百戦錬磨の〈捕食者〉たちが、3年ぶりに帰還! やりたいことを直感的に詰め込んだ、感染力抜群のロックンロールが日本を席巻する!

 THE PREDATORSから、3年ぶりのニュー・アルバムが届く。3人のメンバー全員がそれぞれ精力的に活動する別のバンドの一員でもあるという背景と、〈だからこそ、ここでは本気で遊ぶ〉というスタンスが、ロック的なユーモア・センスと3ピース・バンドの醍醐味を毎回味わわせてくれる彼らだが、その魅力は今回もたっぷり楽しめる。

THE PREDATORS ROCK'N' ROLL PANDEMIC DELICIOUS(2015)

 「新しく作り始めるときには、〈JIROくんと高橋くん、また遊ぼうよ〉という感じかなあ。本来、バンドというのはやることが目的になったら最悪だと思うんですけど、でもTHE PREDATORSはやることが目的なんですよね。とは言え、ちゃんと能力のある3人が集まってるから、という話なんですけど」(山中さわお、ギター/ヴォーカル)。

 このバンドに参加して3枚目の作品となる高橋宏貴(ドラムス)も、THE PREDATORSのマインドにすっかり馴染んだと語る。

 「このバンドでのスタンスというのは、これまで一枚一枚変わってきてたんですけど、今回はかなりはっきりしたと思います。それは、あらかじめの〈心持ち〉は要らないんだな、という感じでしょうか。前作からの3年の間に自分が蓄えた音楽的な引き出しを、その場その場でバババッと開けて、いちばん良く当てはまるものをやってしまえばいいっていう。あまり考え過ぎなくていいんだということがわかってきました」(高橋)。

 その高橋の曲が1曲収められたことも話題のひとつだが、今回はアルバム全7曲中5曲がJIRO(ベース)の曲。これまでにも増してポップな印象が高まった。

  「今回のアルバムに入っているような曲調、メジャー・コードのポップな曲が僕はすごく好きなので、いつにも増して自然にやれたんじゃないかなあと思います」(JIRO)。

 加えて、彼のベース・プレイにも注目だ。

 「この3年の間に、GLAYのプロデューサーが佐久間正英さんから亀田誠治さんに変わってるんですね。それで、ベースのアプローチに関して大きく変わったところがあって、佐久間さんとやっていた時には究極に音を減らしていくことを追究していたんですけど、亀田さんはベースにもっとアクティヴな感じを要求してきていたこともあって、そこでベースのラインによって曲が大きく変化するということを改めて感じて、ベースの楽しさをまた感じ始めていた時期だったんです。だから、いままでの(THE PREDATORSの)作品のベースはわりとシンプルなんですが、今回はベースでもうちょっとうねりを出せるといいなということは思ってました。そこは、これまでと大きく違いますね」(JIRO)。

 アルバムのタイトルは『ROCK'N' ROLL PANDEMIC』に。

 「〈パンデミック〉という言葉はたまに耳にしますよね、〈感染爆発〉みたいな意味ですけど。〈この言葉を歌詞に使おう〉というネタ帳みたいなノートが僕にはあって、その中にこの言葉も書き込んでたんです。〈パンデミック〉という言葉の響きが好きだったのかな。アルバム・タイトルを決める段階になったときに、この言葉を使いたいと思って。〈ロックンロール・パンデミック〉と口に出して言ってみても気持ち良いし、それで直感的に決めました」(山中)。

 〈ラモーンズのようなロックンロール〉をキーワードに制作を進めたというこの新作。ラモーンズの音楽と同様、衝動をそのまま音楽化したようなサウンドが、日本中に〈ロックンロール感染症〉をいよいよ拡大させそうだ。 

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ここではメンバー各自の近年の関連作を紹介! まず、2010年からソロ活動も行っている山中さわおは、2013年のソロ 3作目『破壊的イノベーション』(DELICIOUS)を経て、2014年にはthe pillowsの結成25周年を記念したアルバム『ムーンダスト』(avex trax)を発表。さらに、この8月に自身の主宰レーベルから送り出したTHE BOHEMIANSのニュー・アルバム『brother, you have to wait』(DELICIOUS)ではプロデュースも手掛けています。続くJIROは、5月にGLAYのデビュー20周年記念シングル 『HEROES/微熱Agirlサマー/つづれ織り~so far and yet so close~』(ポニーキャニオン)を発表したばかり。そして高橋宏貴は4人組バンドのScars Boroughにて活躍中で、最新作は2014年リリースの4作目『音紋』(Dynamorad)です!   *bounce編集部