〈DIGGIN' JAPANESE POP〉をリファレンスしつつ、最新リイシューを交えた旬な和モノをほんのちょっとディグってみる

山下達郎 CIRCUS TOWN ARIOLA JAPAN(1976)

“SPARKLE”を敷いたBOOの“Smile in your face”(2002年)で同じ皿に乗ったMUROヤマタツだが、それ以前に強い印象を残していたのが、MUROのミックステープ『Diggin' Ice '96』におけるヤマタツ使い。ルーファス“Stop On By”から本作収録“WINDY LADY”への流麗な繋ぎは、ヤマタツ本人も絶賛。

 

野口五郎 GORO IN NEWYORK -異邦人- Polydor/Tower to the People(1977)

物悲しい純愛ソングで次々とヒット曲を送り出す一方で、贅を尽くした海外録音アルバムを毎年のように記録していったGORO……ゆえに、MUROの「五郎さんだけで……」という発言も頷ける。筒美京平のプロデュースでNY録音となった本作にも、ディスコ・ファンク“マンハッタン・スクランブル”やミディアム・メロウ“傷心スピードウェイ”など使える曲満載。

 

りりィ マジェンタ Express/Tower to the People(1978)

N Pop

個性的なハスキー・ヴォイスが魅力の〈和製リッキー・リー・ジョーンズ〉。しばらく彼女のバック・バンドを務めていたのは、井上鑑木田高介国吉良一らを擁していたバイ・バイ・セッション・バンド。本作でもアーバン・テイストの“ダウンタウンの灯”を幕開けに、ブルージーでメランコリックな彼女の歌声を引き立てるコク深いグルーヴを生み出している。

 

VARIOUS ARTISTS ロフト・セッションズ VOL.1 ビクター(1978)

ムーンライダーズセンチメンタル・シティ・ロマンスカシオペアらのプレイヤーと新進の女性シンガー――新宿のライヴハウス、LOFTゆかりのミュージシャンたちが集ったスタジオ・セッション。久保田麻琴の楽曲をメロウ・ダンサーに仕立てた上村かをる“星くず”、デビュー前の竹内まりやが歌った鈴木茂の“8分音符の詩”など、眩いグルーヴの宝箱。

上村かをる“星くず”のライヴ映像

 

大橋純子 POINT ZERO ユニバーサル(1983)

〈DIGGIN' JAPANESE POPS〉でミックスされた“SENSUAL NIGHT”は、サックス・プレイヤーのデヴィッド・サンボーンほか現地ミュージシャンたちがバックを飾ったこのNY録音盤から。大橋といえば、美乃家セントラル・ステイションによる豊潤なグルーヴを湛えた70年代後期の諸作もスタンダード。

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BEERS MISTRESS Bourbon/Tower to the People(1983)

斉藤恵橋本ヨーコの男女デュオによる唯一のアルバム。達郎バンドで腕を振るっていた椎名和夫や、のちにオメガトライブを手掛ける新川博らがアレンジャー陣として名を連ね、アーバンなディスコ“壊れたワイパー”、レゲエ・テイストの“ラッキー・ストライク・マン”など、シティー・フィーリングに溢れたサウンドを託している。

 

桑江知子 TOMOKO1 -I can't wait- 徳間ジャパン/Solid(1983)

デビュー曲“わたしのハートはストップモーション”の大ヒットから4年。深町純土方隆行和田アキラ富倉安生などフュージョン好きにも刺さるメンツでバックを固め、アーティスト・カラーを一新したアルバム。ダンサブルなメロウ・ナンバー“Whose Who”、和レゲエな“Southern Girl”では、山木秀夫青山純による貴重なツイン・ドラムも聴ける。

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宮本典子 SWEET SUGAR ビクター(1984)

現在もmimiの名で活躍している彼女。本作にはジャズ・ピアニストの本田竹広をはじめ、達郎バンドでもお馴染みの土岐英史ウエストロード・ブルースバンド山岸潤史らが参加。冒頭を飾る“Another Lover”やサザンオールスターズのカヴァー“UMI (Suddenly Last Summer)”などは、〈Japanese Boogie〉として海外でも人気の高いナンバー。

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今井美樹 Bewith フォーライフ(1988)

今年、歌手デビュー30周年を迎える彼女。このアルバムがリリースされた年は、SING LIKE TALKINGがデビューするなど、AOR再評価が高まった時期で、本作にもその雰囲気がたっぷりと。スティーリー・ダンさながらのサウンドを聴かせる“今日 私はひとり”をはじめ、歌声の隙間を流れるように駆け抜ける今剛のギターがなんともロマンティック。

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