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「静寂と間」~アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の世界観を坂本龍一が音楽で描く
2000年の初長編映画監督作『アモーレス・ペロス』でその才能を世界中に知らしめたアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督。2006年『バベル』では東京を舞台に役所広司、菊地凜子なども出演していた事もあり、日本でも大きな話題となった。そして2014年『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ではゴールデングローブ賞やアカデミー賞で最多ノミネート、後者では最多4部門受賞となり今最もその動向を注目される監督の、早くも新作『レヴェナント:蘇えりし者』(日本では4月公開予定)が発表された。
上記の『バベル』では、坂本龍一の《美貌の青空》をラストシーンにて使用するなど、坂本の大ファンである事を公言するイニャリトゥ監督だが、今回はそのラブコールが実現し、全編坂本龍一が音楽を担当する事となった。そしてイニャリトゥ監督が信頼を寄せる音楽家ブライス・デスナーも参加している。セリフが少ないという本作ではその映像、音楽がセリフに代わって物語を描く上で非常に重要なパートをあてがわれている。監督の要望として、アコースティックと電子音楽を幾重にも重ね、融合させる事があった様だが、恐らく坂本はすぐにアルヴァ・ノトの起用を考えていたのではないだろうか?
坂本とは長年に渡りコラボレーションを行い、連名でのアルバムも数多く発表している盟友アルヴァ・ノトの研ぎ澄まされた電子音、そして坂本龍一とブライス・デスナーのオーケストレーションによるミニマルな旋律が生み出す緊張感、静謐なサウンドスケープは、時間感覚も麻痺してしまう様な本作の圧倒的な大自然の中での特異な環境を現出させる。実話に基づいたマイケル・パンクの小節を原作とし、レオナルド・ディカプリオが主演を務め、アカデミー賞では最多12部門ノミネートという、またしても大注目を浴びる本作の大きな一翼を担う、坂本龍一による壮大かつ静寂と間を描く音楽にも是非傾聴して頂きたい。
CINEMA INFORMATION
『レヴェナント:蘇えりし者』
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
音楽:坂本龍一
出演:レオナルド・ディカプリオ/トム・ハーディ/ドーナル・グリーソン/ウィル・ポールター
◎4/22(金)より日劇他全国ロードショー
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