〈DIGGIN' JAPANESE POP〉をリファレンスしつつ、最新リイシューを交えた旬な和モノをほんのちょっとディグってみる
“SPARKLE”を敷いたBOOの“Smile in your face”(2002年)で同じ皿に乗ったMUROとヤマタツだが、それ以前に強い印象を残していたのが、MUROのミックステープ『Diggin' Ice '96』におけるヤマタツ使い。ルーファス“Stop On By”から本作収録“WINDY LADY”への流麗な繋ぎは、ヤマタツ本人も絶賛。
物悲しい純愛ソングで次々とヒット曲を送り出す一方で、贅を尽くした海外録音アルバムを毎年のように記録していったGORO……ゆえに、MUROの「五郎さんだけで……」という発言も頷ける。筒美京平のプロデュースでNY録音となった本作にも、ディスコ・ファンク“マンハッタン・スクランブル”やミディアム・メロウ“傷心スピードウェイ”など使える曲満載。
個性的なハスキー・ヴォイスが魅力の〈和製リッキー・リー・ジョーンズ〉。しばらく彼女のバック・バンドを務めていたのは、井上鑑、木田高介、国吉良一らを擁していたバイ・バイ・セッション・バンド。本作でもアーバン・テイストの“ダウンタウンの灯”を幕開けに、ブルージーでメランコリックな彼女の歌声を引き立てるコク深いグルーヴを生み出している。
ムーンライダーズ、センチメンタル・シティ・ロマンス、カシオペアらのプレイヤーと新進の女性シンガー――新宿のライヴハウス、LOFTゆかりのミュージシャンたちが集ったスタジオ・セッション。久保田麻琴の楽曲をメロウ・ダンサーに仕立てた上村かをる“星くず”、デビュー前の竹内まりやが歌った鈴木茂の“8分音符の詩”など、眩いグルーヴの宝箱。
〈DIGGIN' JAPANESE POPS〉でミックスされた“SENSUAL NIGHT”は、サックス・プレイヤーのデヴィッド・サンボーンほか現地ミュージシャンたちがバックを飾ったこのNY録音盤から。大橋といえば、美乃家セントラル・ステイションによる豊潤なグルーヴを湛えた70年代後期の諸作もスタンダード。
斉藤恵、橋本ヨーコの男女デュオによる唯一のアルバム。達郎バンドで腕を振るっていた椎名和夫や、のちにオメガトライブを手掛ける新川博らがアレンジャー陣として名を連ね、アーバンなディスコ“壊れたワイパー”、レゲエ・テイストの“ラッキー・ストライク・マン”など、シティー・フィーリングに溢れたサウンドを託している。
デビュー曲“わたしのハートはストップモーション”の大ヒットから4年。深町純、土方隆行、和田アキラ、富倉安生などフュージョン好きにも刺さるメンツでバックを固め、アーティスト・カラーを一新したアルバム。ダンサブルなメロウ・ナンバー“Whose Who”、和レゲエな“Southern Girl”では、山木秀夫と青山純による貴重なツイン・ドラムも聴ける。
現在もmimiの名で活躍している彼女。本作にはジャズ・ピアニストの本田竹広をはじめ、達郎バンドでもお馴染みの土岐英史、ウエストロード・ブルースバンドの山岸潤史らが参加。冒頭を飾る“Another Lover”やサザンオールスターズのカヴァー“UMI (Suddenly Last Summer)”などは、〈Japanese Boogie〉として海外でも人気の高いナンバー。
今年、歌手デビュー30周年を迎える彼女。このアルバムがリリースされた年は、SING LIKE TALKINGがデビューするなど、AOR再評価が高まった時期で、本作にもその雰囲気がたっぷりと。スティーリー・ダンさながらのサウンドを聴かせる“今日 私はひとり”をはじめ、歌声の隙間を流れるように駆け抜ける今剛のギターがなんともロマンティック。