〈自分だけの音楽〉として切られた2枚目のカードは、〈冬〉がテーマのLove Letter。ヴィンテージな質感の音が、切なさも甘さも受け止めてくれます!
10月に全国4都市12公演のツアー〈Six“HIGHER”Days〉を終えた2PMから、今度はリード・ヴォーカルを務めるJun. Kの2枚目のミニ・アルバム『Love Letter』が到着した。作詞/作曲/プロデュースはすべて自身で担当。ハード・スケジュールの合間を縫い、今夏、2週間こもって制作したという。ダンサブルな曲が中心だった前作『LOVE & HATE』を革ジャンとするなら、今回はダッフルコートをイメージさせる仕上がりだ。
「今回は冬をテーマにして温かい音楽を盛り込んだ一枚にしたかったんです。聴いた人がワクワクしたり、人恋しくなったり、慰められたり、そういうものが感じられるような表現に重点を置きました。ヴォーカルも曲の雰囲気に合っていれば多少リズムがズレていてもOK、わざとラフなままにしてるんです。そうすることで人間味が感じられる作品になればいいなと思って」。
リード曲の“Love Letter”はビッグバンド・ジャズにスクラッチを加えた明朗なナンバー。伸びやかなサビが抜群にキャッチーだ。特筆すべきはビートがいきなりトラップに変化するプリ・コーラス部分。ジャズにトラップをチョイ足しするアイデアが斬新だ。
「そこはちょっと実験してみたんです。サビがちょっと懐かしい90年代風のメロディーなので、最近の流行をアクセントに採り入れてみようと。歌詞は別れた女性を恋しく思う気持ちを歌っています。冬はクリスマスとか大晦日とかお正月とかワクワクするイヴェントが多い季節。そんな冬に、別れた人が戻ってきてくれるような気がする、戻ってきてほしいなっていう願いを書いたんです」。
新しい一面を出せたという曲は、“Better Man”と“Walking On The Moon”。アコースティック・ソウル仕立ての前者は「僕の本心が表現できたし、僕がすぐ横で歌ってるように感じてもらえる曲じゃないかと思う」とコメント。本作でもっともスウィング感の強い後者は、「唱法が新しい」とのこと。歌詞は彼が「ありがたい存在」と語る月がモチーフになっている。
「僕は月を見るとなぜか寂しさが込み上げるんです。同時に、月は寂しさを慰めてくれるものでもあるので、よく月を見上げていた思い出もあって。この曲は、自分を寂しい思いにさせる女性のことを歌っていて、そんなときには月を見上げて慰めてもらうという歌なんです」。
豊潤な歌声で魅了する彼が、本作のベスト・ヴォーカルに挙げたのは“Hold Me Tight”。柔らかなエレピがたゆたうジャジーな三連スロウ・ナンバーで、ヴィンテージな雰囲気がたまらない。
「いままで一度も歌ってこなかったタイプの曲で、コード進行も新しい試みだと思います。もともと好きな曲調で、自分が歌いはじめた頃からこういう感じの曲はよく聴いたり、歌ったりしていたんです」。
彼が自身のルーツに挙げるアーティストは、ローリン・ヒル、ダニー・ハサウェイ、マーヴィン・ゲイ。中学生の頃、周りの友達がロックを聴くなか、彼はソウルやR&Bに夢中になり、いろいろ掘り下げていったのだという。〈最近刺激を受けたアーティストは?〉という問いには、チャイルディッシュ・ガンビーノ、ウィークエンド、フランク・オーシャンと回答。シーンの動向には常に目を配っているそうだ。そんな彼のソウル音楽ファンぶりが感じられるのが80年代ファンク風情の“Good Morning”。好きな人と暮らして一緒に朝を迎えられたら、という思いを綴った甘く爽やかなラヴソングだが、ビートにはちょっとコミカルな隠し味を忍び込ませている。
「朝起きて、〈せっかくだから一緒にシャワーを浴びる?〉って誘う歌詞があって。でも、彼女にペシッと叩かれる情景を思い浮かべたので(笑)、その歌詞のところのビートには叩いているように聴こえる音を使ってるんです」。
グループとソロで曲作りの作業に大差はないと前置きしながらも、やはりソロは自分の好きなことを追求したくなるというJun. K。グループ以上に「ミュージシャンシップが発揮される場」とも語る。
「もともと音楽が大好きだし、自分の音楽世界に共感してほしいという思いでソロ活動はやっているんです。ソロの僕はどう見られているかわからないけど、音楽を楽しんでる人だと見てもらえていたら嬉しいです」。
この冬、Jun. Kから届いた『Love Letter』という名の贈り物。これは真心のこもったファンへのラヴレターであると共に、自分の大好きな音楽に宛てた愛のつづれ織りでもあるのだろう。