ライブこそ我が人生——ソロ活動15年を経て臨んだ2020年、未曾有の変化に直面しながらも己の本質を問い直したキングが新作で表現したものとは?

本質が問われる時代になった

 昨年は〈THE ANTHEM in BUDOKAN at 日本武道館〉とライブハウス・ツアー〈THE ANTHEM JAPAN TOUR〉を敢行し、〈アーティストの到達点〉と〈アーティストの原点〉の両輪でライブを展開したAK-69。今年もバンドを伴ったツアー〈THE LIVE -6900-〉を開催して〈ライブ・アーティストとしての凄味〉を形にした彼だが、新作のタイトルは『LIVE : live』と名付けられ、そこへも〈現場〉への思いが込められている。

 「〈武道館2デイズ〉という称号と、オーディエンスを目の前にしたライブハウス・ツアー、そして過去最高のパフォーマンスができたという自負のある〈THE LIVE -6900-〉と、昨年から今年にかけて、いろんなシチュエーションでライブが見せられたと思いますね。そして今年、アルバムの制作を本格的に進めるのと並行するように、コロナ禍が世の中を襲うようになった時に、〈本質が問われる時代になった〉と感じたんですよね。そこで自分の本質が形になるのは、やはり〈ライブ〉であり、同時にアーティストとして自分自身の人生〈リヴ〉からメッセージを紡いでいるという意味も含めて、今回のアルバムを『LIVE : live』(ライブリヴ)というタイトルにしたんです」。

AK-69 『LIVE : live』 Def Jam/ユニバーサル(2020)

 本作はライブや恋愛、ストラグルや生き様を形にしながら、死をテーマにした“If I Die”で幕を閉じる(エリック・ベリンジャーを迎えたボーナス・トラック“Hard To Remember -Season 0.5- Remix”を除く)。その意味でも〈人生〉が色濃く映し出されている。

 「こういう情況になったからこそ、自分のやってきたことは間違ってなかったと、意味のあることだったということをシンプルに歌に残すべきだって確信が持てたし、そのためにも自分の原点に立ち返って――当然さまざまな部分はアップデートしながら――作品を作ったような感覚があるので、本当に悩みなく進めましたね」。

 Def Jam Recordingsへの移籍以降、般若や2WINなどのヒップホップ勢に加えて、Toshl(X JAPAN)や清木場俊介、UVERworldなど、ヒップホップ外のアーティストとの印象的なコラボも多かったAKだが、今作での客演陣はすべてヒップホップ勢で固められている。

 「ヒップホップ勢ばかりなので、自分自身、デビュー当時の感覚に近いのかなって。しかも今回の客演陣は、中高生の頃に俺の曲を聴いてくれてた人ばっかりなんですよね。特に¥ellow BucksとMC TYSONは、俺の曲がヒップホップへの入り口だったって話してくれて」。