみたい、“島唄”は沖縄戦をテーマに書かれていて※、それを彼女が生まれ育った広島の原爆も絡めてプレゼンして、最後にこの曲を歌ったら、みんな心に響いて泣いちゃったらしい。だから父兄もためになる授業が多いんだよ」
※THE BOOMの宮沢和史がひめゆり学徒隊の一員だったおばあさんと出会い、聞いた話にインスパイアされて“島唄”が出来たという
――父兄としては、彼女たちを観るだけじゃなくて授業それ自体もおもしろそうですね!
「そうなんだよ。いまのアイドルのなかにあっては遠い存在に思えるけど、こういう企画で彼女たちの素の部分が見えるようにはしているので、感情移入しやすいっていうのはあるよね。さらに〈学院祭〉もあるからクラブ活動※も観られるし」
※さくら学院には、バトン部やクッキング部、帰宅部といったクラブ活動=派生ユニットがある。バトン部は〈Twinklestars〉というユニット名で先述の“Dear Mr. Socrates”を含むシングルを2枚リリースしており、2010年の活動開始時には武藤に加えて菊地最愛や水野由結らが在籍。ちなみに、BABYMETALはもともと重音部というクラブとして存在し、後に課外活動としてBABYMETALとなった
――クラブ活動も気になりますね。
「卒業制度があるから、メンバーが卒業しちゃうと休部になったりするんだけど、バトン部は休部にならずに引き継がれているかな。新聞部ももうないし、帰宅部もなくなった」
――帰宅部の主な活動は何だったんですか?
「パジャマ着て“めだかの兄妹”をカヴァーしたり。そういうかつての曲をリアレンジして歌ってた。それから物販を売るためのセールス・トークをする購買部というのがあったんだけど、その歌もちゃんあったりして。あとプロレス同好会っていうのもあるね」
――同好会! プロレスをやるんですか?
「リングの上で歌うんだよね。今年卒業した田口華ちゃんっていう子がお父さんの影響で新日(本プロレス)ヲタで、尊敬する人が(アントニオ)猪木なのよ。オカダ・カズチカ選手の大ファンで、毎週〈週刊ゴング〉を読んでるような子で。それで彼女のために同好会を作ってあげたというかね。曲は、オカダ選手のテーマソング“RAIN MAKER”を書いた北村陽之介さんに作曲してもらって、アナウンスは清野茂樹アナにしてもらったりとか……さくら学院はそういう作り込みがハンパない。そこのクォリティーがダントツで高いと思う」
トレイラー映像
――へぇ~、それはおもしろい! 徹底的に遊んでる感じがいいですね。
「ちなみに、さくら学院の校長先生は倉本美津留さんっていうダウンタウンの番組でもお馴染みのミュージシャン/放送作家の方で、担任の先生は森ハヤシさんという脚本家。ステージの台本を書いているのは森先生だからおもしろいんだよ。プロの仕事だから本当に良く出来てる」
――なるほど~。だんだんさくら学院のおもしろさがわかってきました。
「さくら学院のイヴェント会場は基本的にすべて着席で、立っちゃいけない。サイリウムを振ったりもしない。物販で売っているフラッグがあるんだけど、それを軽く振るくらいで。それも振る曲は決まってるから、それ以外は振らない。だから観やすいんだよね。アイドルの現場を知っている人からしたら〈あれ?〉っていう雰囲気だと思うけど、2時間座って観られるのはラク(笑)」
――じっくり鑑賞できるんですね。
「あとね、すごいなと思うのはオフィシャルサイトにある〈学院日誌〉(メンバー個々のブログ的なもの)がすべて手書きなんですよ。この手書きがまた素晴らしい! 菊地最愛ちゃんのブログを見ると、字がきれいでしょ」

――ホントだ!
「さらに文章も上手いのよ。ブログを直筆にすることによって、文字の変化も見られるという。小5から中3の卒業までの字を見ることができるから」
――ちゃんと卒業生のも含めてバックナンバーが見られるんですね。
「そう。菊地最愛ちゃんをソートして古い順から並べると……2010年に〈はじめまして〉という最愛ちゃんの日誌が……ほら!」

――おー! 完全に子供の字ですね、これは! まるで別人ですよ。
「こうやって時の変化が見られる(笑)。顔も変わっていくけど、こういうところでも成長が見られるというね。何言ってんだ、このおじさんって感じだけど(笑)」
――ハハハハ……。
「直に接触できないけど、こういうところでパーソナルな部分を出しているところがおもしろいし新しい。もちろんアイドル・ポップスとしてのクォリティーも高いしね」
――アイドルを好きになるきっかけは、やっぱり音楽というよりもヴィジュアルですか?
「僕もヴィジュアルから入っていったよね」
――それはそうですよね……愚問でした……。
「僕、モーニング娘。を好きになったのは〈辻(希美)ちゃんカワイイな〉から始まってるから。その時、曲はイイと思ってないというか、むしろちゃんと聴いてなかったんだけど、辻ちゃんがきっかけでCD聴いてみたら意外とカッコイイじゃんって思って。そこからどっぷりハマった。ただカワイイだけだとツライけどね。だから曲もいいアイドルが好き」
――さくら学院の父兄の皆さんは、どういう方が多いんですか?
「あくまで僕の知ってる範囲だと、アニソンを聴いてる人もいるし、普通にアイドルと日本のロックやポップスを並行して聴いている人もいるし、多種多様ではあるかな。在日ファンクのライヴも行くし、さくら学院も観に行くという人も知ってる。まあアイドル好きな人っていろんな人いるじゃない?」
――年代的にメンバーと同じくらいの人だったり、女の子もいるんですか?
「女の子は少なかったね、最初は。でも最近はBABYMETALが成功した影響で、BABYMETALを入り口にしてさくら学院に興味を持つ人が増えた。この前の卒業式も、最愛ちゃんと由結ちゃんがいたから海を渡ってわざわざ観に来た海外の人もいるし、さくら学院のコスプレした子供たちも増えてる」
――ほー! BABYMETALの海外での人気は凄いらしいですね。ツアーもいっぱいやってますし。
「いま(5月後半時点)もヨーロッパを回っていて、これから世界中を回っていく。BABYMETALはアイドル・ファンじゃない人が夢中になったりしてるからね、メタル好きはもちろん。BABYMETALから入って、〈さくら学院っておもしろいね〉と言いはじめている人が多い気がする。他のアイドルはよく知らないけどBABYMETALとさくら学院は好きっていう人もいるんじゃないかな。まあ3人の魅力を考えたら、海外のメタラーが〈学院日誌〉や〈LoGiRL※〉に辿り着いて父兄になるのにそんな時間はかからないはず」
※女性をキーワードにしたコンテンツ情報サイト。さくら学院はレギュラーで生配信番組〈さくら学院の放課後! ~学んdeマンデー!〉を担当
――アハハ……でもそういう人はいそうですね。
「BABYMETALは日本の音楽シーン全体からするとまだニッチかもしれないけど、おもしろい音楽ないかなと思っている人たちには刺さっていて、そのうちの数パーセントは(さくら学院の)父兄にまでなってしまったという」
――日本だけじゃなく、海外のメタル系フェスにもたくさん出演しているので、音楽好きからの認知度は高いですよね。
「去年は〈Sonisphere〉とかね。今年は〈レディング〉※だよ。UKでは5000人規模の会場でワンマンするくらいだから」
※UKでもっとも有名で大規模な夏フェスのひとつ。BABYMETALは今年、メタリカがヘッドライナーとなる8月29日のメインステージに出演!
――えー! ワンマンで!?
「ロンドンのブリクストン・アカデミー」
――えー! そんなところで!! 嶺脇さんは去年、海外でもBABYMETALの公演を観てきたそうですが、現地のお客さんはどういった感じの人が多いんですか?
「パリはね、ちょうど〈JAPAN EXPO〉の時期に重なっていたので、メタラーというよりも日本のポップ・カルチャーが好きな、オタクっぽい雰囲気の人が多かったかな。日本人もいたけど、いろんな人種の人たちが観に来てた。あとドイツのライヴにも行ったんだけど、ケルン公演はね、ガチのメタラーばっかりだったんだよ。タトゥー率が高い!みたいな。みんなジューダス(・プリースト)やハロウィンとか、いろんなメタル・バンドの黒Tなの。女の子は顔にピアスを開けてるようなゴス系の子が多かったね。サブカル好きっぽい子たちももちろんいるんだけど、ドイツは本当にメタル好きな若い人がたくさん来てた。ドイツのライヴハウスではドリンクのコップも結構飛んでたし。ルール上、ステージには投げ込んだりはしないんだよ。でもヨーロッパの他の国では結構ガラの悪い人がいたりするから、最初は大丈夫かなって心配していたけど、ドイツではまったくそんな心配するようなことはなく、ただプラスティックのコップがフロアに飛ぶくらいで。ステージに立っているのが10代の女の子だから、というのもあるかもね」
「LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT & BLACK NIGHT APOCALYPSE~」ダイジェスト映像
――へぇ~。
「そんな世界的に活躍する子たちも出てきているけど、さくら学院に入った当初はいまほどまだ歌えないし、あんまり踊れない。そんな彼女たちがどんどん成長していく過程を僕ら父兄は愛でるんです。新しい子が入ってくるとまた応援しようという気持ちも高まるしね」
――新しく6人も一気に入るとだいぶ雰囲気も変わるんでしょうね。
「フレッシュになったんでね、いろいろおもしろくなると思いますよ。転入式もおもしろかったし、さくら学院の転入式は最高に楽しいんですよ!」
――転入式では、新メンバーのお披露目以外に何かあるんですか?
「まず在校生のパフォーマンスがあって、その後に転入生を迎え入れる。それから〈生徒総会〉があって今年の生徒会長が発表されたり」
――生徒会長はどのようにして決まるんですか?
「聞くところによると、スタッフさんたちの投票で決めるらしいけど、本当かどうかはわからない」
――あ、父兄が決めるんじゃないんですね。
「そう。生徒会長以外にトーク委員長っていうのがあったり、今年は新しく入った子がたくさんいるから、その子たちにさくら学院のしきたりを教える教育委員長っていう役職ができた。トーク委員長はステージMCで何を話してどうメンバーに回すかというのを考える担当で、由結ちゃんは去年プロデュース委員長としてライヴのセットリストを考えたりしていた。自主性を重んじて自分たちでステージを作っていくという考え方だよね」
――そこまで!
「セットリストはスタッフさんと相談しながら決めてるんだけど、なぜそういう曲順にしたのかってことも日誌にちゃんと書いてくれるの。そうやっていろいろ役職があったり、さらに部活もあったり……すごいね、ホントに学校だよね」
――ハハハ、いまさらですか(笑)。新しい子が入ってくると、また新しく部活が出来る可能性もあるんですね?
「可能性はある。既存の部活も、クッキング部はこの3月で3人とも卒業しちゃったんで、新しい子たちが引き継ぐこともあるんじゃないかな。小っちゃい子が入部すれば3年、4年やれるからね」
――じゃあ今年は本当に新装開店というか、ある意味〈第2章〉の始まりの年っていう感じなんですね。
「かもしれないね。開校後初ステージを知らない子たちで構成されているから。さくら学院には〈校則七箇条〉があるんだけど、〈アイドルを超えた、スーパーレディーになる!〉とか、将来素晴らしい女性になるために努力しましょうという校則になっている。武道館公演やオリコン1位を獲ることが目標ではないっていうのも、他のアイドル・グループとは違っていいなと思う。その校則をみんな守っているから、卒業後もそれぞれの道で輝くことができる。それを見届けるのも父兄生活の楽しみのひとつなんだよね」
――いや~、さくら学院はおもしろい。だいぶ楽しみ方がわかりましたし、興味を惹かれますね。公開授業にはぜひ行ってみたい!
~お知らせ~
今年3月に行われたさくら学院の2014年度卒業公演の模様を収めたBlu-ray/DVD「The Road to Graduation 2014 ~君に届け~」が7月7日にリリース! 全国のタワーレコード店舗とアミューズの公式オンライン・ショップ、アスマートでゲットできるので、ぜひ!


【今月のロマンス盤】
最近のおすすめは、山梨のローカル・アイドル、Peach sugar snow※1。そもそもは3人組だったんだけど、今年に入ってメンバー2人が卒業してしまって、いま小学6年生のあいな一人で活動しています。当初からウィスパー・ヴォイスで歌うという珍しいグループで、プロデューサーの小林(清美)さんに話を聞いたら、〈優しく歌って〉って指導したらしい。初めてPeach sugar snowのデビュー・シングル(2012年発表“ひとときでも”)の音源を聴いた時は、全然声を張ってないからびっくりした。アイドル・ソングで声張らないんだ……と思って。
※1 地元・山梨の名産品である桃をPRするために結成された
さらに曲も良くて、それを〈アイドル三十六房※2〉でかけたの。南波(一海)さんと〈ウィスパー系だね〉って話をしたら、その番組をプロデューサーの小林さんが観ていたらしいのね。小林さんはウィスパーという意識はなかったんだけど、その時に〈ウィスパーなんだ、そっか、ではウィスパー・アイドルにしよう〉と、そこでコンセプトが決まったそう(笑)。
※2 〈南波一海のアイドル三十六房〉。タワレボで毎月第一木曜日に配信されている、音楽ライター・南波一海と嶺脇によるアイドル発掘番組
先日リリースされた、メンバーがひとりになって初シングル“さよなら惑星”は、ウィスパー・ヴォイスのTOKYO No.1 SOUL SETみたいな、カヒミ・カリィとSOUL SETを混ぜた感じの楽曲。小林さんが作詞した悲しいリリックなんですよ。ポップスとして非常に良い曲だと思いますので、ぜひ! ちなみにメンバーのあいなちゃんはピアノが得意で、ライヴではカヴァーや自身のオリジナル曲を披露しているなかなかの才女です。
もう1組は、中学生のあみとみいなから成るamiinaの『Canvas/○△□』。約1年ぶりの両A面シングルで、“Canvas”のほうは、僕のイメージではコールドプレイやオアシスといったイギリスのスタジアム系ロックを思い出す感じ。彼女たちのこれまでのシングルはコーネリアスみたいだったりとか凝ったポップスだったんだけど、今回はストレートな楽曲になっています。バックのトラックと幼い声とのギャップがいいなと思うんですよね。
こういったアイドル・ポップスは、プロデューサーが音楽が好きな人たちで、アイドルを使ってそのサウンドを表現していることが増えている気がする。アイドルはプロデューサー・ミュージックだよね。だけど、それをちゃんと伝えられる魅力的なアイドルがいないとダメだし。
そういったもののひとつで気になっているのが、静岡のご当地アイドル、3776(みななろ)。南波さんからだいぶ前に教えてもらったグループで、最近は掟ポルシェさんが推してる。3776は富士山の標高3776メートルに由来していて、現在メンバーは一人になっちゃったんだけど、いま個人的にすごくおもしろいと思うんだよね。グループだった初期は、XTCがコントーションズを演ったような楽曲や、ソニック・ユースみたいなのもあった。ギターもソリッドで変拍子も入っていたりして。リズムが一定じゃないから踊りづらいと思うけど、踊ってる。さらに20分もある長尺曲もあったり……なんかすごいよね。こういうアイドルが静岡から出てくるというのがまたイイんですよ。

