コラム

堂本剛が思い描いた音楽曼荼羅が具現化、屋敷豪太ら腕利きたちが集結しファンクの聖と性と生が絡み合う新作『TU』

TUはファンクの合言葉!? ゴキゲンな仲間たちに囲まれて、一皮剥けたつよしちゃんが時に熱く、時に艶やかに愛を歌う!

 〈FUNKがしたいんだ どしても〉――この一言に尽きるだろう。2002年にソロ・デビューし、ENDLICHERI☆ENDLICHERI、〈美 我 空〉といったプロジェクトを立ち上げて作品をリリース。2011年からはSHAMANIPPONという最新のプロジェクトを始動し、作品を発表してきた堂本剛。タレントではなくミュージシャンとしての活動を追い続けているファンならずとも、TVをはじめさまざまなメディアで、彼が真性の音楽好きであることがわかる瞬間を目にする機会は何度もあった。筆者にとって印象深いのは、5~6年前に放送されていた深夜番組で、ギタリストの竹内朋康や名越由紀夫と一緒にオリジナルのファズ・エフェクターを作るという相当にマニアックな企画だった。たくさんの機材を目の前に嬉々としてはしゃぐ姿は、ただのギター・キッズのようでもあり、音楽への真剣なのめり込みっぷりに心底驚いたものだ。

堂本剛 『TU』 SHAMANIPPON(2015)

 コンスタントに作品を発表しながら、自身の音楽観と向き合ってきた堂本剛。前作『shamanippon -ロイノチノイ-』から1年3か月ぶりとなるニュー・アルバム『TU』は、36歳のいち男性として伝えたいメッセージと、アーティストとしての表現欲、そして何よりファンク/ソウル・ミュージックに取り憑かれた中毒患者としてのとめどない音楽への思いを、実にナチュラルに昇華させた作品だ。

 堂本自身がサウンド・プロデュースとクリスタル・エンジニア(レコーディング時に機材としてクリスタルを置くと音が変わるという)を担当した本作。アレンジャーには以前より参加している45ことSWING-O、十川ともじに加えて、今回初めて佐々木潤が名を連ねている。ミュージシャンも、ENDLICHERI☆ENDLICHERI時代からライヴやレコーディングに参加してきた竹内朋康を筆頭に、ギターに佐藤タイジ(シアターブルック)、山口隆志、ベースにKenKen(RIZE)、鈴木渉(Dezille Brothers)、SUNAPANNG(45trio、THE MICETEETH)、森多聞、SOKUSAI、ドラムには屋敷豪太、白根佳尚(Dezille Brothers)、Duttch(UZMK)と、ファンク~ロック~ジャズを横断する腕利きたちが集結。堂本剛が思い描く音楽曼荼羅を、熱っぽく具現化している。

 バンド・メンバー内で流行ったナンセンスなスキャットから生まれた“Tu FUNK”でしれっと始まるこのアルバムだが、そこからは一気に、聖と性と生が複雑に絡み合うファンク世界へと没入していく。いにしえのイニシエーションの記憶をDNAレヴェルで遡っていくような歌詞が印象的な“いとのとち”、「命と命の触れ合いを儚く悲しげに綴った〈FUNKY説法官能小説SONG〉」と本人もコメントするほど直球にエロティックな“FUNKY舌鼓”、〈その胸へと 僕の生死 駆けたいんだ〉とキラーなフレーズも飛び出すカタルシス・ファンク“天命さん”、岡村靖幸か藤井洋平かってぐらいにメロウなグルーヴでねっとりとした歌を聴かせる“人類(ぼく)の此処(ここ)”と、リビドー全開なファンク・チューンを次々と開陳。二重三重に意味を織り交ぜながらも、みずからの欲望や衝動をストレートに打ち出すリリシズムは圧巻だ。ヴォーカルの表現としては抑制の効いた曲が並ぶなか、力強いビートの上でハリボテだらけの世間を嘆きながら「〈心の眼で自分を見つめてみては?〉というメッセージ・ソング」の“心眼 接吻”における熱さは、本作のクライマックスと言えるだろう。

 “いま あなたと 生きてる”や“赤い鼓動のHeart”といったスロウ・バラードも聴きどころではあるが、彼のヴォーカリストとしての本領が遺憾なく発揮されたのが“Heart Disc”。「歳を重ね、良い陽気のとある日、〈今日逝くにはちょうどいい日だな〉 ――ふと人生を振り返りそんなことを思う、素敵な人生の物語」とコメントするこの曲では、モータウン・ビートに乗って大きな愛を朗々と歌い上げていく。タイム感を自在に操りながらグルーヴを生み出していく歌唱には、圧倒的な実力を感じずにいられない。

 堂本剛というアーティストは、ソロ・デビュー以来さまざまなプロジェクトをヴェールにしながらも、その時点でのギリギリの表現をぶん投げてきた人なのだろう。そんな彼が自分の名前で、かつ具体的な意味を持たないタイトルを冠したアルバムで、〈FUNKがしたいんだ どしても〉とシャウトする。シンプルでストレートな叫びは、十数年に及ぶキャリアで獲得した、揺るぎない自信と表現者としての覚悟の表れなのかもしれない。

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