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本当の意味で愛される曲を作りたい

――では、ニュー・シングル“漂流少女”についてお話を伺いたいと思います。先ほども、先々のリリースを考えて楽曲を発表しているとおっしゃっていましたが、今回はどのような作品イメージなのでしょうか?

CHISA「結成当時からバンド・サウンドとエレクトロニクスの融合をやってきて、2枚同時リリースした前シングル(“BUTTERFLY DREAMER”“you”)がバンド・サウンド色の強いものだったので、今回はデジタル色の強いものをと。なおかつ、いままでシングルの表題曲はキャッチーなものじゃなくちゃいけないと思っていて……とはいえバンドのなかでキャッチーさの許容範囲みたいなのはあったんですが、今回は前作2枚、そしてまたこの次にリリースするものとの対比が大きくなるように、あまり〈キャッチー〉というところを意識しすぎずに作りました」

【参考動画】DIVの2014年のシングル“BUTTEFLY DREAMER”

 

――“漂流少女”はエレクトロニクスの清涼感がすごく効いてますね。

CHISA「この原曲は僕が作ったんですが、空間系のドラムンベースとバンド・サウンドを混ぜたものをテーマにしました。ドラムンベースといってもダブステップの影響を受けたような、キックとスネアのエッジが効いたものにしたくて。突き詰めてアレンジすればするほど、これまでの自分たちにはない感じに、こういうことをやってるバンドはいないんじゃないかというものが出来ましたね」

将吾「ギターはエモとはかけ離れた、R&Bボサノヴァで出てくるようなフレーズにテンションを足したコードをエレキで歪ませて弾いたりしました。それで雰囲気を出したというか」

 

 

――ほ~! 確かにそういう感じ。おもしろいアイデアですね。

ちょび「ギターがそういうお洒落なフレーズを弾いているので、ベースもお洒落な雰囲気を出しました。DIVのなかでいちばん難しいというか、いちばんベースが動く曲なんですよ」

将吾「半音の嵐やからね」

ちょび「そうだね、ライヴのために猛練習中です(笑)」

satoshi「ドラムはシーケンスが多いので、すごくソリッドに仕上げました。周りの潤滑油となるようなフレーズを選んで。ヴォーカルの乗っていないオケだけ聴くとなんとも言えない空気感があって、全然印象が違うんです。そのオケにCHISAくんのヴォーカルが乗ると、こういう新しいロックになるというのが本当におもしろい」

――なるほど。耳触りは心地良いけど、それだけじゃない何かがあるところが素敵ですよね。では、2曲目の“Cocktail Color”ですが、この曲以降、これまで以上にスクリーモメタルコア色が濃くなっていくのも今回の特徴だと思います。そこにあって“Cocktail Color”はサウンド的にもちょうど“漂流彼女”と3曲目の“hungry soul”の間っていう感じですね。

CHISA「そうですね、これも原曲は僕が作っているんですが、洋楽チックなものにしたくて。冒頭のメロディーをサビになり得るぐらい効かせた曲にしたかったんです。なおかつエモ~スクリーモ、メタルコアっぽい曲をこれまでちょいちょいやってきたなかで、最近より〈本物〉っぽくできるようになってきたという自負があります」

将吾「遠慮しなくなったよね」

DIV 漂流彼女 DANGER CRUE(2014)

CHISA「ギターの機材もそういう音を鳴らすのにバッチリで、ドラムもそれに見合う音量になってきたこともあって、よりそっちに振り切ったものにしようかなと。でも聴きやすさはあるように。サビもメロディーだけ聴くとキャッチーなんですけど、オケがそれだけに留まらせないというか」

将吾「ぜひギターやドラムのサウンドを本物の人と比べてほしい」

satoshi「そうですね、フレージングもCrossfaithを思わせるというか、こんなにハードコアっぽいハードコアをやってるヴィジュアル系っていま僕らだけだと思うんで、ぜひそちらのファンの人にも一度聴いてもらって、もしお気に召すようであれば応援していただきたい(笑)」

【参考動画】Crossfaithの2013年作『APOCALYZE』収録曲“The Evolution”

 

――なんて謙虚な(笑)。でも本当にそうですよね。そして最後の“hungry soul”は通じてスクリーム多めのメタルコア曲になっています。これは将吾さんとちょびさんもヴォーカルを取っているとか。

将吾「そうです。原曲は僕が作ったんですが、激しいやつが降りてきまして、全編スクリームが欲しかった。でもサビのメロディーも欲しいということで、俺歌おうかな~と。スクリームがCHISAで、サビのメイン・メロディーが僕、コーラスがちょびです」

――歌ってみていかがでしたか?

将吾「ギターのほうが簡単ですよ。ギターはチューニングが合ってて、弦を押さえて弾けば音が出る。でも喉は自分で調節しないといけないので難しいですね。でもこれはCDで聴くよりライヴで聴いたほうがいいです。これ絶対ノリノリやろ!と」

――ホント、ライヴでの光景がもう見えてます(笑)。このような新しい試みも採り入れられた3曲ですが、いちばん大変だったのは?

将吾「俺は“漂流彼女”」

CHISA「やっぱり表題曲はデジタル要素が多いぶん、時間がかかりましたね。ドラムンベースにしたいというのがあったので、ミックスもすごく慎重にやりましたし。とはいえ僕らはバンドなのでそこを追求しすぎちゃうとバンドが引っ込んじゃうから、そこのバランスは神経質にやりました。DIVを2年やってきて、個々の特徴を把握できたからこそお互い(の良さ)を邪魔しない関係性を形にできたなという気がします」

――DIVはソングライティングだけじゃなく、歌詞も皆さんが分担して書いているというのもまた珍しいケースですよね。

CHISA「そうですね、それによってバンドの振り幅ができているかな。あと曲に対しての思いを全員が共有できるというか。2年やってみて、ライヴは騒ぐ場所でもあるとは思うんですけど、ただ頭を振るのが楽しいというんじゃなく、演ってる僕らも楽曲においてメッセージや思いがあったうえでパフォーマンスをし、お客さんもDIVの曲に思いがあってそれを聴く――そうやって双方が曲と付き合っていくことで、その曲自体が救われるのかなと最近思うんですよね。本当の意味で愛されるというか。より踊れるもの、より激しいものを、というだけだとその曲の意味がなくなると思うんです。それが最近このジャンル(ヴィジュアル系)に対して疑問に感じ、息苦しく感じているところで、自分たちが先導して変えていきたい部分なんですよね」

――フィジカル的な面を追求するだけでなく、メンタルの部分でDIVというアイデンティティーを持った曲を作っていく、と。

CHISA「そういう曲を作ればリスナーにも思いが生まれるだろうし、その思いがライヴの空間をデザインする気がします。それこそいちばんバンドとして長続きし、長く愛される理由になるのかなと。そういうバンドになれたらなと思います」

 

 

satoshi「メンバー各々がミュージシャンとして(めざすものが)あると思うんですよ、それを色濃く自分の曲に反映させていければ」

――“漂流彼女”のリリース直後に2周年ライヴも行われますね。

CHISA「ここに来れば最新のDIVが観れるものを用意しています。2周年記念なんですけど、これまで応援してくれてありがとうというよりは、またここから始まるというか、過去と未来をどちらも見られるような、初めて観る人にもいいライヴになると思います!」